2014年 06月 27日
第10回大阪角膜フォーラム@ヒルトン大阪 その3(763) アレルギー性眼疾患
3,アレルギー性眼疾患 Up to date 2014 順天堂大学浦安 海老原伸行 教授
春季カタルと角膜障害
巨大乳頭の色・形・・でその活動性がわかる。
好酸球:顆粒蛋白 MBP、ECP ⇒角膜上皮障害
潰瘍、シールド潰瘍、プラーク ← 細胞残渣 ← MBP
治療薬
1,ステロイド(1951)
2,抗アレルギー薬(1984)
3,シクロスポリン(2008)
4,タクロリムス(2010)
※長らくステロイドしかなかった。ステロイドによる眼圧上昇頻度はかなり高い。特に9歳以下にはhigh responderが多い。VKTは4歳ぐらいから発症し、8-9歳がピーク。high responder群と年齢一致するので、要注意。
シクロスポリン:分子量1200と大きく眼内に入らない。ステロイドと併用。免疫調整剤。
タクロリムス:分子量800と大きく眼内にないらない。T細胞免疫抑制。巨大乳頭も縮小。自覚症状は、さらに早く改善・・・。単剤で治療可。重症時のみステロイド併用。
かゆみの原因
1,肥満細胞由来のヒスタミンなど・・
2,T細胞由来のIL31が痒みと相関。
※患者の涙中のIL31↑
(IL-31は、T細胞から産生され、かゆみを誘発し、アトピー性皮膚炎や気管支喘息などのアレルギー疾患に関与するサイトカイン)
モデルマウス(アトピー眼瞼縁・結膜炎モデルマウス)
タクロリムスで、痒み減少(スクラッチ行動減少)
つまり、T細胞関与の痒み。
タクロリムスで寛解に持ち込んだ後は?
タクロリムスは、霧視・SPK・刺激感・感染リスク・高価・・・などの理由で長期継続しにくい。
※アトピー性皮膚炎のProactive療法の応用。
アトピー性皮膚炎は、通常タクロリムスで寛解に持ち込んでも、皮膚のバリア機能が低下していて、保湿のみでは、再燃しやすい状況にあるが、タクロリムスを2-3回/週使うことで、再燃頻度を減少。角膜上皮のバリア機能も、未発症時においても、寛解時においても低下している。それが再燃しやすい理由?だからReactiveではなく、Proactive療法を。これを応用して、タクロリムスの点眼回数を4回から2回、1回、隔日1回、2-3日に1回と漸減する(抗アレルギー薬併用)事で、再燃頻度減少!
抗アレルギー薬は何を使う?
1) ケミカルメディターター遊離抑制薬 2) ヒスタミンH1受容体拮抗薬 のどちらを使用するのか?
・BAC濃度については様々だが、重症ドライアイ、連続装用SCL患者以外では、さほど考慮しなくていい・・
・また、点眼がしみるかどうかは、pHが関与。酸性が強いとしみる。パタノールは中性だが、ザジテンは酸性。アレギサールはアルカリ・・。『しみる』事が好まれる場合もあり、一概にどれがいいとは言えない?
・スギ花粉抗原を用いた結膜抗原誘発試験(CAC : conjuctival allergen challenge test)での、パタノールとアレジオンの比較では、アレジオンに軍配?⇒免疫抑制剤の相棒としては、アレジオン?
ムチンの問題
正常なムチンはアレルギー予防に役立つ。ドライアイはアレルギーになりやすい・・
重症VKC ムチン↑↑ 質↓ バリア↓
慢性AKC ムチン↓ 質↓ バリア↓
※アレルギーの慢性化にムチンが関与。
ムチンが欠乏すれば、抗原刺激が直接入り慢性化しやすい・・
ドライアイ治療薬のムコスタ点は、ムチンを増加させ、結膜上皮バリア機能↑
軽いVKCやAKCにも効く?
VKCやAKCをある程度おさえたら、ムコスタ点でバリア補修。寛解時の追加治療として・・期待。