NEW POST

第375回 大阪眼科集談会 (439)

第375回 大阪眼科集談会 (439)_f0088231_2193753.jpg


訳あって、週末は参加できないので、演題のみ・・・

第375回大阪眼科集談会

1、当科におけるアカントアメーバ角膜炎の治療を通して 行岡病院
2、アカントアメーバ角膜炎における細菌DNAの存在 近大
3、先天性水晶体欠損症の1例 大阪医大
4、水晶体及び眼内レンズの脱臼に対する手術術式の比較 行岡病院
5、当院における眼内レンズ縫着術 大阪医療センター
6、片眼のみ回折型多焦点眼内レンズ挿入を行った水晶体再建術後の成績 柴眼科
7、強度近視を伴う正常眼圧緑内障に対する緑内障、水晶体再建術同時手術 大阪大
8、網膜・網膜色素上皮過誤腫の1例 大阪医大
9、光干渉断層計で網膜外層異常が確認できた Acute zonal occult retinopathy の1例 大阪市大
10、ヒトヘルペスウイルス6型が陽性であったぶどう膜炎の1例 関西医大滝井
11、抜歯後の感染性心内膜炎から発症した内因性眼内炎の1例 関西医大枚方
12、 Strict control で悪化した糖尿病網膜症への対策 多根記念眼科病院
特別講演 黄斑浮腫 瓶井資弘 大阪大

・・・・じゃ、味気ないので、気になった演題をネタに少しだけ・・・

2、アカントアメーバ角膜炎における細菌DNAの存在 近大
 コンタクトレンズユーザーの重篤な感染性角膜炎の原因のトップはアカントアメーバでしょう。徐々にこの原因微生物についての情報が増えてきました。最近の報告ですが、アカントアメーバ角膜炎患者において、SCLだけでなく、そのケースのMPS中にもアカントアメーバと細菌が多数存在したようで、アカントアメーバの増殖lにはその餌となる細菌増殖が深く関連しているようです。そんな話なのでしょうか。ソフトコンタクトレンズユーザー様、くれぐれも擦り洗いを忘れないようにお願いします。

多数のアメーバと細菌がコンタクトレンズに付着していたアカントアメーバ角膜炎の2例
中村さや花 あ たらしい眼科(0910-1810)27巻1号 Page85-89(2010.01)


9、光干渉断層計で網膜外層異常が確認できた Acute zonal occult retinopathy の1例 大阪市大
 この Acute zonal occult retinopathyという疾患は、私が大学にいた頃はなかった?かもしれない疾患で、見たことありません。近視の若年(女性に多い)の片眼の突然の視力低下、視野欠損、眼底異常なし。FAも正常。球後視神経炎と間違いやすい。黄斑部局所ERGが有用・・・・などと説明されています。

Clin Ophthalmol. 2009;3:423-8. Epub 2009 Aug 3.
Spectral domain optical coherence tomographic findings at convalescent stage of acute zonal occult outer retinopathy.
Ohta K, Sato A, Fukui E.


 ちょっと論文を検索すると、『SD-OCT showed that the junction of the inner and outer segment, the IS/OS line, of the photoreceptors was irregular or lost in the affected retinas. The retina in these areas was thinner due to a decrease in the thickness of both the outer nuclear layer (ONL) and inner nuclear layer (INL) 』 つまり、IS/OSラインが乱れるか消失。そして外顆粒層と内顆粒層の厚みが減少。OCTで見ると、形態としては、IS/OSラインの乱れ程度ですが、厚みの変化は明らかで、菲薄化していました。

10、ヒトヘルペスウイルス6型が陽性であったぶどう膜炎の1例 関西医大滝井
  Cytomegalovirus(CMV),Epstein-Barr Virus(EBV),Human Herpes Virus 6(HHV-6)はいずれもヘルペス属DNAウイルスであり、多くは乳幼児期に感染し、以後終生潜伏感染を起こすことが知られている・・・ようなのですが、CMVやEBVは以前からよく耳にしますが、HHV-6はあまり馴染みがありません。これには、HHV-6AとHHV-6Bがあるようで、HHV- 6Bは、幼少時に殆どの子供に感染し突発性発疹の原因となるウイルスです。問題になるのは、移植医療において、レシピエントの免疫能が低下したときで、再活性化し、移植後早期の発熱,移植片対宿主病(GVHD)の誘発,間質性肺炎,造血幹細胞の生着不全など多様な病態の原因となり,移植成績を左右しかねないといわれています。
 ただ、HHV-6に関して興味深いことは、このウイルスが疲労の測定に使える?よく疲れると口唇ヘルペスが出る人がいますが、この手のウイルスは疲労が蓄積すると再活性化(?)するようで、唾液中のHHV-6 ウイルス量を測定すると、疲労度合いがわかる? このあたりになると、通常のウイルス感染の話とだいぶ様相が変わってきます。幼少時にほぼ100%感染し、潜伏感染しているウイルスの動態が、疲労や精神状態とも関わっているなんて・・・。
 それで、この演題のHHV-6陽性だったぶどう膜炎て?CMV感染のような日和見感染なんでしょうか・・・
by takeuchi-ganka | 2010-03-31 21:10 | 学会報告 | Comments(0)

大阪市旭区にある竹内眼科医院です。開業医も日々勉強。


by takeuchi-ganka
カレンダー
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31