2015年 07月 27日
第4回守口オフサルミックフォーラム その2 (855)
2,糖尿病黄斑症の治療戦略
糖尿病網膜症の重症度に関わらず深刻な視力障害の原因となる黄斑症に対する治療戦略についてのお話。黄斑浮腫の病態は複雑だが様々な原因が推定されている。※あたらしい眼科(森實祐基Vol32(3):361-357, 2015)にあったシェーマを再現してみました。
- 血管内皮細胞破綻
- 網膜色素上皮バリア破綻・ポンプ機能低下
- 炎症細胞浸潤・炎症性サイトカイン蓄積
- 硝子体牽引など・・・
糖尿病黄斑症のタイプ別治療法?
- 嚢胞状黄斑浮腫(CME)タイプ ⇒ステロイド、抗VEGF
- スポンジ状網膜膨化タイプ ⇒抗VEGF
- 漿液性網膜剥離(SRD)タイプ ⇒手術?
ステロイドか、抗VEGFか?後者はアバスチン・ルセンティス・アイリーアのどれか?ステロイドは、STTAが基本だろうが、CMEタイプには比較的有効。取り敢えず安価!抗VEGFで保険適応があるのは、ルセンティスとアイリーア。有効だが高価。3割負担で1回5万ほど・・・・。抗VEGFもCME・スポンジ型にはよく効くがSRD型には効きにくい。
Visualoutcome after intravitreal bevacizumab depends on the optical coherencetomographic patterns of patients with diffuse diabetic macular edema. ShimuraM, Yasuda K, Yasuda M, Nakazawa T.
Retina.2013 Apr;33(4):740-7. doi: 10.1097/IAE.0b013e31826b6763.
糖尿病黄斑症に対するルセンティスの大規模スタデイ
RISE/RIDE試験
①ルセンティス0.3mgまたは0.5mgの毎月投与群と②無投与群との比較で、3年後明らかに視力に差がついていた。
RESTORE試験
①ルセンティス(0.5mg投与)のみ、②ルセンティス+光凝固、③光凝固のみの3群の比較
①ルセンティスのみ群:まず毎月で3回やって、あとは必要時(pro re nata: PRN) ③光凝固群:1年後からルセンティス(PRN) ①②③全ての群で1年後から必要あれば光凝固。最初の1年は、ルセンティス入れないと明らかに悪いが、3年経過するとあまり大きな差はない。
DAVINCI試験
①アイリーア0.5mg毎月 ②アイリーア2mg毎月 ③アイリーア2mg8週毎(3回毎月やった後) ④アイリーア2mgPRN ⑤光凝固 に振り分け。まず網膜光凝固のみの成績は明らかに悪い。導入期の3回毎月の後に悪化するようなので、導入期には5回毎月が推奨・
VIVID/VISTA試験
①網膜光凝固のみ ②アイリーア2mg毎月 ③アイリーア2mg8週毎(5回毎月導入後)
アイリーア投与群の方が圧倒的にいい成績。②と③は差がない?⇒つまり今の標準では、毎月投与を5ヶ月行って、その後は8週毎でいい?
※平均1年7回以上らしく、3割負担だと年35万以上?
実際は?
Focal type だとMAを直接凝固した後、ルセンティス・アイリーアを2-3回した後PRN
Diffuse typeだと、ルセンティス・アイリーアを2-3回した後、有効出ない場合、MAあれば焼いて、無効ならビト。MAなければビト。このビトだが、ILM剥離+BSS網膜下注入(38G)が主流?