2017年 02月 09日
第416回大阪眼科集談会 その3 (996)
最近ここの景色にはまってます^^;
特別講演
原発開放隅角緑内障の長期経過と長期予後 福地健郎 新潟大
福地先生は、岩田先生がおられた時代からの、生え抜きの緑内障専門家。貫禄あるけど、ちょっと年下か・・・^^; 最近は意外と雪が積もらない新潟市からいらっしゃいました。集談会後の講演にしては、テーマが壮大で、ついていけるか心配しつつ・・・
1)視野
今回のテーマは視野。我々は緑内障患者さんの視機能を守るのが目的なのだが、評価の基準となるのが視野。イベント解析で、進行の有無を判断し、トレンド解析で進行速度を推定する。治療によって、進行速度を緩やかにして、命ある限り、有用な視野を維持できるように治療するのが目的。ただ、どのステージで、どの視野検査を行うのが、最も有用(適切)なのかが問題になる。ゴールドマン(GP)、30-2、10-2を使い分けるのだが、進行して、ハンフリーで真っ黒になってても、GPなら情報得られる事が多いし、30-2で異常がなくても、10-2では立派な暗点が見つかることもある。上手く使い分けが重要。
※まず正確に検査ができているかどうかも。特にハンフリーは、信頼性の指標をチェックすべき。学習効果にも注意が必要で、最初の1-2回は、成績向上するので、MDスロープ計算の場合除外が必要。OCTのGCC異常が検出されたら、対応する視野異常検出は10-2がベター。
※個人的には、実は悩みは大きい。基本は30-2をしてMDスロープを求めたいのだが、視機能の細かな評価となれば、10-2のダメージがどの程度なのか知りたいし、10-2の経時的変化も重要になってくる。たまにはゴールドマンもして、全体の評価もしたいし・・・すると、視野検査漬けになってしまう。この配分をどうするか・・・実は悩みは大きい。
2)QOLについて
QOLでは、特に読書が問題なくできるかどうかが重要。疫学調査では、NTGが圧倒的に多いのだが、ロービジョン外来にはPOAGが最も多い。つまりPOAG(HTG)は重症化しやすいということ。QOLを評価する方法として、①質問票(スコア化) ②機能検査(ドライビングシミュレーターなど)があり、視野検査結果を使ってQOLを推定するなら、①Better eye MD ②重ね合わせ視野(IVF※)が有用。
※ Integrated visual fields: a new approach to measuring thebinocular field of view and visual disability. Crabb DP, Viswanathan AC. Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol. 2005 Mar;243(3):210-6.
VFQ-25ラッシュスコアによる緑内障患者のQOLと視野指標との関係(末武亜紀2016日眼)
⇒VFQ-25スコアとの相関係数は better MD 0.56、worse MD 0.53、better VFI 0.59、worse VFI 0.56であった。better eyeに、より高い相関があり、中心に重要性をおいたVFIが MD値より相関係数が大きい。
※さらにIVFの中心部分に10-2を組み込んだ高精細重ね合わせ視野は、よりQOLを反映。
※下半視野は上半視野の2倍、10度以内は10度以外の4倍重要。
3)進行速度
POAGはNTGより進行早い。MDスロープが-1.0dB/Y以上なのはPOAG13.6%、NTG7.3%だったと。平均MDスロープも悪いし、下半分のTD変化も悪い。長期的には中心視野も障害されやすい。POAGとNTGは、異なる対応が迫られる。POAG(HTG)は眼圧が高いとMDスロープ悪いが、NTGではあまり関係ない?(岐阜大のデータは関係ありだが・・・)。
Progression rate of total,and upper and lower visual field defects in open-angle glaucoma patients.
Fukuchi T Clin Ophthalmol. 2010 Nov 18;4:1315-23
4)前視野緑内障(PPG)
視野異常(+)とは、30-2や24-2でAnderson-Patellaの基準で異常(+)と定義。一応この定義で異常(-)で、眼底に緑内障性変化が明らかな緑内障がPPG。より鋭敏な視野計として、FDT、オクトパス、SWAP・・などがあるが。SWAPはSAPより5年ほど先行するものの再現性悪いし、悪化判定も難しい。特殊視野検査よりも、OCTに任せた方が楽・・
PPGの中には、POAG(HTG)とNTGの両方が含まれているが、HTGは進行速度早いので、要注意。特に若いひとは・・。
かなり以前から、ブログを拝見していました。
いつも、勉強をさせて頂いています。
緑内障歴12年目の59歳女性です。
長いこと、初期の状態で維持をしてきましたが、
2年ほど前から進行が始まりました。
竹内先生のブログの中に、MD値1.0/年の進行で
手術を考えると言う掲載が以前ありましたが、
私の場合、昨年の8月に検査を受けたとき、
MD値-2.54⇒半年後-4.25と、-2.0近い進行
PSD値も6.65⇒7.06
そしてGHTが92%から87%と大幅に悪くなりました。
視野検査の、固視不良はありません。
点眼薬も、ルミガン・アゾルガで、16と17までしか
下がらなかったので、先月末からグラナテック追加です。
強度近視なのでOCTは既に真っ赤で、視神経は元々薄いので
年を重ねるといつか、進行期が来る事は覚悟はしていたのですが、
その進行があまりにも早いようで、今は怖くてなりません。
主治医は、視野検査は100%では無いので、
次の視野検査まで保留しましょう、良い結果が出る場合もありますと仰っていました。
同時期に進行していた、右目は、今回は進行していないと言う結果で、片目だけです。
半年でここまで、視野狭窄が進行する原因は
何かお解りになりますか?
また、私のような例もあるのでしょうか?
誤差が大きい場合、視野検査に不備があった場合もあると
言って下さった方も居たのですが、今は、急激な進行に
意味が解らず、不安でなりません。