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フォーサム2012横浜 その1 (620)

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第49回日本眼感染症学会
第46回日本眼炎症学会
第55回日本コンタクトレンズ学会
第1回日本涙道・涙液学会


フォーサム2012横浜がパシフィコであり、急遽参加することにしました。昨年まではスリーサム(眼感染症・眼炎症・コンタクトレンズの合同学会)だったのが、今回涙道・涙液学会が加わりフォーサムと呼ぶようになりました。ただ、あまり広げると臨床眼科学会もどきになりそう・・。小さな学会で一つのテーマをじっくり勉強できるのが利点なので、これ以上大きくならないで欲しい。今回は感染症だけ登録しました。と言っても、合同シンポジウムは聴講できますが。できたら、また北海道でやってほしい・・

一般講演6
ウイルス1:角膜ヘルペス
GK24 角膜ヘルペスの再発に関与する気象条件の検討 高村悦子(女子医)

ヘルペスの再活性化と気象条件。冬が一番、ついで春先に多い。詳細は、東京中心に北東方向の気圧が高い(北高型)、最高気温が低く、日較差が少なく、風が強い・・つまり体感が寒い日に再発しやすい。

GK25 角膜穿孔に至った角膜ヘルペスの1例 光辻辰馬(高槻病院)
45歳男姓。重症のアトピー性皮膚炎。ヘルペス性角膜炎の既往。角膜潰瘍があり、かなり菲薄化した部分もある。病巣の一部にdendritictail。抗菌剤+抗ヘルペス治療行ったが、10ヶ月間に4度穿孔し、最終的に癒着性角膜白斑に。内皮も減少していて、当面このままだと・・。
※重症のアトピー性皮膚炎、経過中ステロイド点眼が難治の原因?
※菲薄化した角膜にAG系は穿孔の危険が高まる?

GK26 角結膜上皮内癌に対する輪部移植5年後に単純ヘルペス角膜炎を発症した1例 唐下千寿(鳥取大)
上皮内癌切除+輪部移植術。フルメトロン0.1%継続。5年後、移植した輪部移植片が全周浮腫混濁+上皮欠損。流石に井上教授もヘルペスとは思わず、拒絶反応と判断してリンデロン点開始。ただ、翌日にはPCRでHSV1.2×106コピー検出。リンデロンをフルメトロン0.1%にして抗ヘルペス薬投与。所見改善。ただ、まだ1.6×104コピー検出されたので、フルメトロン0.1%も中止して陰性化。
※非典型例の診断にはリアルタイムPCRが非常に有用。ステロイド使用例は要注意。

GK27 リアルタイムPCRが診断に有用であったアシクロビル耐性角膜ヘルペスの1例 井上智之(愛媛)
37歳男性。地図状の大きな上皮欠損+dendritictail。PCRで3.7×107コピーのHSVが出たのでACV投与したが、改善せずに8.7×108コピー。TFT点眼(自家調整)2週間行なって改善。ウイルスも検出限界以下に。
※今回は耐性だが、アトピー患者にプロトピックしているとACV効きにくいことあるらしい。
※リアルタイムPCRは、非典型病変だけでなく耐性株にも有用。

ウイルス2:帯状ヘルペス
GK28 角膜病変を初発とした眼部帯状ヘルペス 梅屋玲子(上野眼科医院)

Zoster sine herpete(ZSH)。
最初はSPKのようなステイニングのみ。ただ、かなり痛い。頭痛も皮膚違和感もない。ヒアレインしていたら、悪化。その後皮疹出現し、VZVの診断。バラシクロビル内服とアシクロビル軟膏開始。輪部浸潤・強膜炎・虹彩炎・・5ヶ月してASI (anterior stromal infiltrate)。
GK29 帯状ヘルペス角膜炎の経過中にdelayed mucous plaque を呈した1例 大谷史江(鳥取大)
48歳男性。クローン病で長期間ステロイド内服。眼部帯状ヘルペス。左眼霞み。眼圧30。⇒角膜下方表層混濁とKP、充血あり。eye washでVZV4.2×103コピー。抗ヘルペス剤で治癒へ。その後、偽樹枝状・星芒状混濁病変が数カ所。擦過してPCRすると5.3×106(この病変は免疫反応じゃなく、ウイルス増殖病変)。抗ヘルペス治療強化して治癒。eye washしてウイルス検出せず。
http://www.oculist.net/downaton502/prof/ebook/duanes/graphics/figures/v4/0200/011f.jpg

GK30 遅発性偽樹枝状角膜炎(mucous plaque)を繰り返した帯状ヘルペス角膜炎の1例 中川裕子(徳島診療所)
59歳男性。25年前に右VZV。今回左VZV。上強膜炎、鼻尖に皮疹。バラシクロビル内服とステロイド点眼。1ヶ月で角膜実質炎。ステロイド強化。数ヶ月寛解増悪繰り返す・・。やがて偽樹枝状角膜炎発症。この樹枝状病変も、VZV増殖による病変。ステロイド+抗ヘルペス薬で治癒(ステロイド点眼したまま・・)
※抗体価があまり上昇していない。だから再発した・・。
※遅発性偽樹枝状角膜炎は、ステロイドが誘因?でも、その治療にステロイドは必要?

GK31 眼部帯状疱疹に眼科先端症候群を合併した1例 岡本真奈(兵庫医大)
全外眼筋麻痺・視神経炎を起こした稀な例。78歳女性。眼瞼下垂、視力低下(手動弁)、眼圧27、全眼球運動障害、高度のぶどう膜炎。STIRで眼窩先端症候群と診断。つまり視神経(Ⅱ)・動眼(Ⅲ)・滑車(Ⅳ)・三叉(Ⅴ)外転(Ⅵ)全てがバッサリ障害されている。ステロイド・抗ヘルペスウイルス薬内服。ここまで悪くなっても、外眼筋麻痺は徐々に改善する。視神経障害は、その虚血の程度に応じた改善なので様々らしい。この症例では、虹彩萎縮を伴う散瞳があるものの視力(0.5)、外転制限少し残るだけ。
by takeuchi-ganka | 2012-07-19 08:00 | 学会報告 | Comments(0)

大阪市旭区にある竹内眼科医院です。開業医も日々勉強。


by takeuchi-ganka
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