2014年 06月 09日
大阪眼科集談会 第400回記念講演会 その1 (759)
大阪眼科集談会が400回を迎えました。明るい綺麗な会場で、若い演者でも、その人間性を尊重されながら運営されている今の集談会より、あの薄汚い中小企業会館で、時には名物助教授に、若い演者がボコボコにされていた以前の集談会の方が、何倍も勉強になった気がする・・。
記念講演会なので、今回は、各大学を代表する演者による特別講演5連発・・・・。
1)角膜の再生医療 大阪大学 辻川元一教授
脚光を浴びている再生医療。中でも角膜の再生医療は、他の組織に比べて有利なポジションにある。長い歴史があり、表面の小さな組織だから・・。
角膜上皮幹細胞疲弊症に対して、全層角膜移植が行われていたが、当然ながら成績はよくなかった。その後、角膜上皮形成術(KEP)・輪部移植術が行われ、時に透明治癒も得られたが、せいぜい40%ほど。長期成績も不十分。ドナー不足や拒絶反応の問題もあり、再生医療に期待が集まった。最初は、他眼の輪部幹細胞を培養してシートを作成して移植。
※温度応答性培養皿を使うことで、良質のシート作成可能。
http://twins.twmu.ac.jp/first/technology_base.html
他眼の幹細胞が利用出来ない両眼性疾患の場合は、口腔粘膜からシートを作成。透明性が高く、100%透明治癒。ただ、長期的には血管新生、上皮下混濁の問題もあり、今後の主役は『iPS細胞』に・・・
※細胞調整施設(CPC:Cell Processing Center):多施設で共同運営され、高度の品質管理が可能に・・
ES細胞(Embryonicstem cell 胚性幹細胞)は、原理的に全ての細胞に分化可能だが、倫理的問題がつきまとう。そこで登場したのが、山中先生の体細胞から作成した人工多能性幹細胞(iPS細胞)。受精卵から始まった細胞は、細胞増殖、分化、形態形成・・と様々な組織となる過程で、多能性を失っていくが、iPS細胞は、ヒトの大人の細胞に4つの遺伝子(OCT3/4,SOX2,C-MYC,KLF4)を導入することで、初期化して多能性を獲得することに成功した。近い将来、iPS細胞から角膜上皮や内皮シートを作成し、移植が可能に・・・。