2016年 01月 26日
第21回大阪緑内障研究会 その2 (904)
基調講演 ゼラチンハイドロゲルのさらなる緑内障手術眼への応用 マイトマイシンC徐放を中心に 小蔦祥太 大阪医大
MMCレクトミー最大の合併症は、濾過胞感染と強膜融解・・。眼圧下降は強力だが、致命的な合併症が稀でない。そこで、より安全なDDS(MMC投与方法)は? 再生医療の現場で、『bFGFが染み出る固体ジェル状のゼラチン「bFGF徐放化ハイドロゲル」を利用した血管再生治療』が話題になっているらしい。細胞増殖因子や遺伝子のキャリアだが、これがMMC徐放のDDSとして使えないか?
①まず、緑内障手術モデル犬で、ゼラチン・ハイドロゲル(GH)のみを結膜下へいれてみると、予想外に、GHのみでも、濾過胞形成が良好で、眼圧も下がった。結膜下で増殖抑制し、結膜肥厚も減少。組織を隔離した為か・・。
②ANGIをANGIIへ変換するヒトキマーゼの役割については知らないけれど、このキマーゼ阻害薬(CI)が使えるらしい?CIは、肥満細胞の脱顆粒を抑制する。CIを包埋させたGHをモデル犬に使うと、眼圧はより下降し、濾過胞形成も良好で、キマーゼ陽性細胞減少、結膜肥厚も減少。ただ血管密度は不変。MMC使うと減少。
③MMC包埋GHとMMC5分塗布との比較。眼圧も濾過胞も同様で、結膜の厚みも同じだが、コラーゲンや毛細血管はMMC塗布で減少。より安全な濾過胞形成が可能に・・・?
④リパスジルの話。この薬剤は、線維芽細胞増殖抑制が期待できる。モデル犬に術後点眼して、眼圧下降、ブレブスコア↑、癒着↓、結膜薄い、PCNA細胞減少・・・。かつてリザベン点眼でも同じような事が言われた気がするが、期待できるなら、使ってもいいのかな。
⑤TGF-β含有GHで、術後1週間TGF-βを全て徐放。眼圧予後を決定する重要な期間で、期待できる。
※将来の実用化・・・という意味では前途多難・・・らしい。