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第12回眼科治療を語る会 その1(1023)

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最近猫が多いなあ・・

第12回眼科治療を語る会 2017527

湖崎先生が中心となって、関西医大の緑内障グループと、かつてそこに在籍していたものが、緑内障について勉強する集まりです。主任教授の専門分野によっては、マイナーになったりメジャーになったりする緑内障ですが、今回で12回目の集まりとなりました。若干存続が危ぶまれてはいますが、今回は、かつて緑内障グループを牽引していた三木先生に思う存分話していただきました。


製品紹介 キサラタンとザラカム

UKGTSという強力なエビデンス。キサラタンは、有害事象は、プラセボと同レベル(22%)で、視野進行を明らかに抑制できることが示された。

他のPG製剤との比較は、メタ解析によれば、眼圧に関しては、若干ビマトに劣るものの、充血は明らかに少ない。多分PAPも?(prostaglandin-associatedperiorbitopathy )。

・・・・

リアルタイムアンケート

(ちょっとボタンを押すまでの時間が短くて、アンケートが十分にできないという致命的欠陥を抱えてはいたが面白かった)

  • 1,PAPという言葉を知ることに(PPAPではありません^^;)。DUESだけでなくて・・・⇒

  1. deepening of the upper eyelid sulcus (DUES)
  2. upper eyelid ptosis,
  3. flattening of the lower eyelid bags
  4. inferior scleral show

  • 2,PPGで治療を必要と判断するのは?⇒眼圧・近視の左右差、患者の知識?
  • 3,ちょっとわかりにくかったが、PPGで治療開始する場合に重要視する所見?⇒眼圧・GCC・乳頭所見
  • 4,治療開始後に、治療を変更するのは?⇒静的動的視野の悪化、眼圧下降率が20%以下になったら・・
  • 5,点眼ファーストチョイスは?⇒殆どPG製剤と答えたが、β遮断剤と答える重鎮が・・・同意できないなあ。
  • 6,PG配合剤を使うタイミングは?⇒PG製剤複数試みた後に・・が多数。



久しぶりに聴く、三木ワールドスタート(^o^)

『もう一度考えよう! 緑内障治療』~病的近視と緑内障 閉塞隅角緑内障 PPG NTG・・・~ 三木弘彦

もう75歳を越える三木先生。もう出会ってから、33年も経ってしまいましたが、いつまでも私には大切な兄貴的存在です。いつもひたむきに勉強されています。私のように、こんなことを言えば、どんな風に思われるのだろう・・・・なんて邪念はなく、まっすぐに疾患や患者さんと向き合っておられます。

最近緑内障の失明数が半減したのは、OCTに代表される画像診断による早期診断と、点眼・手術の進歩によるところが大きいのでしょう。ただ、日本(多治見スタデイ)では、NTGで眼圧15以下なのが68%と多数を占めている。日本緑内障学会の行ったLNPGSでは、眼圧12ぐらいでも3年で20%5年で70%も視野が悪化することが明らかに。この日本に多いNTGは、眼圧を15以下にしても、進行するとうい現実をどのように打破すればいいのか。⇒ キーワードは、  IOP Fluctuation ② Target IOP  そして、Single-Digit IOP

POAGは、眼圧が高いと絶対駄目だが、NTGは眼圧の高さと視野障害の程度があまり関係なくて、重要なのはIOP Fluctuation。でも、これをなくす(フラットにする)には手術が必要。点眼ならPGCAI。カナダの学会の基準でも、IOPFluctuationは軽度なら5以下、進行期なら3以下が求められている。

Effectiveness of Single-Digit IOP Targets on Decreasing Global andLocalized Visual Field Progression After Filtration Surgery in Eyes WithProgressive Normal-Tension Glaucoma  Iverson, Shawn M.; Schultz,Scott K.; Shi, Wei  Journal of Glaucoma .25(5):408-414, May 2016.

平均眼圧13.18.5mmHgにして、10以下を66%に。それで視野悪化は13.3%で、Single-DigitIOPにすれば手術有効だったと・・。※症例提示:65歳男性/68歳男性 ともに12年加療しているが、一桁眼圧に持ち込めたら何とか維持できたと・・

病的近視と緑内障について

病的近視⇒ posterior staphyloma(後極部の変形)

⇒網膜:脈絡膜新生血管/網膜分離症/黄斑円孔・・・

⇒視神経:近視性視神経症

つまり眼軸の延長に伴う、眼球の形態変化は、網膜にも視神経にも影響を与える。緑内障が共存する場合は? POAG+近視⇒進行早いが、NTG+近視は悪化しないらしい。

http://www.exblog.jp/search/?blogid=1020088231&t=0&q=Peripapillary+Changes+In+Pathologic+Myopia

広帯域モード・ロックレーザー光源光干渉断層計を用いた篩状板傾斜角測定と緑内障・近視の関連 庄司拓平(埼玉医大) ⇒ 近視が強いほど,水平方向への篩状板傾斜角度が有意に大きい。垂直方向においては緑内障群が非緑内障群に比べて有意に篩状板傾斜角度が大きい。『篩状板の傾斜により篩状板内を通過する神経線維にかかる負荷は一様ではないと考えられ,このような篩状板の歪みが緑内障眼や近視眼にみられる視神経症や視野障害と密接に関わっている可能性が示唆された。』 このあたりが近視がリスクファクターである理由?

http://journal.nichigan.or.jp/Disp?style=full&vol=120&year=2016&mag=0&number=11&start=764

赤木らは、そんなハイリスクの高度近視眼+高眼圧の緑内障に対して、レクトミーして、眼圧を一桁に下げると、形態の変化が確認されたと。図らずも、やはりSingle-DigitIOPを目指すべきことが示された?

Morphological changes aftertrabeculectomy in highly myopic eyes with high intraocular pressure by usingswept-source optical coherence tomography Tadamichi Akagi

American Journal ofOphthalmology Case Reports, Vol. 3, p54–60

  • peripapillary scleral shrinkage,
  • decrease in the lamina cribrosa depth,
  • flattening of the peripapillary scleral insertioninto the optic disc,
  • decrease in the angle of the scleral protrusiontemporal to the optic disc,
  • inhomogeneous change in scleral curvature of theposterior pole.

角膜内皮の問題は?MMCレクトミーで4.2%減、アーメドで3.5%減、エクスプレスは0%

Trabeculectomy VersusEX-PRESS Shunt Versus Ahmed Valve Implant: Short-term Effects on CornealEndothelial Cells AmericanJournal of Ophthalmology, Vol. 160, Issue 6, p1185–1190.e1

じゃあ、PACGについてはどうなのか。元々視神経が眼圧に対して脆弱な訳ではないので、瞳孔ブロックが解除されたら、その後は安心?ここでも10年以上経過をみているPACGを提示されて、Single-Digit IOPを達成できず、-5dBから-19dBまで悪化したケースと、Single-Digit IOPを達成して、14年間悪化しなかった症例が提示。(※偶々?PACGに関しては、そうでない症例も多いと思うが・・)

次にPACS・・つまり瞳孔ブロックがあって、まだ隅角閉塞やGONを生じていない段階の眼。ただ、経過観察でいいのか。ちょっと驚きの見解なのだが、瞳孔ブロックの有る眼において、『眼圧』と眼内圧は乖離していることがあると。それは18mmHgと幅があり、積極的にレーザー虹彩切開術される理由らしい。(これについては、以前少し考察したので ⇒ http://takeganka.exblog.jp/23610482/

※話はそれますが、緑内障急性発作に前房穿刺治療。これも以前少し驚いて、論文を読んだ事があります。一応安全だと書いてあって更に驚いたのですが、積極的に取り組む必要はないのだろうが、追い詰められた状況においては、選択肢あり?

Benefits of anteriorchamber paracentesis in the management of glaucomatous emergencies J Med Life. 2014; 7(SpecIss 2): 5–6.

Anterior chamberparacentesis in patients with acute elevation of intraocular pressure. Graefes Arch Clin ExpOphthalmol. 2007;245(3):345–350.

http://takeganka.exblog.jp/15754049/

講演で提示されたのは上記論文ではないかもしれないが、14例のAACGの術前平均53.4の眼圧が、10分後24.124時間後18.27日で16.4mmHgになったと。

最後に、PPGについて

治療する?しない?しないのは、社会的要因?するのは医学的要因。個人的には、進行する可能性が高いと思われるなら、神経節細胞死が、ある量に達して、視野変化が明らかになるまで、治療しないという選択は、考えにくいのだが。特に、『眼圧の正常なPPG』 VS 『眼圧の高いPPG』では後者のほうが遥かに危険なので、治療すべき。


Commented by 正常眼圧緑内障 at 2017-06-05 12:34 x
かつての上司が眼科クリニックで正常眼圧緑内障と診断されてました。
それが原因かわかりませんが、夕方から夜にかけて、見にくいので、車の運転をやめていると言ってました。
自分もかつての上司の様な年齢になったので、今年初めて無散瞳の眼底カメラでの検査を受けました。
異常はありませんでしたが、車で仕事をしている以上、毎年、定期的に眼科検査を受けておくのは、義務であると感じました。
Commented by takeuchi-ganka at 2017-06-07 07:13
おっしゃる通りです。
症状のない疾患ですから、定期検査しかありませんね。
by takeuchi-ganka | 2017-06-05 10:42 | Comments(2)

大阪市旭区にある竹内眼科医院です。開業医も日々勉強。


by takeuchi-ganka
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