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第20回京阪沿線眼科勉強会 その3(1043)

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ヨモギの花が咲き、香りが漂い始めた・・


知っているようで知らない視細胞のお話 

大阪大学視覚再生医学寄附講座 教授 辻川元一

1,色覚 2,網膜色素変性  3,滲出型加齢黄斑変性

視細胞を軸に、この3つテーマについてお話されたのだが、いやあ・・・・難しかった。途中から暗号かお経のように聞こえてきて、意識が飛びそうに・・・。先日の日眼で、立派な評議員指名講演をされた立派な先生ですが、私にはちょっと高尚すぎた・・^^;

1,色覚

勿論色覚に関与しているのは、視細胞の中でも黄斑部に多い錐体細胞。この錐体細胞には、赤を感じる赤錐体、緑を感じる緑錐体、青を感じる青錐体の3種類があります。錐体細胞外節に発現する視物質の異常(視物質を規定する遺伝子の異常)が色覚異常の原因となります。

  1. . (L)  Redcone
  2. . (M) Green cone
  3. . (S) Blue cone

この3種類のconeの黄斑部での分布は?Roorda AWilliams DRの論文(※)によると、主に赤と緑の六角形のツブツブがモザイク状に敷き詰められているイメージ。青の六角形も少量?分布状態は、人によってバラバラで、分布のメカニズムも分かっていないらしい。

ここから少し以前の復習だが・・・

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青錐体のオプシンは第7染色体にありますが、赤錐体と緑錐体のオプシンはX染色体にあります。詳しく言えば、X染色体の長腕の一番端のXq28。そして、この遺伝子は6個のエキソンに分かれていますが、赤遺伝子と緑遺伝子は並んで存在していて、また大変よく似ているため、DNAの複製が作られるときに、つなぎ方の誤り(不等交叉)が起こりやすく、 先天(赤緑)色覚異常が比較的高頻度で発生する要因にもなっているそうです。色覚正常者はL遺伝子(赤)1つと、M遺伝子(緑)1つ(あるいは複数)持っています(一つでも二つでも色覚に差はないようです)。

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不等交叉によりLMどちらかの遺伝子が欠けると、欠けた方の遺伝子から作られるべき錐体色素ができないので色覚異常になります。遺伝子が1つあるいは1種類のみの場合はLMどちらか1種類のオプシンしか作られないので2色覚に、L遺伝子L型の雑種遺伝子(緑赤融合遺伝子)、あるいはM遺伝子M型の雑種遺伝子(赤緑融合遺伝子)のように、同じL型遺伝子あるいは同じM型遺伝子なのですが、タイプの異なる遺伝子が2つあれば異常3色覚になると理解されています。この融合遺伝子の融合状態は様々で、視物質の色覚特性も様々?正確な判定はアノマロスコープでしか行えない?

※こんな話だったのかなあ・・・

2,網膜色素変性

https://www.quora.com/What-are-the-chemical-principles-of-the-photoreceptor 

Image source:The Visual Neurosciences, edited by Leo M. Chalupa, John S. Werner (2004)

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この構造は、精子と似ていて、外節は精子のシッポと同じ?タンパクは内節でのみ作られて、connecting cillium を経由して外節へ。シリアの欠損したモデルだと、細胞体にロドプシンが蓄積して、光が当たると細胞死に。ロドプシンが外節以外にあると、視細胞は死にいたる。網膜色素変性症・網膜剥離、そして加齢黄斑変性においても、細胞死前にロドプシン局在異常あり?またロドプシンをノックダウンすると視細胞は死なない。

小児眼科学(p527)から抜粋 『錐体の光伝達機構:ロドプシンに光があたり活性化されると、トランスデューシンが活性化、続いてcGMPホスホジエステラーゼが活性化、cGMPが加水分解。cGMP濃度が下がり、CNGチャンネルが閉じる細胞膜が過分極。それが双極細胞・神経節細胞へ・・・』 このメカニズムが異所性に起こると細胞死に。光が当たって異所性のロドプシンがあれば細胞死に。アデニールサイクラーゼ活性化が関与。治療ターゲットはこのあたり?※やはり遮光眼鏡も必要?

Image source: http://webvision.med.utah.edu/wp-content/uploads/2011/03/Phototransduction-cascade.jpg 

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3,加齢黄斑変性

http://www.kankakuki.go.jp/lab_e.html から

日本人の加齢黄斑変性、ポリープ状脈絡膜血管症の患者を対象とした全ゲノム相関解析(GWAS)から染色体10番の領域に強く相関することを発見し、感受性遺伝子HTRA1Human high-Temperature Requirement factor A1)の転写活性が増加とその分子メカニズムを明らかにしました。遺伝子改変マウスにおいてHTRA1の転写活性を上げたところ、脈絡膜血管新生が生後1年で約2割のマウスで確認されました。HTRA1遺伝子は感受性遺伝子の中でも最も加齢黄斑変性と相関し、オッズ比が高い領域に存在します。

加齢黄斑変性は、網膜色素上皮に異常があって、脈絡膜から新生血管が発生する疾患なのだが、視細胞の病気かもしれない?加齢黄斑変性疾患感受性遺伝子HTRA1は加齢により視細胞に発現(↑)だが、遺伝子異常によっても視細胞に発現(↑)し、細胞死に繋がると。色素変性モデルで、視細胞でHTRA1(↑)、HTRA1阻害でレスキュー可。網膜色素上皮の前に、視細胞に原因あり?


by takeuchi-ganka | 2017-09-17 09:40 | Comments(0)

大阪市旭区にある竹内眼科医院です。開業医も日々勉強。


by takeuchi-ganka
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