2015年 02月 08日
第404回大阪眼科集談会 その1 (810)
※今年最初の集談会。この日は集談会後、仲間との新年会で久しぶりに蟹と対面できるので気合い充分?
1,Hnadshaketechniqueを用いた眼内レンズ強膜固定術 橋本茂樹 近大
https://www.youtube.com/watch?v=f3uDGsvzOfI
Y-fixationtechniqueから発展したテクニック。助手も特殊な器具も不要。
先ず、虹彩の上において、先行ループを強膜創口から鑷子を入れて掴んで引き出す(Hnadshake technique)。その間、後方ループは命綱で危機回避。その後、後方ループもHnadshake techniqueで強膜固定。
2,ヘパリン起因性血小板減少症患者に硝子体手術を施行した1例 藤井明子 市立ひらかた病院
http://medical.mt-pharma.co.jp/intro/nov/test/04.shtml
ヘパリンは広く知られている抗凝固薬だが、『ある状況下で、この抗凝固薬が免疫学的機序を介して血栓塞栓症を引き起こす』らしい(HIT2型)。増殖糖尿病網膜症で血液透析しているHIT患者に、ヘパリン中止してアルガトロバン(抗トロンビン)を投与しつつビトして、良好な結果。
3,慢性中心性漿液性脈絡網膜症に対するアフリベルセプト硝子体内投与の効果 小池直子 関西医大滝井
CSCの基本は網膜光凝固でしょうが、漏出点が中心窩に非常に近いとか、慢性型で漏出がびまん性・・などのケースでPDTが行われることがあるが、脈絡膜血管閉塞や血管新生のリスクがある。そこでより侵襲の少ないアフリベルセプト投与。視力はわずかに改善?ただ中心窩下網膜厚は有意に減少。脈絡膜が厚くて滲出性変化がある場合にはよく効くが、網膜色素上皮機能不全の要因が高ければ効きにくい?でも3ヶ月で平均2.4回って、少し多い?
※単純計算だが、1年で9回以上なら問題・・?
4,脈絡膜の菲薄化が見られた網膜打撲壊死の1例 岡田怜奈 大阪市大
強い眼球打撲の場合、単なる網膜震盪症(網膜外層の軽微な変化)だけじゃなく、脈絡膜循環障害・網膜色素上皮障害、網膜外層の障害が生じる(網膜打撲壊死)。症例は、転倒して眼球打撲した68才男性。黄斑部網膜に乳白色混濁。FAで過蛍光。この部位の脈絡膜厚をみると、最初376、2週後267、1か月後256、2ヶ月後283、3ヶ月後337μm。最初減少して、その後回復していると・・・
※この脈絡膜循環障害が生じたと思われる部位の、網膜色素上皮・視細胞の経時的変化、視力変化を知りたいものです。脈絡膜循環障害部位近傍の網膜の変化も・・
5,硝子体手術後の再剥離を契機に網膜動脈の白鞘化を来した増殖糖尿病網膜症の2例 西川優子 大阪医大
ビト後再剥離した時に後極の網膜動脈が白鞘化。炎症+低酸素による石灰化?
6,フィラデルフィア染色体陽性急性リンパ球性白血病眼内浸潤の1例 杉本恭子 JCHO大阪病院
http://www.glivec.jp/illness/all/04.html
Ph(+)ALLは、ALLの15-30%。予後不良・・
55歳男性。虹彩炎に前房蓄膿。ただ可動性がない蓄膿。一旦改善したが、網膜前にあらわれてニボー形成。また改善したが、大量の前房蓄膿が出現して、眼圧も上昇。前房洗浄して、細胞診:ClaccⅤ
⇒メトトレキサート硝子体注(複数回)、ベバシズマブ注
※Ph(+)ALLの眼内浸潤は非常に珍しい・・らしい。一般的には、視神経浸潤が多い。今回も眼底写真少し視神経の色悪そうだが・・
7,小線源治療後に重篤な眼内出血から眼球摘出に至った脈絡膜悪性黒色腫の症例 佐々木麻衣子 関西医大
59才男性。CSCの既往。NTGあり。左眼乳頭の上方に3.6mm厚の充実性腫瘤(音響空胞あり?)。加えて黄斑部やや下方に脈絡膜血管腫with SRD。ルテニウム小線源強膜縫着。17ヶ月ぐらいまで腫瘍減少していたが、その後腫瘍増大+綿花様白斑(放射線網膜症)。虚血が強かったので網膜光凝固。その後大出血・全剥離⇒眼球摘出。
※腫瘍には外照射効果低いので考えていなかった・・。
http://ganjoho.jp/public/cancer/data/uvea.html#07
8,ヘルペス性ぶどう膜炎におけるRTVue-100角膜モジュールの診断的有用性についての検討 小林礼子 阪大
http://www.chuosangio.co.jp/products/rtvue/rtvue04.html#tabTop
15例の内、PCR陽性5眼。3眼CMV、HSVとVZVが1眼づつ。内皮側が波うってたり、内皮側の輝度が高かったり、KP(単独、連続、団子状??)
Comparison of the ocularcharacteristics of anterior uveitis caused by herpes simplex virus,varicella-zoster virus, and cytomegalovirus.
Jpn J Ophthalmol. 2014Nov;58(6):473-82.
9,緑膿菌による感染性角膜炎の2症例 横山洵子 日生病院
http://www.santen.co.jp/medical/commons/pdf/inf11529.pdf
48歳女性 2週間交換SCLを2ヶ月使用。輪状膿瘍・前房蓄膿 ⇒ガチフロ・トブラマイシン頻回点眼、ゲンタマイシンSCI⇒改善
93歳女性 痴呆あり 角膜スリガラス状・・⇒ガチフロ・トブラマイシン頻回点眼、セフタジジムIV⇒穿孔⇒眼球内容除去
10,膠様滴状角膜ジストロフィ36眼における治療用ソフトコンタクトレンズ連続装用の効果 繁田 阪大
※責任遺伝子はTACSTD2遺伝子。角膜上皮バリアが弱く、角膜上皮下に涙液が入り込み、最終的にアミロイドが沈着。混濁が進行したら手術しかないが・・・
治療ソフトコンタクトレンズを連続装用したことによる効果を膠様隆起スコア、実質混濁スコアで判定。
実質混濁スコアには影響しないが、膠様隆起スコアは明らかに改善。角膜上皮下への涙液の侵入をSCLがブロック。膠様隆起病変を改善し、進行を抑制する。つまり、診断つきしだいSCL開始。
11、涙嚢内結石に対する内視鏡治療 三島雅 多根記念眼科病院
鼻涙管閉塞の9%ぐらいに涙嚢内結石あり。この結石と粘液との関係は?
1082例の鼻涙管閉塞にSEP(Sheath guided Endoscopic Probing)+SGI(Sheath Guided Intubation)
粘液(+)(383)⇒結石(+)(98) ⇒内視鏡チューブ留置(63%)、DCR(39%)
⇒結石(-)(285)
粘液(-)(699)⇒結石(+)(0)
⇒結石(-)(699)
※結石と粘液は関係有り・・
12、ドライアイにおける前眼部OCTによる角膜上皮厚の解析 塚本美香 阪大
ドライアイでは角膜上皮厚薄い・・SPKあればされに薄い・・。
上皮厚とSPKスコアは負の相関(特に下方)
※ただ、今のOCTは上皮厚といっても涙液厚も含んでるのが問題・・・