2014年 06月 12日
大阪眼科集談会 第400回記念講演会 その3 (761)
難治性黄斑疾患の治療 関西医大 尾辻剛 准教授
難治性黄斑疾患:中心窩分離、ピット黄斑、CSC、Dome-shaped Macula、MacTel、加齢黄斑変性・・・
・先ず慢性CSCに対して半時間PDT。基本的に有効。無効であれば抗VEGF・・(効果は限定的だが)。
・Dome-shaped macula:後部ブドウ腫内の隆起・強膜肥厚・脈絡膜圧排、outflow障害⇒剥離、アフリベルセプト有効
・MacTel 基本は直接凝固。無効・不十分な場合にトリアムシノロンやラニビズマブ。
・加齢黄斑変性 抗VEGF治療が基本だが、ノンレスポンダー(ラニビズマブで15%)やタキフィラキシー(ラニビズマブで2%)にどう対応する?例えば、IVR5回やって8000μm以上となった大きな病巣をどうする?PDT適応外、或いは視神経周囲の病巣をどうする?
⇒尾辻くん考案のアイロニングPDT(ironing PDT)。一定速度で動かしながらPDTを行う。(ガイドラインの規定の83秒間の照射時間の間、ゆっくりと照射スポットを動かすことにより、すべての病変部に照射する。)8眼に行い、視力維持。
http://www.myschedule.jp/woc2014/detail.php?sess_id=1339
緑内障患者さんが教えて下さったこと 近畿大学 奥山幸子 講師
90歳末期緑内障 眼圧30。レクトミーしたが、インフルエンザで死亡。
80歳末期緑内障。レクトミーして1年半後死亡。
80歳片眼失明。レクトミー後認知症進み、特養へ。
90歳、点眼3剤+Diamox2錠⇒食欲不振、認知症。⇒内服中止、サンピロ追加
80歳片眼失明。他眼末期。点眼3剤。独居+在宅介護+生活保護⇒死亡
80歳続発緑内障。レクトミー。奥さん死亡後、息子さん宅へ転居
90歳右主動弁・左光覚のみ、通院困難
79歳 30年前と18年前のGPデータから多分一生大丈夫と判断。
CACGで、2年間に視野欠損大幅に悪化。
24歳リンデロン軟膏でステロイド緑内障
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眼科医が一体どこまで患者さんに関わることができるだろうか。
眼科医としては、一般的な手術適応に加えて、患者さんの社会的背景を加味したケース・バイ・ケースの判断が求められる。眼の状態以外に、患者さんの年齢・パーソナリティー・家族構成・経済的事情など・・・臨床医がどこまで深く入り込むべきだろう・・?また入り込めるだろうか?勿論、医学的な判断をポンと提示して、あとは選んでね・・・では、冷たすぎるが、かと言って、家族目線で全ての患者さんに接していたら、時間的にも大変だし、医学的な判断に迷いは生じないだろうか。でも、確かに演者のスタンスは素晴らしい。私には到底真似出来ない演者独特の世界に浸りながら、考えさせられる最後の講演でありました。