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スリーサム in 新宿 その1 (471)

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モーニングセミナー1:細菌性結膜炎とライフステージ ~起炎菌up to date~

1、小児の結膜炎
0から12歳の検討(と言っても殆ど0~3歳) 起炎菌御三家は
  ①インフルエンザ菌 ②黄色ブドウ球菌 ③肺炎球菌
これらは、鼻咽頭に常在していて、感冒にともなって発症する急性カタル性結膜炎となります。また時に重症化・・。発熱したら小児科へも兼科。耐性菌も増えてきていますが、基本的にはまだ何でも効くので、特に問題になることはない。拗れるのは、耳鼻科疾患・鼻涙管閉塞などがある場合?
※上気道感染は殆ど(80-90%)がウイルス感染と言われていて、ごく一部が細菌感染。その場合の合併症としての結膜炎ということ?

症例1
 化膿性結膜炎⇒グラム陰性双球菌?⇒淋菌?
 培養⇒モラクセラ(ペニシリン耐性)
 ※化膿性結膜炎:1)淋菌(2-4歳)、2) クラミジア(3-10歳)、3)モラクセラ(7-10歳以降と遅い)
症例2
 インフルエンザ菌、ヒトの鼻粘膜に常在。
 最近はベータラクタマーゼ非産生性アンピシリン耐性インフルエンザ菌(BLNAR)が増加中。
 重症化することがあるので、眼瞼腫脹・発熱に注意。
 ただ、まだ何もかも効かない・・ってことはない。
症例3
  10カ月男児。発熱・充血・眼瞼腫脹。
  アデノ?塗沫で好中球。分離培養でインフルエンザ菌
  ※インフルエンザ菌は、薬剤耐性の程度で細かく分けられているようで、ここで見つかったのは、β–lactamase 産生ABPC,clavulanic acid 耐性菌のBLPACR

2、成人の細菌性結膜炎
 細菌性結膜炎:0-9歳(3歳以下が多い)、 50歳以降の二つのピーク。その中間の年令は少ない。
 コリネ・表ブ・レンサ・アクネ・黄ブの順に多い。
 子供:インフルエンザ菌
 高齢:黄色ぶどう球菌
 
※最近話題のコリネバクテリウムについて 
 常在菌。起炎菌にもなるが、その判定は?塗沫で、白血球が菌を貪食している像が重要。また、グラム陽性球菌・陰性桿菌など複数の貪食像があって、分離培養はコリネのみだった場合、一方を取り逃がして判定してしまうかもしれない・・。分離培養は、その一部しか拾ってない可能性を念頭におく必要がある。
 眼表面は、殆どCorynebacterium macginleyi。しかもフルオロキノロン耐性(半分はダメ)!また、高齢者に多く、長期にわたってキノロン点眼している人に多い。

J Clin Microbiol. 2008 Feb;46(2):527-32.
High-level fluoroquinolone resistance in ophthalmic clinical isolates belonging to the species Corynebacterium macginleyi.
Eguchi H, Kuwahara T, Miyamoto T, Nakayama-Imaohji H, Ichimura M, Hayashi T, Shiota H.


※淋菌:
 STD!失明することある結膜炎(角膜穿孔)。80%キノロン耐性。
 グラム陰性双球菌が好中球に貪食される像
 18例の報告⇒14歳以下5例(増加している)、15-64歳:13例、65歳以上:0例
 4割は角膜合併症(診断困難、治療が遅れた場合)
 性感染症ガイドライン推奨治療薬:セフトリアキソン(CTRX)、セジョジジム(CDZM)、スペクチノマイシン(SPCM)

3、高齢者の結膜炎
常在菌 1000眼の検討。635眼から検出。 744株。
グラム陽性球菌90% 表ブ62、黄ブ20、レンサ球菌・腸球菌・・
耐性菌 MRSA 56.6、MRSE 24.8 (数年前の倍以上!)
※アルベカシン、バンコマイシン有効。ミノマイシンも使える。

結膜炎の検討:黄ブ37%、表ブ26% 計 63%、レンサ19%
  ※黄ブの60-70%MRSA、表ブの50%MRSE
 ※1/4-5がMRSA/E
小児:インフル・黄ブ・肺炎球菌
高齢:MRSA、MRSE

MRSA結膜炎
①臨床像は普通。塗沫:好中球に球菌の貪食像。 compromised host!  
②基礎疾患:脳血管障害、悪性腫瘍、低アルブミン、貧血、糖尿病、慢性肝炎・・・
③全身状態:痴呆・寝たきり・カテ留置・・・
④検出部位:褥瘡、鼻粘膜、喀痰、尿・・
アルベカシン(濃度依存)、バンコマイシン(時間依存)は当然有効だが、クロラムフェニコール(CP)も有効
※CPは、74年ぐらい以降、再生不良性貧血・顆粒球減少の副作用の為に使用されなくなった。その後、セフェム系が多用され、MRSAが増加。だから・・・、現在CP有効、80%は単独で治癒した。
※それでも治りにくい場合、0.025%ヒビテンホウ酸水20ml×2/日の洗眼が有効?これで90%治癒。どうしても駄目な例も10%ほどある・・(痴呆・寝たきり・・)
※一旦治癒しても、またMRSA↑(25%)



質疑:耐性菌
 いつも言われている事だが、通常の薬剤感受性は、薬剤の血中濃度を考慮して判断されている。点眼は非常に高濃度なので、先ず点眼してから判断した方がいい。通常は、フルオロキノロンをファーストで使う。数日で治癒しなければ、次を考える。
 培養してできるコロニー毎に、感受性が異なる。つまり、細菌によって感受性はバラツキがあり、偶々拾ってきた細菌が感受性を代表しているかどうかは問題あり?やはり、本当に有効かどうかは使ってみないとわからない?
※角膜炎・外眼角炎を引き起こすのはモラクセラ桿菌(大桿菌)とモラクセラ・カタラーリスは小児の結膜炎を引き起こす球菌・小桿菌。
by takeuchi-ganka | 2010-07-13 15:49 | 学会報告 | Comments(0)

大阪市旭区にある竹内眼科医院です。開業医も日々勉強。


by takeuchi-ganka
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