2009年 11月 06日
第2回眼科臨床クイックレビュー@ロイヤルホテル4 (409)
この分野は、毎年でもアップデートする価値のある分野です。今回講演された角膜手術も、以前のように失明からの回復といってレベルでなく、高いレベルの視機能を達成するような洗練されて術式になっているようです。
①所見を把握:病名をつけるより、どの部位がどのように混濁しているのか。所見をしっかり把握する。当然角膜病変以外の眼病変も見逃さない。
部位:浅層・深層、境界鮮明・不鮮明、限局性・びまん性
混濁の実態は、浸潤・瘢痕・浮腫・タンパク質沈着・・・
浸潤ならステロイドで治療ということも・・・。斑状角膜変性(びまん性)なら、角膜手術でしょうが、格子状角膜変性(混濁に隙間あり)や水庖性角膜症でも、先に白内障手術だけのこともしばしば。
②視力低下の原因は?: 本当にその混濁が視力低下の原因なのか。
※伴っている不正乱視(円錐角膜が代表)や白内障・黄斑変性・緑内障などを評価する。
③治療:中央が透明であって白内障があれば、まずPEA+IOLを行う。PTK、DASAEKは、屈折変化の少ない手術(+0.5-+1.0D)なので、PEA+IOL後でも十分。輪部の幹細胞不全+白内障でも、まずPEA+IOL(勿論、PEA+IOLのリスクは高いが、例えば、マイクロケラトームassisted PEAをしたり・・・)
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角膜手術
1)上皮:幹細胞移植
幹細胞機能不全の評価は難しいが、結膜化、フルオ染色、インプレッションサイトロジーなどで判定。たとえば、重症の膠様滴状角膜変性でも、DALK(深層層状移植)+KLAL(輪部移植:人工前房利用して薄く移植可能になった・・)で対応可能。禁忌は、重度のドライアイ、眼瞼異常のみ。
2)実質:DALK
アベリノなど、実質浅層に密集した混濁がある場合は、PTKのいい適応。またPTKできない実質中層までの混濁やband keratopathyは、LKP(層状移植)で対応するが、メインは、DALK(実質深層層状移植):広い適応、全層移植にとって代わる。これにより、より深層まで病変がとれ、血管侵入も少なく、感染症にも対応できる。LKPは不可。より安全、より確実に・・・
3)内皮:DSAEK
IOL(つまり白内障手術)、Laser iridotomy(日本で多い)、フックス(日本で少ない)が原因。
DSAEK/nDSAEK(内皮そのままにして、ドナー内皮を入れる。日本人はフックスが少ないので、これでいいかも・・)が急速に普及しつつある。角膜形状にほぼ変化なく、繰り返しできる(その時はnDSAEKでいい)。全層移植後でもDSAEK可。一度全層移植してしまうと、視機能のレベルは低くなるが、DSAEKは、高いレベルの視機能が維持できるし、ダメなら後で全層移植すればいい。ただ、水庖性角膜症も時間が経過すると、実質混濁も強くなってくるので、成績落ちる。DSAEKするなら早い方がいい。