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第393回大阪眼科集談会 その2 (677)

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特別講演
やさしい神経眼科-眼瞼・眼球運動のみかた 三村治 兵庫医大

※多分、私だけではなく?苦手な人が多いので、この分野のタイトルには、しばしば『やさしい』とか『これならわかる』・・・などの形容詞がつきます。でも、やさしいようで、それほどやさしくはなく、時間をかけて復習しながら・・・
※突っ込みどころ満載なので、専門家は無視するように・・・

1,異常眼位
・滑車神経麻痺(上下斜視、頭部傾斜)
・DuaneⅡ(外斜偏位、内転努力に伴う眼球後退)
・外眼筋線維症(非進行性・眼瞼下垂と外眼筋麻痺、AD)
・先天性眼瞼下垂
・重症筋無力症
・眼位性眼振

2,特徴的顔貌
筋緊張性ジストロフィー(の顔貌):前額に皺のない眼瞼下垂 
・重症筋無力症
眼咽頭筋ジストロフィー 

3,眼球突出
※左右差3mm以上
・眼窩蜂窩織炎(急激な発熱・疼痛・・)
・甲状腺眼症:上転障害を伴う
・CCF:充血・聴診、昔はトノグラフィーで特徴的な所見。脈波↑トノメーターサイン
・眼窩静脈瘤:体位変換で眼球突出
・高度近視(仮性眼球突出)。 ※眼球後部が筋円錐から上耳側に脱臼することも(下内斜視)

4,眼瞼下垂
・MRD (margin reflex distance) 1mm以下で弱視の危険性。逆に、1mmあれば大丈夫。
・挙筋機能:正常なら10(8)mm以上。挙筋機能ゼロでも2mmぐらいあるらしい(上直筋の作用)。
・HCL長期装用(ポピュラーな原因のひとつ)
・重症筋無力症:日内変動あり、夕方増悪。片眼性に見える事もあり、要注意
 ※テンシロンテスト(コリンエステラーゼ阻害剤):これははっきりしないなら陰性とすべき。
 ※上方注視テスト:1分ぐらい?疲労減少の確認。
 ※アイステスト:眼瞼に氷を2分。瞼裂幅が2mm以上改善したら陽性。高齢の重症筋無力症にテンシロンテスト危険なので・・・。でも、冷たい・・(コリンエステラーゼを冷やすことで活性抑制+2分間閉瞼効果?)
・瞼裂開大:甲状腺眼症(朝悪い・・)⇒上眼瞼後退、眼瞼症状で初発。疑ったらMRI。上眼瞼挙筋・ミュラー筋に炎症。ケナコルトよく効く。

5,眼瞼痙攣
http://takeganka.exblog.jp/18188928/
・眼瞼ミオミキア:疲れてピクピク、下眼瞼が多い
・眼瞼痙攣:両側眼瞼に左右対称性に筋収縮を起こす。
 ※Meige syndrome:口輪筋・顎部にまで及ぶ。ドライアイと鑑別診断が問題になるのに加えて、半数がドライアイを合併している。
・薬剤性眼瞼けいれん:抗パーキンソン薬、抗うつ薬、抗ヒスタミン薬など・・
・開眼(開瞼)失行症:眼輪筋の収縮なし。上眼瞼挙筋がうまく動かない。手で開瞼すると開いたままになる。
・片側顔面けいれん:顔面神経根部が脳底血管に圧迫。必ず片側。CISS(MRI)

※瞬目テスト:速瞬テスト・強瞬テスト
※眼瞼下垂(眉毛↑)、けいれん(眉毛↓)
※ビデオで記録(デジカメで簡便にできるので、利用する)

6,眼球運動障害
外転神経核
中脳のMLF(medial longitudinal fasciculus 内側縦束)
橋のPPRF(paramedian pontine reticular formation 傍正中橋網様体)
----------------------------------
水平眼球運動の神経経路
一側のPPRF ⇒ 同側の外転神経核へ 
1,⇒ 同側の外直筋に作用
2,⇒ 核間ニューロンを介して反対側のMLFを上行して、対側の動眼神経核から対側の内直筋に作用
----------------------------------

※MLF症候群:患側眼の内転制限・対側眼の外転時眼振、輻輳保持
⇒ 右側のMLFが障害されると、右方視の際に右眼は外転できるが、左眼は内転できない。
原因:若年ではMS(脱髄)を第一に。高齢者は血管障害。片眼/両眼
※偽MLF:MGやFisher症候群
※眼球運動失行症の頭部運動
 DD 外眼筋線維症
※自発性異常眼球運動:シーソー眼振、輻湊眼振、オプソクローヌス
※シンナー中毒:眼球振動、視力低下、小脳萎縮

7,複視
1)滑車神経麻痺
長くて、後ろで交叉。最も障害されやすい?頭部鈍的外傷、血管障害・・
パークス3ステップ
下方視で複視↑、uncoverした時の上眼瞼の動き
*赤ガラスを持たせてペンライトを当てる。
*上斜筋ミオミキア:片側顔面けいれんと同じ。多い?見逃している?

2)動眼神経麻痺
 上から圧迫(動脈瘤による)、瞳孔散大。動眼神経の中で、瞳孔に関する線維が表層に位置しているので、後交通動脈瘤の影響を受けやすい。逆に、虚血の影響は受けにくいので、DMでは、瞳孔異常なしだと。
*異常連合運動:マーカスガン
*頭痛を伴ったら、緊急

※思い出
3年ほど前、近所の内科から急性緑内障疑いで患者さんが送られてきました。昭和38年生まれの女性です。緑内障発作にしては、若いなあ・・と。ただ左眼が完全に塞がっています。少し落ち着いて観察すると、左側のほぼ完全な眼瞼下垂、外方以外の全方向の眼球運動障害、そして瞳孔散大(!)。数日前から眼の奥の痛み、その後嘔気・嘔吐、頭痛・関節痛に発熱もあり、インフルエンザと診断?
 もし核性動眼神経麻痺なら典型的には病側の動眼神経麻痺と反対側の上直筋麻痺および両側の不完全眼瞼下垂らしいですが、今回は、所謂核下性の典型例のようで、しかも瞳孔散大を伴っている。つまり、くも膜下腔で内頚ー後交通動脈瘤の圧迫が疑わしい。即座に緊急度合いを判断しかねましたが、結果としては、その日に脳外科に送りました・・・。その数日後、勉強会で、このようなケースが、『神経学的Emergency』として紹介されていました。瞳孔散大を伴う、動眼神経麻痺は、内頚動脈- 後交通動脈分岐部(IC-PC aneurysm)や内頚動脈-前脈絡叢動脈分岐部動脈瘤(IC-AchoA artery)のサインであり、すぐにでも脳外科に送るべきだと。もし不完全麻痺であれば、散瞳していなくても注意が必要で繰り返し再診させるべき。完全麻痺で瞳孔不同(-)であれば安心だと・・・忘れられない症例です。
 結局、翌日に左前頭・側頭開頭し、ネック・クリッピング行い、動脈瘤を破り、動眼神経への圧迫と取り除いたそうです。そして2年半ほどして、再診されました。当時の事は殆ど覚えてない。手術して、退院する頃には少し眼瞼が上がるようになり、眼球運動障害は残っていて複視が強く眼帯しないと歩けない状態。複視がほぼ消えたのは2ヶ月後だとか。視力・視野・眼底・・・・異常なしでした。

3)外転神経
長い・・15mm。頻度が高い。高血圧・糖尿病の合併が多い。
外傷・脱髄・腫瘍・血管障害・・・
※両外転神経麻痺  脳腫瘍
※小児:Duane、Moebius
※滑車はいいけど、動眼・外転は必ず画像診断

4)MG
・当然ですが、夕方悪い。
・60-70% 眼症状で初発。
・抗AchR抗体
・眼輪筋型 陽性少ない

5)甲状腺眼症(朝が悪い?)
・急性期::眼瞼浮腫・眼瞼後退(Dalrymple sing, Graefe sign)
・慢性期:眼球運動障害:障害筋は、77%下直筋、44%上直筋・・・
・抗TSHレセプター刺激抗体(TSAb)、抗TPO抗体、抗TG抗体・・・陽性率60%前後らしい。
するなら、TSAb、TPO?いずれにしても、甲状腺眼症があっても、内科的にバセドウ発症前、血液検査陰性であることが多く、甲状腺眼症の診断は、血液検査に依存しない。
 DD 眼窩筋炎(筋全体の肥厚)
by takeuchi-ganka | 2013-04-30 09:04 | 学会報告 | Comments(0)

大阪市旭区にある竹内眼科医院です。開業医も日々勉強。


by takeuchi-ganka
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