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フォーサム2012横浜 その5 (624)

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4学会合同教育講演
1,角膜ヘルペスの診断と治療 井上幸次(鳥取)

チョット間に合わず途中から・・。
spontaneous shedding現象があり、眼表面からウイルスDNAが検出されたからと言って、必ず病的とは言えない。ただ、リアルタイムPCRの量的情報は有用。上皮型なら10の4乗以上、実質型なら10の2-3乗程度。10の4乗以上は診断的価値高い。上皮型で検出されないなら、除外診断可。免疫クロマトグラフィー法のチェックメイト・ヘルペスアイは、感度60%、特異度100%。若干感度低いが、非定型病変で陽性にでれば役立つ。陽性なら10の4乗以上らしい。
http://www.info.pmda.go.jp/downfiles/ivd/PDF/890016_22200AMX00917000_A_01_01.pdf
 実質型:再発しやすい。あまり普及していないが、Cochet-Bonnet角膜知覚計は有用。

 治療:ACV軟膏をきっちり5回/日。SPKや眼瞼炎、結膜上皮障害などで、使えなければ内服に。耐性ヘルペスは少ないが、疑われたらTFT(trifluorothymidine)点眼(アメリカでは標準薬、日本では自分で作る)。全身投与は出来ない。掻爬が有効なこともある。
 実質型の場合、ステロイド+ACV(5回でなくていい)。重症ならリンデロン、軽症ならフルメトロン。月・年単位の長期戦。ステロイドは徐々に減らす。SCIしてはいけない。あるスタデイでは、ステロイドが無くても治るらしく、半年たてば一緒?ただ、ステロイド使えば明らかに早く治る。再発すれば、倍時間かけて漸減。血管侵入伴ったら、低濃度ステロイド中止できない。

2,症例から学ぶ眼内炎症性疾患の病理 後藤浩(東京医大)
症例1:39歳男性。外傷性RDからPVR失明。その後他眼に交感性眼炎。起交感眼の摘出:厚い脈絡膜(リンパ球・類上皮細胞↑、肉芽腫性炎症、メラニン色素↓・・)
症例2:57歳男性。転移性眼内炎で失明:前房内黄色物質充満(壊死に陥った炎症細胞)、毛様体炎膜形成・破嚢・水晶体起因性眼内炎・・
症例3:61歳男性。サルコイドーシス様滲出斑、ERM摘出:多核巨細胞、診断確定。
症例4:35歳男性。サイトメガロ網膜炎:核内封入体
症例5:82歳男性。10年以上前に失明。その後眼球が突出してきた。眼摘:摘出途中発生したと思われる新鮮な脈絡膜出血(小駆逐性出血)、菲薄した角膜、閉塞隅角、神経線維層消失、神経節細胞減少、乳頭陥凹、水晶体(異常な核、変性した線維:進行した白内障)

3,コンタクトレンズによる眼障害 植田喜一(ウエダ眼科)
問題点列挙
酸素不足すると、外した後霞む。内皮も減少するが、水庖性角膜症に至ったケースの話は聞かない。ただ1000以下になったケースはある。機械的刺激によるSEALs(Superior Epithelial Arcuate Lesions)は少し固いシリコンで起きやすい。HCL・SCLの汚れも問題(特にシリコンは汚れやすい)。過酸化水素消毒で、中和忘れの急性角膜障害に注意。MPSによる角膜上皮障害。特にシリコンとの組み合わせで要注意。ドライアイに関して:通常のドライアイ以外に、HCLによる局所のドライアップ(3-9ステイニング)・メニスカス近くのドライアップに注意。HCLのべベル幅が広くてリフトが高いとドライアップして障害。逆でも機械的に障害。CLPCは、CLの汚れだけじゃなく、機械的刺激でも生じる。10~20代の角膜感染症は、CLが原因。MPS消毒普及に伴い、アカント感染増加。煮沸消毒の衰退が原因。MPSのスタンドアローン神話は危険。こすり洗いが重要。レンズケースも定期的に交換しましょう。消毒剤もたっぷり使って、短期間に使い切るべき・・・・・・・

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※当院でのパンフレットから
コンタクトレンズの洗浄、すすぎ、消毒、保存については、現在そのすべてをひとつの液で果たすよう設計されたもの(MPS)が使われています。当院でお渡ししているレニュー・マルチプラスもそのひとつです。このMPSは、現在最も消毒効果の高いもの(MPDS)ではありますが、それでも、失明につながる角膜感染の最大の原因であるアカントアメーバについては効力が非常に低いことがわかってきました。そこで、学会で得られた知識から、少しでも安全にソフトコ ンタクトレンズを使っていただく為に、間違っても失明しない為に、いつくか提案しておきます。元々、コンタクトレンズケアの基本なのですが・・・

①まず手洗いしてください。
※手は汚染されています。
②ソフトコンタクトレンズを外した後は、表裏ともに擦り洗いしてください。
※これが最も重要なポイントです。これをやらないと、消毒した意味が半分以下となります。
※手のひらに十分な量の洗浄液を落します。指のはらの部分をレンズに当てて、同じ方向にゆっくり前後に約10秒間。裏返してまた洗浄液を落とし、再び10秒間。そして、MPSをたっぷり使ってすすいでください。
③MPSをケチることなくしっかりすすぎ洗いしてください。
※MPSも小さいものなら、2週間で使い切ってください。古くなると、ボトルの中が汚染されることがあります。
④レンズケースに入れる。
※このレンズケースですが、前回、レンズを取り出した後は、蓋をあけっぱなしにして、乾燥させた状態にしてください。そこに新しいMPSを入れてください。このレンズが濡れたままであるとか、古いMPSが入ったままだとか、水道水が入っていたりすると、この中で、アカントアメーバが増殖している可能性があります。必ず、使った後は、乾燥させてください。そして、3か月程度で新しいケースに変えて下さい。
竹内眼科医院 院長 竹内正光
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4,涙道・涙液診療の進歩と課題 宮崎千歌(県立塚口)
鼻内視鏡と涙道内視鏡の普及に伴って、大きな変革が・・

1)先天鼻涙管閉塞について
32週で鼻涙管が開く(らしい)。生直後閉塞していても、3ヶ月で70%が開く。12ヶ月で90-96%が自然治癒する(らしい)。従って、盲目的プロービングはもっと控えるべき。初期には観察のみでいい。点眼しながら、涙嚢部マッサージ(点眼は2週以上しない?耐性菌の問題?)。プロービングは汚染手術。敗血症、心内膜炎なども考慮すべき?
※この話は、最近知ったのですが、凄い内容。

2)TS-1について
角膜障害が有名だが、それが一過性なのに比べて涙道障害は非可逆的。

体力の限界で、招待講演パス・・
チョット休憩して、藤沢へ向かいました。
by takeuchi-ganka | 2012-07-29 08:58 | 学会報告 | Comments(0)

大阪市旭区にある竹内眼科医院です。開業医も日々勉強。


by takeuchi-ganka
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