2015年 11月 09日
第5回 関西眼科フォーラム その2 (888)
講演5 オキュラーサーフェス疾患と眼表面バリア 東邦大・大森 堀裕一 教授
オキュラーサーフェスバリア
- タイトジャンクション(細胞間)
- Glycocalyx (糖衣)⇒膜型ムチンとの関連、ガレクチン3、細胞内アクチンフィラメントとの関係
角膜表面バリアにとって、ムチンは重要な構成要素。ムチンを分泌する杯細胞の分布は、鼻下側結膜に多い。膜型ムチン⇒糖衣を形成。主たるムチンの役割:①涙保持 ②潤滑 ③バリア
③バリア:細胞間と細胞表面:上皮細胞間バリアは、タイトジャンクション(ZO-1、ZO-2)。ムコスタ点眼はバリア機能↑/電気抵抗↑、またTNF-αによるZO-1障害を抑制。上皮細胞のバリアは膜型ムチンで、これがローズベンガル染色をブロック(ムチン(-)⇒細胞染色)。BACは、そのバリアに影響。BAC濃度上昇するとローズベンガル染色↑。緑内障点眼のBAC濃度も問題になっていて、多剤になるとSPK↑。薬剤毒性角膜症:キサラタン(0.02%)からトラバタンズ(Sofzia system)へスイッチするとSPK↓
※微絨毛とタイトジャンクションは、ERM蛋白を介してアクチン線維と連絡あり?膜型ムチンとタイトジャンクションは両方同時にやられることもある?
ドライアイ症状 ①乾燥←涙液不安定化 ②異物感←瞬目時の摩擦
瞬目時の摩擦が関与する疾患:Superior LimbicKeratoconjunctivitis (SLK)、LieWiper Epitheliopathy (LWE)、filamentosa、conjunctivalchalasisなど。
※Lid Wiperには杯細胞が多く、分泌されるムチンが瞬目を滑らかにしている?
Thelid wiper contains goblet cells and goblet cell crypts for ocular surfacelubrication during the blink. Cornea. 2012 Jun;31(6):668-79. doi: 10.1097/ICO.0b013e31823f8d8c.Knop N, Korb DR, Blackie CA, Knop E.
ジクアス:ムチン分泌↑、涙液分泌↑/ムコスタ:杯細胞介してムチン分泌↑、粘膜保護・抗炎症・・
涙液量(涙液△):正常人において、ジクアス(>ムコスタ)の方が効果大。点眼後30分まで・・。15分後、ムチンはジクアスの方が効果大。ジクアスはすぐに効くが、ムコスタはゆっくり。上皮の治療を介して・・らしい。
※摩擦↑ ⇒ムコスタ/涙液不安定⇒ジクアス/spotbreak⇒両方?
・薬剤毒性角膜症:ドライアイは結膜障害が優位、薬剤毒性は角膜障害優位。治療は全て中止して、BACフリー人工涙液を。眼圧上昇なら内服で、消炎必要ならステロイド内服かリンベタPF点眼。時間がかかるがゆっくり治療。明らかなドライアイがなければプラグしない。
・BACによる接触性皮膚炎:刺激性じゃなく、アレルギー性。⇒原因排除して、ステロイド。
・TS-1による障害:30%に流涙症、10%に涙道閉塞。角膜障害はもどるが涙道閉塞は不可逆的。涙道閉塞対策は大変らしい。内服中止指示はしにくいし、止めなければ涙道閉塞は不可逆的に・・。
・タルセバ(イレッサの後継):EGFRの障害。RCEのようなびらん、皮疹100%
エルロチニブ塩酸塩(タルセバ)内服中にみられた角膜潰瘍(原著論文) 浜野 茂樹(帝京大) 臨床眼科 (0370-5579)69巻9号 Page1343-1345(2015.09)