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緑内障 Hood レポート(トプコンOCT)(1031)

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可愛い後輩達の還暦祝いのプレゼント。皆有難うm(_ _)m

緑内障Hoodレポート

トプコンのOCTに新しい解析ツールが追加されました。元々優秀な器械なのだから、ソフトを充実させれば、更に有用になることは間違いないのだが、なかなかそうならない事の方が問題だったのかも。もっともっと頑張ってほしいな・・・トプコンさん。

で、新しいツールというのは、Hood先生が提唱・監修したとされる緑内障Hoodレポートです。このトプコンのOCT Tritonで緑内障性障害をスクリーニングしたい時に最もよく使う撮影モードは3Dワイド』です。現実的には、このモードは経過観察に使えないので、緑内障確率が高い場合は、最初から3D黄斑や3D乳頭を使うことが多いのですが・・。でも、この3Dワイドは結構優れもので、このモードで一枚とるだけで、視神経乳頭周囲の神経線維層厚と、黄斑部網膜のGCC+GCC++の解析が同時に行えます。緑内障性視神経障害のスクリーニングに関しては、ほぼ万全で、黄斑部の神経節細胞のダメージは、GCC解析で早期から検出可能だし、比較的黄斑の外側に初期変化があって、GCC解析エリアから外れていても、cpRNFLの解析で検出可能です。この解析結果に少し手を加えたのが、新しい緑内障Hoodレポートです。

①鼻側を真ん中に展開した乳頭周囲OCT像と健常眼のデータベースとの比較

これは、特別なものではなく、視神経乳頭周囲における神経線維層の厚みを表示する一般的な表示方法で、厚みに問題がなければ緑の範囲内に収まり、薄くなって黄色の範囲に入れば5%、赤い範囲に入れば1%の危険率で有意な異常値と判断する。また、視野中心から+8°まではピンク、-8°までは青色で表示され、その他は黒表示。

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②視野計の検査点と神経線維厚の相関

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中心窩付近の視細胞に対応する神経節細胞は少し外側にある(RGC displacement)。つまり、OCT所見(眼底所見)と10-2の視野を重ね合わせると、測定点を外側にずらさないと障害部分と感度低下部位が一致しない。(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/24407153) これを考慮して、検査点を相当する視細胞位置に表示して、そこに神経線維層厚マップを上下反転してオーバーレイ表示。視野障害と網膜ダメージの相関を見やすく表示。中心窩から8°の範囲を示すサークルがあり、この上半分はブルーで、下半分がピンクで表示され、①のブルー・ピンクと相関。

③神経線維層のEnFace画像(52μmの位置)

恐らくだが、網膜内境界膜レベルでフラットニングした、表層から52μmレベルのEnFace画像。ここが最もRNFL欠損が見やすいのだろうが、自動的にこの作業をしてくれるのは有り難い。下方に幅広のNFLDが明瞭。

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12×9mmの範囲の神経線維層厚マップ

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通常のモードでは、視神経乳頭周囲、或いは黄斑を撮影するのだが、このモードはより広くて、視神経乳頭から黄斑部まで全て含んだ広範囲で、神経線維層厚を評価。ちょっと解像力に問題がありそうだが、この図でも下方のNFLDが明らか。

⑤視神経乳頭エリアの神経線維層厚の健常眼データベースとの比較

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これもごく一般的な表示で、視神経乳頭周囲の神経線維の厚みを健常眼データベースと比較。ひとつは上方・耳側・下方・鼻側の4分割で表示。もうひとつは12分割して表示。12分割表示では、EnFace画像で明らかな耳下側の2コマでピンク表示(1%の危険率で有意)。

GCL+厚マップ(神経節細胞層・内網状層の厚みマップ)

中心窩から10°の範囲でのGCL+の厚みマップ。ほぼ下半分のGCL+が、かなり菲薄化していることがわかる。

⑦ 視野計の検査点(24-4:大と10-2:小)とGCL+厚の相関

②と同じように、RGC displacement を考慮して、中心窩から10°の範囲で、検査点を相当する視細胞位置に表示、GCL+厚マップを上下反転してオーバーレイ。これで、GCL+で判断される緑内障ダメージが、主として、10-2の視野でどのように反映されるのかを予想することが可能になる。現時点で、視野の異常がなくても、やがてこのあたりに異常が出てくることが予想できる?

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※緑内障スクリーニングとしては、かなり優秀なレポートだと思われます。トプコンさん、もっとソフト充実頑張ってください。


by takeuchi-ganka | 2017-07-16 09:41 | Comments(0)

大阪市旭区にある竹内眼科医院です。開業医も日々勉強。


by takeuchi-ganka
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