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朝丘雪路さんが、加齢黄斑変性らしい

  
徹子の部屋を見ていると、ゲストの朝丘雪路さんが、『加齢黄斑変性(AMD)』で治療したことをお話しされていました。ただ、黒柳さんも、朝丘さん御自身も、この病気の理解とはかなり遠いところにおられるようでした。この病気は、非常に怖い病気と思っています。比較的良好な視力であったのが、あっという間に殆ど役に立たないほどの視力に低下することがしばしばあり、特に3割ほどある両眼性の患者さんは、社会生活が著しく制限されることもあります。治療手段が著しく進歩した現在でさえ、実は、通常一旦悪化してしまった視力は殆ど回復不能なのです。

AMDの診断で、専門病院へ治療を依頼。
でも、発症前?なので、手が出せない。視力(0.9)
(中心窩にかかるPEDとserous RD)
朝丘雪路さんが、加齢黄斑変性らしい_f0088231_120421.jpg

発症後は、急速に視力低下。
朝丘雪路さんが、加齢黄斑変性らしい_f0088231_1211257.jpg

治療しても、最終視力は、0.04(n.c.)
朝丘雪路さんが、加齢黄斑変性らしい_f0088231_1214647.jpg

少し古い症例ですが、最善の治療を受けてこの結果。
このようにAMDの治療は非常に困難なのです。

 現在、ある事情で、多くの病院で、この疾患を扱うようになりましたが、かつては、この疾患を専門にする病院は多くなくて、関東では日大駿河台の松井教授、関西では関西医大の宇山教授が2大巨頭で君臨されており、その影響で関西医大には、非常に多くのAMD患者さんが集まっていました。(従って、2大巨頭の後継者?、日大の湯沢先生、関西医大の高橋先生は、間違いなくこの疾患の大家だと思います。) 末席にに居た私は、来る日も来る日も、AMD患者さんの写真を撮っていたことを覚えています。ただ、開業して思ったのは、結構稀な病気で、一般の町の眼科医院の外来に新患として受診される患者数は、年間に一桁でしょうか・・・。
 
朝丘さんも受けられたようですが、2004年から一般病院でもPDT(光線力学的療法)という治療が始まり、治療が簡単になったのです。かつては、FAGと呼ばれる造影写真を専門家が解読して、疾患本態である新生血管の場所を特定し、レーザー光線でピンポイントの狙い撃ちしていました。再発率も高く、下手すると、治療しているのか、病巣を拡大させているだけなのか・・・・、とても専門家でないと手は出せない領域と感じていました。
(その後、レーザー治療よりも、硝子体手術ばかりが、脚光を浴びた一時期がありましたが・・・・)
ところが、今は、FAGに加え、ICGと呼ばれる造影検査を組み合わせて、画像をパソコンに取り込むと、半自動的に照射部位・照射条件が決定されます。ビスダインと呼ばれる光感受性物質を注射して15分後に、決定された部位を決められた条件でを半導体レーザーで照射すると、正常組織は障害されずに、新生血管だけが選択的に障害される・・・・という治療がPDTです。3ヵ月後に効果判定し、治療効果不十分なら再治療です。注射した光感受性物質の為に、5日程(特に最初の48時間)は、日光に当たるのを避けなければならず、この為、2-3日の入院が必要です。

(費用は、全て込みで、3割負担の方なら12万ぐらいでしょうか。再発すると繰り返し行うことになっており、有名なJATstudyでは、平均2.8回。つまり、12万×2.8・・30万以上!やはり高いですね。)

 かつて名人芸が必要であった網膜レーザー光凝固術治療が、アメリカ人でもできる簡単なPDT治療になってから、あっという間に、多くの病院で治療が行われるようになりました。今、多くの病院で、競って患者集めをしているようです。まあ、簡単・確実?なのは、患者さんにとってはいい事で、短期的な結果もいいそうですが、長期的な結果は、あまり楽観的ではなく、大きすぎる期待をもって治療を受けるのは問題がありそうな気がします。
by takeuchi-ganka | 2006-04-29 12:12 | 加齢黄斑変性 | Comments(0)

大阪市旭区にある竹内眼科医院です。開業医も日々勉強。


by takeuchi-ganka
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