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緑内障の勉強会@赤坂 (590)

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  企業の勢いを感じさせるファイザーの緑内障勉強会が東京赤坂のホテルでありました。参加する機会があったので、いそいそと出かけてきました。上りの新幹線の中から美しい富士山を眺め、東京で開業している友人に会い、いつもの赤酢の店で関根さんのスキルを十分味わうことができました。前日に、ほとんどの目的を達成してしまいましたが、頑張って赤坂へも・・

Pfizer Glaucoma Symposium 2012

第一部 緑内障診断
1,OCT時代の緑内障診断のポイント (富所 敦男先生)

OCTは進化し、少しぐらい役立つようになったのだろうか。チョット懐疑的なスタンスで拝聴。スキャン方法、解析方法は、従来のまま?segmentation技術が進み、層別に厚みを解析できれば、厚み・確率マップ・上下差分マップなどで、黄斑部の緑内障性変化をより鋭敏に検出可能。視神経の形状、周囲の神経線維厚の解析に加え、黄斑部の解析が行われているが、12☓9mmのワイドスキャンなら一気に解析可能?
症例提示
①44歳男性3Dの近視。下方にNFLD、上方ビエルム暗点。眼底写真とOCTが提示。この程度なら写真で十分の印象。
②38歳男性9Dの近視。下方にNFLD。乳頭の変化は不明。これも眼底写真で十分わかる変化・・?
③乳頭上方に幅広のNFLDと一致する視野欠損。これも一目見て視神経低形成。OCTで乳頭をradial scanすれば、12時から7時まで低形成所見があることが明らかでしたが(学問的興味レベル?)。
④32歳女性。下方にNFLDありそうに見えるが、乳頭周囲の大きなPPAの中にコロボーマがある。これは、OCT以前に乳頭を立体視すればわかること。
⑤32歳女性。下方にNFLD。OCTでも確認。ただ、乳頭周囲のPPAの中にピットあり。これも、78Dか後極部レンズで見ればわかることじゃ?
※OCT時代の緑内障診断のポイントは、従来の方法でしっかり眼底を見なさいって事かも。

2,緑内障とまちがいやすい視神経疾患 (中尾雄三先生 近大堺病院)
いつも非常に得ることが多い中尾先生の講演。今回、この講演だけでも聴きに来た価値あり。
1)緑内障と頭蓋内疾患
症例1:49歳男性。鼻下側視野欠損。視神経蒼白。緑内障らしくないが、これでも、緑内障を疑った医師がいるらしいが・・。蝶形骨縁髄膜腫。非常に血管の豊富な腫瘍で、塞栓術後摘出。その後視野回復。
症例2:65歳女性。緑内障発作後で、IOL挿入眼。視神経蒼白。視力(0.4)⇒鞍結節部髄膜腫
症例3:48歳女性。白内障術後、視力低下。CT異常なし⇒鞍結節部髄膜腫
※視野欠損を来す頭蓋内疾患として、よく取り上げられるのが下垂体線腫だが、病態がより緑内障に近いのは鞍結節部髄膜腫。中高年に多く、視神経・視交叉近くに発生し、半盲でない視野欠損、ゆっくり進行する傍中心・鼻側視野欠損、内分泌症状ない。NTGと背景が似ている。単純MRIでは、鞍結節部髄膜腫を想定していないとわかりにくい。Chiasmatic cistern(視交叉槽)のPentagonに注目。このPentagonが歪んでいないかどうか。勿論、血管が豊富なので造影すればよく分かるのだが、コストや副作用の問題もあり、全例造影というわけにもゆかないので?MRIのT1強調画像でトルコ鞍近傍を矢状断・冠状断で撮影することがポイント。
Glaucoma-like optic neuropathy in patients with intracranial tumours.
Acta Ophthalmol. 2011 Aug;89(5):e428-33

※講演と関係のない論文だが、『Large perisellar tumours were associated with a glaucoma-like appearance of the optic nerve head in eyes. It may diagnostically and pathogenetically be of importance.』らしい。つまり、やっぱり鞍結節部髄膜腫は乳頭も視野も緑内障に類似する?


2,緑内障と視神経低形成
以前に、すだちの会でも聴いたのですが、復習。MRIで視神経の輝度(信号強度)を白質と比較。視神経/脳白質⇒平均1.09程度。1.3以上が異常。緑内障は白くなるが、低形成なら細くても白くはならない。高度近視、SSOH、傾斜乳頭、小乳頭、コロボーマなど、視野欠損を伴って緑内障が存在するのか判断しにくい症例が多いが、MRIをSTIR法で行い、信号強度比(=視神経/脳白質)を計算すれば鑑別可能。ごく早期なら別だが、視野変化を来すほどの緑内障であれば、必ず異常値を示す筈なので。
 ただ、問題はこの視神経形成異常にやがて緑内障が合併する場合。こんな時、例えば明らかに外見上低形成があっても、信号強度比が大きくなれば、緑内障性変化が発生した判断することができる。36歳女性と61歳男性のSSOH症例を提示。実は父娘で、娘が左右等信号だが、親は右眼が高信号。父には緑内障が加わったと判断。

第2部 薬物治療とアドヒアランス
1,緑内障治療:単剤併用か配合剤か (庄司信行先生 北里大)

多剤になるとアドヒアランス低下。向上させる為に配合剤という流れ・・?ラタノ発売時に、多剤併用していた患者さんをラタノ一本に切り替えると、眼圧下降した。薬理作用で説明できない部分は、アドヒアランス向上のなせる技?アドヒアランス向上は、薬理作用に勝る?配合剤使いましょう?
アンケート調査
・点眼忘れない57.1%、ただ、中にはほとんど点眼していない人がいることにも・・
・いつ忘れる?:昼が多い。朝夕は忘れにくい?
・理由は?:うっかり
・何の為に点眼しているか?:正確には知らない人が意外と多い。視野進行阻止とはっきり理解している人は忘れにくい。
・医師から見てアドヒアランスのよさそうな人は、忘れない人多い。
・1日点眼回数は1回・2回なら、問題ない。それ以上は忘れやすい。
・点眼は2種類までなら問題ない?
※配合剤で種類や点眼回数を減らすことも重要だが、点眼治療の目的をしっかり伝えて理解してもらい、達成度合いも伝えることが、アドヒアランス向上によい。

2,配合薬によるアドヒアランス向上 ~配合薬アドヒアランス調査(GRACE)中間発表~ 鈴木康之先生
本当に点眼してくれているのか?真実はなかなかつかめないが、意外と点眼していない人が多い。少しでもアドヒアランス向上の為には、点眼を減らすと共に、病態を理解してもらうことが重要。GRACEという配合薬のアドヒアランス調査を行なっていて、現在3000を少し超す症例が蓄積。点眼開始前に、点眼指導の説明書を渡す群と、眼圧を下げる事の効果の説明も含むパンフレットを渡す群で比較する予定。いずれにしても、アドヒアランスアップしている。男女ともアップだが、男性が明らか。65歳以下のアドヒアランス低い群も大幅向上。

第3部 医療連携~情報共有とタイミング 
1,求める情報共有(紹介時・逆紹介時) (大鳥安正先生)

症例1:CACGで診断が遅れて、残念なケース。(隅角検査は大切!)
症例2:PEで手術タイミングが遅れて、残念なケース。(PEは重症化する前にロトシノ・トリプルがいい?)
症例3:サルコイドーシスによるSOAGとの診断が遅れたケース。(拡大隅角鏡をお勧めします)
※要するにしっかり隅角見ましょうって事。

2,医療連携3つのタイミング 診断・患者教育・手術 (狩野 廉先生)
①診断の為
②患者教育の為
③手術の為
by takeuchi-ganka | 2012-02-20 13:50 | 学会報告 | Comments(0)

大阪市旭区にある竹内眼科医院です。開業医も日々勉強。


by takeuchi-ganka
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