NEW POST

第16回近畿眼科オープンフォーラム その3 (960)

第16回近畿眼科オープンフォーラム その3 (960)_f0088231_10555153.jpg

第二部は症例提示。

1,初期緑内障の症例検討  関西医大 城信雄

38歳女性。-1.5程度の近視で、眼圧22-24。乳頭陥凹あるが、リムしっかりしていて、NFLDなし。30-2/10-2、マトリックスも正常。左眼GCCのみ低下。片眼軽度のGCC異常以外のすべてが、緑内障性変化を示していないので、流石に治療しないが、その後5年間でGCC悪化(-3.91μm/5年)。これでもまだ悪化速度が速くないので様子を見ることに・・

54歳男性。-1.5程度の近視で、眼圧15程度。視神経乳頭陥凹は右眼下方に拡大、左眼は深い陥凹。左眼GCC上方で低下。NFLも減少。マトリックスで下方異常あり。これはPPGというより、極早期緑内障と考えて治療すべき。7年後両眼ともGCC少し悪化。ただ視野悪化なし。(個人的には、この極早期の患者さんの何も自覚がないレベルを治療で維持することが、初期緑内障の治療目標だと思っています。)

49歳女性。-8程度の近視で、眼圧18ぐらい。視神経乳頭、右眼小さくて陥凹上方へ拡大。左眼下方へ拡大。cpRNFLGCCも低下しているが、非典型的。30-2とマトリックスは正常。無治療で3年。GCCのみ少し悪化。OCTを駆使したとしても、高度近視でGCCcpRNFLの異常パターンが緑内障の特徴に乏しいと、若干数値が悪化したとしても、治療は躊躇われることがある。なんとか緑内障独特の特徴(上下の差など)を見つけられたら治療開始?

2,advanced glaucomaの症例検討 大阪医大 植木麻里

55歳男性。-3.5程度の近視。5年前に緑内障指摘。眼圧20/17。点眼で低眼圧。3剤入れて眼圧13/11。特に左眼は中心に近い感度低下進む・・・さあどうする?よくあるケース。中等度の緑内障があって、点眼を入れて眼圧下降したのだが、徐々に悪化して、中心視野に障害が及ぶ。既に3剤入っている。次の一手をどう考えるのか。

フルに点眼が入っていてローティーンの眼に対する治療は、眼科医によって大きく異なるだろう。濾過手術をしないという立場と、片眼だけでも濾過手術をおこなって眼圧一桁台を目指す立場とがあると思う。前者であれば、点眼全体に見直しや点眼追加、或いはSLTが選択肢だろうし、後者なら、この場合はインプラントじゃなく通常のレクトミー。植木先生は、レクトミーのようです。

 時に、昔に片眼だけ濾過手術が行われていて、低い眼圧が維持されていたと推定されるケースで、その眼だけ有効な視機能が残っていて、他眼はほぼ失明している患者さんに遭遇することがある。何度かそんな患者さんに遭遇すると、やはりリスクをとってでも、濾過手術は必要だとも思うし、濾過手術の合併症を何度も経験すればするほど、それ以外の方法を模索するだろうし、統計学的にこうすればいいでしょう・・と、割りきった判断は難しそうだ。

ここで、時間がなくなり早退・・


by takeuchi-ganka | 2016-08-30 10:56 | Comments(0)

大阪市旭区にある竹内眼科医院です。開業医も日々勉強。


by takeuchi-ganka
カレンダー
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31