NEW POST

大阪眼科集談会 第400回記念講演会 その2 (760)

大阪眼科集談会 第400回記念講演会 その2 (760)_f0088231_06543650.jpg
※矢田寺の紫陽花2


2)当科における選択的網膜色素上皮レーザー治療 大阪市大 山本学 講師  

海外では、Selective Retina Therapy (SRT)と呼ばれる閾値下レーザー治療。感覚網膜や脈絡膜にダメージを与えずに、網膜色素上皮のみを治療する。thermo-mechanical disruptionという原理。網膜色素上皮のメラノソームの温度を上げて、周囲に微小気泡を発生させ、網膜色素上皮のみ破砕。健常な網膜色素上皮の再生を促す。対象疾患は、CSCDME、傾斜乳頭症候群のSRDRVOCME、遷延したRDなど。

※市大のSRTは試作機。製品化はもうすぐ?

視神経炎治療の問題点 大阪医大 奥英弘 准教授 

視神経炎の診断:視力・視野・CFF・色覚・RAPD・眼痛・・などから判断。血液検査は無力・・疑いがあれば⇒FA:病巣が視神経から離れる(後方へ)と所見なし。MRI:必須検査

何度聴いても、頭のなかが混乱するので・・・

――――――――――――――――――――――――――――

先ず頭の整理を・・

参考資料:http://www.ms.med.tohoku.ac.jp/ms.html# (多発性硬化症治療学寄附講座のHPから)

多発性硬化症(MS:中枢神経(脳・脊髄・視神経)に繰り返し炎症がおきる病気。当然視神経炎もあり。

※もともと欧米のMSは大脳・小脳視神経を侵さない病型。視神経脊髄を侵すタイプはNMOと区別されていた。

視神経脊髄型多発性硬化症(OSMS(日本特有):高度な視神経炎と下半身不随(横断性脊髄炎)を繰り返す頻度が高い日本特有のMSMSに含まれる・・・?

視神経脊髄炎(NMO:両側の視神経炎と横断性脊髄炎を数週間以内に連続して発症するもの。単相性のものをデビック病。再発するものがOSMS

 ⇒1999年の新しい診断基準では、NMOMSとは異なる疾患と定義された・・。日本のOSMSMSじゃない?

 ⇒NMO患者の血液検査で特異な自己抗体(NMO-IgG)が見つかる。日本のOSMSでも半分陽性。

 ⇒NMO-IgGは、抗アクアポリン4抗体

 ⇒抗アクアポリン4抗体陽性視神経炎

――――――――――――――――――――――――――――

視神経炎を見た時に、どう考える?MSに合併した視神経炎なのか。MSの唯一の臨床所見としての視神経炎(Clinically isolated syndromeCIS))なのか?

Optic Neuritis Study Group2008CISタイプ視神経炎 389 15年追跡 MSへ移行50%(MRI正常なら25%MRI異常なら72%

ステロイドパルス治療の有効性は?

⇒効果は限定的。投与早期の視力回復を早める効果はあるらしいが、6ヶ月も経過すればプラセボと差がなくなる。2年間再発を抑制しているようだが、5年経過するとそうでもない。つまりパルスではMSを抑制できない。また、視神経発症のMSの身体障害は重症化しないようで、どんな治療でも同じ?但し、内服は再発が多く×。

neuromyelitis opticaNMO) ⇒再発するタイプも存在する

予後不良で、5年以内に30%死亡。片眼は0.1以下、歩行障害も・・

このNMO患者の血清中に、特異的に存在するNMO-IgG = Aquaporin4抗体は、73%に陽性で、日本のOSMSでは58%に陽性だそうです。そして、この抗Aquaporin4抗体の有無によって、病態・治療は大きく異なる。抗Aquaporin4抗体の感度は高くなくて、segonegative・・つまり血液検査で陰性のNMOというか、抗AQ4抗体陽性視神経炎が存在する可能性あり・・。

※抗Aquaporin4抗体陽性患者で、視神経炎のみ、脊髄炎のみのこともある。

NMOの約50%が視神経炎で発症。女性が非常に多い。再発するし、視力不良。

治療は、先ずパルス。できれば48時間以内に・・・。無効なら血漿交換。中には有効なこともある。免疫グロブリン大量投与も・・

http://takeganka.exblog.jp/9019030/ 

で、視神経炎を見たら、

私のような小さなクリニックでは対応できないので、とりあえず、神経眼科の専門医のいる大きな病院へ行ってもらうのですが、流れとしては、かつてのようにステロイドの内服を出す訳には行かないので、ただすぐに送るだけ。

多分、採血して、抗AQ4抗体の有無もオーダーして、結果を待ちながら、ステロイドのパルスしつつMRIも行う。

1,既にMSの診断がついている

2,MRI病変があって、将来MSとなりうるCISなのか。

3,MRI病変がなく、MSじゃないのか・・。

4,抗AQ4抗体陽性のNMOなのか。seronegativeだけどNMOなのか・・

MSの可能性が濃厚なCISならインターフェロン投与してMSへの進展抑制。

NMOなら、血漿交換や免疫グロブリン大量投与も考慮?


by takeuchi-ganka | 2014-06-10 07:03 | 学会報告 | Comments(0)

大阪市旭区にある竹内眼科医院です。開業医も日々勉強。


by takeuchi-ganka
カレンダー
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31