第386回 大阪眼科集談会 その1 (587)



立春の夕方、今年はじめての集談会に出かけました。演題は12個と特別講演。今年もしっかり勉強しましょ。

第386回 大阪眼科集談会プログラム@毎日新聞オーバルホール
日 時: 平成24年2月4日(土)14:00~17:00

1 晩期濾過胞漏出に対して漣過胞再建を行った2例 (大阪医療センター)
 レクトミーによる濾過胞は、理想的には、丈が低く・広がりをもつものが望ましいのですが、MMCを使用したとしても創傷治癒機転が働き、やがて濾過胞は限局化されることがあります。同時に強膜弁下を流れる水の量も減少すれば濾過胞はフラット化し消失するのでしょうが、そうでなければ、濾過胞内圧は高まり、濾過胞は丈が高くなり、菲薄化・漏出、そして感染という道をたどる事があります。この漏出を止める為の手段として、濾過胞再建術があります。紹介されたのは、濾過胞の周辺側(円蓋部側)に切開をいれ(3mmほど?)、そこから濾過胞周囲の癒着を剥離する(MMC塗布併用)。ただこれだけでは不十分なので、compression sutureを併用するというもの。原理的に濾過胞周囲の癒着を剥離して、周囲に水を流すのは理解できるのですが、compression sutureにはどんな役目があるのでしょう?細い糸二本が薄い(時に破綻した)濾過胞壁を強化可能?半年じゃなく、数年後の結果を聞いてみたいです。

2 Toxic anterior segment syndrcmeから続発性緑内障と水庖性角膜症を生じた1例 (大阪医大)
 PEA+IOL翌日、眼圧上昇(50以上)、角膜浮腫、虹彩色素飛散、フィブリン析出。ステロイド内服・点眼行ったものの、レクトミーせざるを得ない状況に。濾過胞再建2回行ったものの、視機能ほぼ消失・・。
 非常に急速に進行するので、じっくり構えていては終わってしまう。感染じゃなくてTASS?と思ったら、ステロイド大量投与しかない?消炎を待ってレクトミーすべきでしょうが、多分待ってられない。待ってられないから成績も悪い。恐ろしい状況で、発症したら諦めるしかない?

http://www.imic.or.jp/mmwr/backnum/5625.html
 ここには、Toxic Anterior Segment Syndrome(TASS)は、白内障などの手術から24時間以内に前眼部に発症する急性、非感染性炎症性疾患で、角膜浮腫と眼前房における白血球蓄積を特徴とし、ステロイドまたは非ステロイド抗炎症薬の点眼により軽快するが、眼球内部組織下の損傷が大きい場合は失明の可能性がある・・・と記載されています。どうやら、出自不明のエンドトキシンが原因で、TASSの発症予防は手術用具の洗浄および滅菌、使用する溶液や薬品への注意に依存すると考えられる・・のだそうです。術後炎症が強い症例の中に、TASSが混在しているのでしょうか・・・

3 先天性瞳孔閉鎖による閉塞隅角緑内障の一例 (大阪大)
瞳孔閉鎖したまま生まれてくると言うことは、急性発作の状況で生まれてくるのに近い?生後房水産生が増加すると、どんどん前房が浅くなり消失する。急いで手術に持ち込む必要あり。前房作って、瞳孔形成して、虹彩切除して、GSLも。何とか内皮が持ちこたえて眼圧下降も得られたとしても、視性刺激遮断弱視は避けられない。視機能確保へのハードルは高い。

4 前部虚血性視神経症と網膜中心動脈閉塞症を合併したChurg-Strauss症候群 (松下記念病院)
 O先生が文献読んでたのを見てたので、名前だけは知ってましたが、これも恐ろしい疾患のようです。『気管支喘息やアレルギー性鼻炎を有する人に、白血球の一種である好酸球の著明な増加を伴って、細い血管に血管障害(血管炎)を生じる病気』だそうです。症例は62歳男性で、最初は、右眼AION。次に左眼CARO、更に右眼CRAO。ステロイドのパルス、サイクロフォスファミド、血漿交換・・・奏功せず視機能ほぼ消失。
http://www.nanbyou.or.jp/entry/208

5 コクサッキーウイルスが原因と考えられた網脈絡膜炎の1例 (関西医大滝井病院)
あまり怖くない疾患?23歳女性。少し視力低下、fineKPと前房にcell少し。眼底に小出血斑と滲出斑。GPは虫食い状視野(よく測定できたなあ・・・。真実を反映?)。抗菌剤とかステロイド点眼していたら、自然寛解した。この間の抗体価の動きからコクサッキーウイルスが原因らしい・・と推定。手足口病患者が少し見えにくいと訴えたら、こんな事も念頭におくべき。Coxsackievirus感染には、眼科では乳頭炎、汎ぶどう膜炎、Unilateral acute idiopathic maculopathy (UAIM) 、そして今回のような網脈絡膜炎もあり。

6 Inverted ILM Flap Techniqueを用いた黄斑円孔手術経験 (多根記念眼科病院)
ILMを周辺から剥がしていって、裏返して中にいれる?400μm以上の大きなMHに行なって、なかなかいい成績?

7 黄斑部に脈絡膜陥凹を認めた10症例  (大阪大)
http://www.oculist.net/downaton502/prof/ebook/duanes/pages/v8/ch108/011f.html
choroidal excavationと言ってもこれではありません。これは、悪性黒色腫のエコーで見られる所見。

http://archopht.ama-assn.org/content/vol0/issue2011/images/medium/ecs15030f3.jpg
http://archopht.ama-assn.org/content/vol0/issue2011/images/medium/ecs15030f2.jpg
http://archopht.ama-assn.org/content/vol0/issue2011/images/medium/ecs15030f1.jpg
このfocal choroidal excavationは原因なのでしょうか結果なのでしょうか。CSCに伴うことが多いようで、後にCNVが発生することもあるようです。OCTで何でも見えるようになると、その意味づけも大変?

8 外斜視を伴った先天性トキソプラズマ症の1例 (近畿大)
5歳男児 右眼視力不良0.06(n.c.)で、少し外斜視があったので、斜視弱視としてアイパッチ治療して、(0.5)までアップ。その後に黄斑部に滲出斑が出現し視力低下。よくみると左眼にも少し。CTで石灰化があり、トキソ抗体上昇していて、先天性トキソプラズマ症の診断。弱視治療も考慮しつつ、アセチルスピラマイシンとステロイド内服開始。

9 ぶどう膜炎に対する硝子体手術の短期成績 (大阪厚生年金病院)
1)ARN、術後眼内炎、真菌性眼内炎などの感染性ぶどう膜炎に対して、2)悪性リンパ腫に診断目的で、3)サルコイドーシス・ベーチェット・結核・網膜血管炎などの治療目的など3つの目的がある。最後にケナコルト入れることで、かなり積極的に行なっても大丈夫?ベーチェットでさえ、レミケードいれて鎮静化測ってから手術可能・・。

10 ペルーシド角膜変性に対してトーリック眼内レンズを挿入し乱視の軽減を得た1例 (大阪医大)
良好な成績・・

11 ポリープ状脈絡膜血管症に対するranibizumab硝子体内注射単独療法の1年成績 (大阪市大)
追加IVRを連続3回にするやり方。3ヶ月で72%PCV縮小(消失)し、1年で平均6回のIVRで94%視力維持。良好な成績。問題はこの後?

12 短期間に進行がみられた両眼性後部円錐水晶体の一例 (関西医大枚方病院)
12歳男児。両眼性孤発例。短期間に進行して手術に。片眼は粘弾性物質でrupture。http://www.images.missionforvisionusa.org/anatomy/uploaded_images/wPL-750270.jpg

by takeuchi-ganka | 2012-02-06 08:15 | 学会報告 | Trackback | Comments(0)

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