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第42回関西医科大学眼科同窓会 その2 (681)

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芳香を放つニセアカシア

セッション3 腫瘍
8,メトトレキセート硝子体注射を要した眼内悪性リンパ腫の1例 天理よろず病院

76歳男性。片眼に黄白色の滲出斑。徐々に拡大・・・。他眼にも。IL-10/6 = 424/1 > 1。悪性リンパ腫以外では、IL-10は100pg/ml以下であることが殆ど。MTX大量投与で改善。その後再発。再度の全身投与はリスク大きいので、局所投与とし、改善した。ただ、局所投与と言っても、いつまでどれくらいの頻度で続けるのか?
教科書を見れば、通常、400μg/0.1mlを週2回計8回で導入、週1回計4回で強化。その後月1回計12回で1年間維持する。つまり、1年間に24回ぐらい行うらしい(IL-10を効果判定に)。抗VEGFといい、気軽に硝子体に注射しつづける時代になったものです。
※副作用として角膜上皮障害あり。


9,脈絡膜新生血管を生じた脈絡膜骨腫のSD-OCT所見と臨床経過
CNVと関係なく視力低下することもあるかもしれないが、今回の症例はCNVにともなって視力低下。IVBは一時的には有効?反応悪い。5年で26%,10年で45%視力低下。10年で56%が0.01以下に・・・長期予後不良。OCT所見を病理組織所見と対比した、教授の姿勢が感じられる詳細な報告。
※エコーと異なり、情報の多いOCT所見が驚き・・

10、細胞診、補助診断ともに陰性で診断に苦慮したホジキンリンパ腫の1例 野江病院
78歳男性、片眼の突然の視力低下(0.01)。深い中心暗点。眼底には網膜血管周囲炎の所見?
この時点では、球後視神経炎が疑われている。前医で、Gaシンチが行われていて、鎖骨下や鼠径部に集積あり。やがて両眼の硝子体が混濁し、悪性リンパ腫を強く疑うものの、IL-10/6 = 12/7340 <1。マルチプレックスPCRで原因検索するも陰性。ようやく同意がとれて鎖骨下リンパ節生検で、混合型ホジキンリンパ腫と診断確定。化学療法行い沈静化したが、視力は両眼とも(0,01)。もともと虚血性変化が強くて、網膜が菲薄化していたから?
※通常、非ホジキンリンパ腫B細胞性で、IL-10/6 >1だが、T細胞性では使えない。

11、悪性腫瘍随伴網膜症の1例 湖崎眼科
75歳男性。
初診  視力1.2/1.2 OCT異常なし。
6週後、視力1.2/1.2
8週後 視力1.2/1.0
12週後 視力 0.1/1.0 OCT:外顆粒層薄く、IS-OS line不明。GP:周辺部のみ残存。
13週後 視力 HB/CF 網膜白濁?動脈狭細化。ERGノンレコ、内科で肺癌の診断。
16週後 死亡
※凄い速さ。あっという間に、広範囲の視細胞が【悪性腫瘍が産生する蛋白質に対する自己抗体が視細胞を攻撃することが原因となる網膜変性疾患】。視細胞急性障害モデルを見ているような・・。初診時のOCTを更に詳細に検討してほしい・・


セッション4 その他
12、眼瞼下垂手術におけるデザイン ~より精度と整(容)度をあげるために~ ささきクリニック

ノーコメント
13、最近の屈折矯正医療(レーシック、レーザー白内障手術、角膜内インレー老眼治療) 品川近視クリニック
品川近視クリニックのCM?
14、アイキャンプ2012
世界の果てまでイッテQ!的な最果ての地へのアイキャンプ。ご苦労様です。



井街賞受賞記念講演
網膜虚血再灌流モデル(I/Rモデル)に対するG-CSFの効果 嶋千絵子

Neuroprotective effects of granulocyte colony-stimulating factor on ischemia-reperfusion injury of the retina. Shima C, Adachi Y, Minamino K, Okigaki M, Shi M, Imai Y, Yanai S, Takahashi K, Ikehara S. Ophthalmic Res. 2012;48(4):199-207.

ちょっと検索すると、こんな論文が・・
Neuroprotective effect of granulocyte colony-stimulating factor in a focal cerebral ischemic rat model with hyperlipidemia. Hong Y, Deng C, Zhang J, Zhu J, Li Q. J Huazhong Univ Sci Technolog Med Sci. 2012 Dec;32(6):872-8.
顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)は分子量約 19KDa,174 個のアミノ酸からなる糖蛋白質でIL-6と44.6%の相同性をもつ. 骨髄ストロ-マ,単球などから産生され,好中球系細胞の分化増殖の促進,成熟好中球の機能亢進という作用をもっている・・・らしい。
癌化学療法後や再生不良性貧血のときの白血球減少症において、既に治療薬として使われている。そのG-CSFに、VEGF増加・血管新生を介した神経保護効果があるらしい・・。虚血に陥った脳神経細胞をレスキューすると。件の論文では、I/R(虚血再灌流)モデルにおいて、24時間後の網膜内層、7日後の網膜外層のアポーシスをG-CSFでレスキュー。そのレスキューにAKT pathwayが関与。G-CSFで、p-AKTが増加。P-AKT陽性細胞は主として神経節細胞層に。網膜内層障害の治療に有用?
by takeuchi-ganka | 2013-05-22 08:34 | 学会報告 | Comments(0)

大阪市旭区にある竹内眼科医院です。開業医も日々勉強。


by takeuchi-ganka
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