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ドライアイの点眼液の発売記念講演会 その2 (592)

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第二部 ドライアイの自覚症状を考える
1,涙液安定性から考える 堀裕一 先生(東邦大学医療センター佐倉病院)

患者さんにとっては、症状改善が大切。極論を言えば、SPKが悪化しても症状が改善することが優先されるべき・・。
・涙液層 tear filmに1.1μl、涙液メニスカス2.9、結膜嚢内に4.5で、合計7-8μl?
・涙液層には表層から油層・液層。この液層(水/ムチン層)に分泌型ムチンがあり、角膜上皮の微絨毛に膜型ムチンが存在。
※様々な原因が、『涙液不安定⇔上皮障害』に影響し、眼の不快感を引き起こす。
水・油・ムチンそして瞬目が重要な要素。

①水:加齢・シェーグレン・GVHDで減少。Reflex loopの障害:レーシック、DM、抗コリン薬
②油:二層あり。1)非極性脂質(マイボーム腺由来) 2)両親媒性脂質(どこ由来?)
※表面張力を下げ、水分の蒸発を防ぐ。脂質の異常(MGD)で涙液不安定に・・
③ムチン
1)分泌型ムチン(MUC-5AC):水の粘性アップ、表面張力低下
2)膜型ムチン(MUC1,4,16):親水性アップ・水濡れ性アップ
※BUT短縮ドライアイ:すぐに現れる円形ドライスポット(要注目の所見)!犯人はムチンと思われていますが、膜型ムチン減少との因果関係はまだ不明のようです・・
④瞬目:十分な瞬目が、水を上方へ引き上げ、油層を伸展し、涙液をターンオーバーさせる。これが不十分だと時にfilamentosaが・・。
④その他の要因:結膜弛緩、異所性メニスカス、コンタクトレンズ

症例提示:有田玲子先生(伊藤医院)
※ドライアイ(涙液分泌減少)単独症例より、MGDが加わった病態のほうがずっと多い。
 64歳女性、『目が乾く!』、BUT1秒、⊿0.2mm、マイボスコア4、SPKA1D1、meibumグレード1、シルマー3mm。
 涙液分泌減少は軽いが、MGDがあり、BUT短縮が目立つドライアイ。人工涙液・ヒアレイン・ジクアス・タリビッド眼軟膏・温湿布・lid hygiene・・・・色々行ったが改善しなかったが、ムコスタのみの処方で改善(スポンサーに配慮?)。BUTも3秒、7秒、8秒と改善し、症状の改善も得られた。こんなケースもあるらしい・・(どれくらいあるのでしょ?)。苦み・霞みが問題にされるが、効果が感じられ、潤えば気にならない?

※BUTの短縮の程度(パターン)・涙液メニスカス減少の有無(涙液分泌減少の有無)・MGDの有無で、油・ムチン・水のどれを補充すべきか判断する。
※油の補充は、軟膏・Lid hygiene、ムチンの補充はムコスタ、水の補充は人工涙液。上皮障害があれば、ヒアルロン酸で・・
by takeuchi-ganka | 2012-03-12 15:04 | めぐすり | Comments(0)

大阪市旭区にある竹内眼科医院です。開業医も日々勉強。


by takeuchi-ganka
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