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スリーサムin新宿 その7 (478)

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 毎日、夏らしい日々が続いています。天神祭が終わり、PLの花火も終わり、明日は平成淀川花火大会。このあたりが一年中で一番熱い時期なのでしょうが、もううんざりです。愛犬との散歩は、5時台でも暑かったり・・。秋が待ち遠しいです。スリーサムネタもほぼ尽きてきましたが、『その7』です。


モーニングセミナー6 アイメイクがコンタクトレンズ装用に与える影響

 化粧に関しては特に興味もないので(あっても困りますが・・)、殆ど知識ゼロですが、眼疾患に関連するということなので、少しだけ勉強することにします。と言っても、女性にとっては、何を今さら・・なんて内容なので、読まないように・・。
①ベースメイク:これは、化粧水、クリームなどで、皮膚の状態を整え、化粧をその上に構築しやすくする。その後、ファンデーションと呼ばれるものをベターっと塗ることで、その上に絵を描きやすくする。
②顔のメイク:これは、眼とはあまり関係ないのでパス。
問題はこの後でしょうか。
③アイメイク
1)マスカラ:先ず、ビューラーで睫毛をカール。そして、マスカラ下地(?)して、マスカラを。要するに睫毛を太く長くみえるツール。
2)アイシャドウ:上眼瞼皮膚に塗布され、様々なグラデーションを演出するもの?
3)アイライン:眼瞼皮膚と瞼結膜の移行部ぎりぎりの皮膚側にラインを入れる作業。

 眼科医の立場から言いたいのは、このマスカラやアイシャドウは眼表面に大量に脱落し付着しています。診察時に、涙液膜上をこれらが漂っているのが確認できます。毎日毎日このような状態で、よく眼表面にトラブルを起こさないなあと感心しています。ただ、コンタクトレンズ装用者は、この涙液膜上を漂う化粧品はコンタクトレンズにも付着する訳で、新たな問題の火種になる?
 そして、アイライン。何の根拠もなく、個人的に問題だと思っています。以前も書きましたので、少し流用しますと、《 最近気になっていることなのですが、上眼瞼の場合だと、アイラインの位置がどんどん下側に移行しているようです。・・・ 眼瞼(まぶた)の表面ですが、睫毛の生え際の少し内側(下方)までが普通の皮膚ですが、すぐに粘膜との移行部位となります。この境目を皮膚粘膜移行部位 (muco-cutaneus junction:MCJ)と呼びます。アイライナーがどのような組成なのか、詳細は把握していませんが、皮膚(角化重層扁平上皮)の表面に塗っても大丈夫な組成なのでしょうが、粘膜上での安全性は確保されていないと思います。アイライナーがMCJ付近にまで塗布されると、非常に高い確率で涙液と接触し、 溶解することは、容易に想像がつきます。結果として、その成分が角膜・結膜表面にかなり高い濃度で慢性的に接触すればどうなるでしょうか。》 ただ、これも、何例かアイラインが疑わしい角膜上皮障害を見ましたが、それっきりです。意外と化粧品の安全性って高い?

④メイク落し。
 アイメイクに限っても、マスカラ・アイシャドウ・アイラインを落とす必要があり、ウォータープルーフも多い?ただ、石鹸で顔を洗えばいいってもんじゃない(当たり前・・)。クレンジングにもオイル・ジェル・ローション・ミルク・・・など様々なものがあり、特にウォータープルーフは、涙で流れない分、クレンジングも大変?
 顔はいいとして、マスカラ・アイシャドウ、特にMCJギリギリまで塗布されているアイラインをクレンジングする場合、当然眼瞼結膜を含む眼表面に影響は避けられないように思います。その眼表面にコンタクトレンズが装着されている場合・・・

こんな事を考えながら、チバビジョンのモーニングセミナーに・・・。ただ、この講演はシリコーンハイドロゲルレンズが対象ですが。

講演1:
  2種類のシリコンハイドロゲルレンズ(lotrafilcon BとsenofilconA)を比較。AOセプトクリアケア(過酸化水素)で洗浄、ソフトウエアプラス(チバ)ですすぎ(表裏20回擦り洗い)。SCLしてから化粧、化粧落としてからSCL外す条件で・・・結果:重大な変化は来たさないが、SCLの種類によっては、汚れ・破損・変形の可能性あり。 lotrafilcon Bはより変形が少なくて安全?
※SCLしてから化粧、SCL外してから化粧を落とす。特に、SCLしたままクレンジングは危険。
⇒化粧とSCLに関しては、常にSCLファースト!
※ミラフローは、MPSより強力なSCLの洗浄剤(特に油性化粧品)。現在製造中止らしい・・


講演2:
 基礎化粧品とメイクアップ化粧品。問題は後者。これは肌色のキャンバスを作り、その上に絵を描く作業。
①下地②顔メイク③アイメイク④メイク落とし
メイクは通常油性、クレンジングもそれに対応したもの。この中では、④が一番コンタクトに影響を与える。

③アイメイク:アイシャドー、アイライナー(ペンシル・リキッド)、マスカラ
これらがSCLに付着するが、1)手を介してか、2)眼から脱落して。SCLに付着した汚れをとる為には
1)擦り洗い、2)MPS、3)界面活性剤、4)研磨剤入り、5)アルコールベースクリーナー(ジェルクリン・・)
・付着したものは何とかしてとれるが、浸透したものはダメ。それを除去しに行くと、SCLが変性する?
・水溶性のものはSCL内に浸透しても容易に取れる。問題は油性。これがSHCL内に入ると問題。特に小さな分子量だとポリマー内に入り込み、レンズの変形を引き起こす。
※分子量:ヘキサン>白灯油>>流動パラフィン
・極性の問題。シリコーンは非極性。油・ベンゼン・トルエン・・中に入りやすい?油性原料とシリコーンが危険。
・マスカラには通常タイプ、ウォータープルーフ、フィルムタイプ:問題はウォータープルーフ
・クレンジング:オイルはSHCLに浸透しやすく危険。ジェルは、浸透せず安心?


ソフトコンタクトレンズ(特にシリコン)ユーザーの皆さんへ
1、コンタクトレンズは化粧前に装用し、外した後にクレンジングしてください。コンタクトレンズ・ファースト!
2、アイライナーは、あまりギリギリまでしないように。
3、化粧後レンズ装用する場合、しっかり手を洗い、レンズを汚さないように。
4、レンズしたままのクレンジングは特に注意を。特にウォータープルーフ化粧品のクレンジングは、オイルが一番落ちやすいでしょうが、SHCLには悪影響。少し落ちにくいが、ジェルタイプが安心。
by takeuchi-ganka | 2010-08-06 15:44 | 学会報告 | Comments(0)

大阪市旭区にある竹内眼科医院です。開業医も日々勉強。


by takeuchi-ganka
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