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Keep tha visual field 2011 in Osaka 最新 緑内障治療戦略~視野維持への挑戦~ その2 (552)

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3,眼圧非依存性障害因子に対する神経保護治療の可能性 相原一(東大)
※講演のトリは、東大の相原先生です。声だけ聞いていると、フリージャーナリストの畠山氏に似ているなあ・・

 この手の話では、繰り返し言われている事ですが、CNTGSが示すように、眼圧を30%下げれば進行しないというエビデンスと裏腹に、いくら眼圧を下げても進行する緑内障がある。たぶん、緑内障には、眼圧に依存しない障害因子が存在する筈で、そこをターゲットにした神経保護治療の可能性に関するお話です。私にはチョット盛りだくさんすぎる・・流石白土先生直系・・
 神経保護治療を確立するためには、まず、薬物の受容体が網膜にあり、そこに薬効濃度が到達可能で、動物実験で有効性が証明された後に、RCTをクリアする必要があります。ハードルは非常に高く、そう簡単な話ではない。治療対象のNTG(GON)が単一疾患であるとは考えにくく、原因は多因子であり、背景は複雑。道のりは果てしなく長い?・・・・ようです。
 GONは単に視神経だけじゃなく、外側膝状体や皮質にも萎縮が及びそうで、神経保護という場合のターゲットも、視神経(神経節細胞)だけじゃない。従って、点眼じゃなく、内服が基本?
 家族歴・高眼圧・糖尿病・片頭痛・近視・・・・、眼圧・虚血・酸化ストレス・・など非常に多くの節細胞のアポトーシス危険因子があり、循環改善・栄養因子・グルタミン酸・TNFα・酸化ストレス・NO・・・など治療標的も非常に多い。さて、その中で、有力な候補は?

1)点眼
 ☆全ての緑内障点眼に関して、一応神経保護に関する報告があるが・・・
 1,現在主流の緑内障点眼、PG製剤(acid type)
培養細胞レベルだが、グルタミン酸や酸素負荷による細胞死をラタノ・タフル・ビマトは保護するが、ウノ・トラボは保護しない。(また、細胞死でも、ネクローシスには影響せず、アポトーシスのみ抑制的に働いていると・・。)現実は別?
 2,β遮断剤のβ遮断以外の作用
ベタキソ:カルシウム拮抗、ニプラジロール:NO供与、チモ:弱いカルシウム拮抗などが神経保護に関わっている。
☆本日の主役、カルテオロール:ISA、抗酸化、抗炎症、血管新生抑制など多彩な作用が・・・⇒炎症関連分子、ICAM-1,MCP-1を抑制(マウス)、TNF-αを抑制、実験的CNVも抑制するらしい。加えて、日本人のNTGは、酸化ストレスが多く、房水中に酸化物多い。血中ビタミンCが低く、尿酸が高い・・などと言われていて、抗酸化作用のあるカルテオロールは有効?(チョット強引?)。ここから話が角膜の話に移り、カルテオロールは、角膜上皮のUVによる傷害の保護効果(抗酸化作用)もあり、だから目に優しい・・。
 3,α2作動薬:ブリモニジン(日本未発売、アルファガン)
 神経保護の報告は多い。網膜(節細胞にも)に受容体あり、点眼で十分な濃度(2nM以上)が網膜に届いていると推定され、メラニンに結合して濃度も維持できそうで、使える。種々のストレス:低酸素、酸化ストレス、グルタミン酸によるRGC細胞死に対する抑制効果も証明されている。加えて臨床的エビデンスも?
The Low-pressure Glaucoma Treatment Study(LoGTS) 
A Randomized Trial of Brimonidine Versus Timolol in Preserving Visual Function: Results From the Low-pressure Glaucoma Treatment Study Krupin T, Liebmann JM, Greenfield DS, Ritch R, Gardiner S.
Am J Ophthalmol. 2011 Jan 21.

 ブリモニジンはチモと同じように眼圧を下げるが、神経保護(視野保護)の証明は?スタデイの結果は未発表で効果なし・・と思われていたが、今年になって有効だと・・・。ただ、ブリモニジンはアレルギーが多くて28.3%も脱落し、それを除いて、やっと有意差が出たらしく、若干眉唾もの?
☆日本では、新家先生のグループが、ニプラジロールとチモで、同様のスタデイを行ったが、有意差なし。ただ、1mmHg下げると、MDスロープを0.08dB/年と非常に緩徐に出来ることだけはわかった。

2)内服:カルシウム拮抗剤、抗アルツハイマー:メマンチン、スタチン、Cop-1など
 1,スタチン(高脂血症治療薬):直接の臓器保護効果が言われていて、内服していると、緑内障になりにくい・・。眼圧も下降するらしく、神経節細胞(ラット)保護効果もあり。in vitroでも確認していると・・よくわからない薬だが、有効らしいと。
・Statins and other cholesterol-lowering medications and the presence of glaucoma. Arch Ophthalmol. 2004 Jun;122(6):822-6.
McGwin G Jr, McNeal S, Owsley C, Girkin C, Epstein D, Lee PP.
・Effects of cholesterol-lowering statins on the aqueous humor outflow pathway.
Invest Ophthalmol Vis Sci. 2005 Jul;46(7):2424-32.
Song J, Deng PF, Stinnett SS, Epstein DL, Rao PV.

 2,カルシウム拮抗剤:ニルバジピンとロメリジン
平滑筋弛緩:血流改善と、神経保護の両効果が期待できる。培養細胞で、神経保護が確認できている。たぶん緑内障に有効。ロメリジンは、脳血管選択性があり、血圧を下げない。片頭痛治療に使われている。使えそう・・。
 ニルバジピン:高眼圧マウスモデルで、RGC保護効果あり。多分臨床応用も可能で、早期緑内障に対して、対照は0.27dB/年、nilvadipine内服なら0.01dB/年と殆ど進行しなかった。大規模スタデイが待たれる。
☆The estimated slope of change in the MD was less negative in the nilvadipine than in the placebo group (-0.01 vs. -0.27 decibels/year; P = 0.040).
A placebo-controlled 3-year study of a calcium blocker on visual field and ocular circulation in glaucoma with low-normal pressure.
Ophthalmology. 2008 Nov;115(11):2049-57. Epub 2008 Jul 31.
Koseki N, Araie M, Tomidokoro A, Nagahara M, Hasegawa T, Tamaki Y, Yamamoto S.


3)サプリメント
☆抗酸化剤が有望
  1,アスタキサンチン:培養細胞レベルでは保護効果確認。期待のサプリメントで、最近ニデックからも発売になりましたが、緑内障にも有効?
https://nidek-supplement.jp/ec/eccube/html/products/detail.php?product_id=5
  2,ω-3脂肪酸:これは?
http://takeganka.exblog.jp/10903133
  3,イチョウ葉エキス:最近になって、否定的な論文も出てきているが・・。韓国では昨年まで保険適応されていた。
http://www.suntory-kenko.com/supplement/main/43366/
  4,フラボノイド:ケンフェロール・ルチン・クエルシトリンなど:ラットRGC細胞死の保護効果を確認。しかもかなり低濃度で保護効果があり、これなら、サプリメントとしての摂取でも達成可能?韃靼そばを食べればいい??
Neuroprotective effects of flavonoids on hypoxia-, glutamate-, and oxidative stress-induced retinal ganglion cell death. Mol Vis. 2011;17:1784-93. Epub 2011 Jul 2. Nakayama M, Aihara M, Chen YN, Araie M, Tomita-Yokotani K, Iwashina T.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3133556/?tool=pubmed

☆サントリーのイチョウ葉のHPを見ると、『3粒(1.38g)あたりの成分 イチョウ葉抽出物(25%フラボノイド配糖体、7%テルペンラクトン類含有)/120mg アスタキサンチン/2mg』とあります。ここで紹介されたサプリメントが効率良く含まれている?サントリーは山崎や余市だけじゃない・・
by takeuchi-ganka | 2011-08-09 09:24 | 緑内障 | Comments(0)

大阪市旭区にある竹内眼科医院です。開業医も日々勉強。


by takeuchi-ganka
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