2018年 03月 09日
網膜静脈分枝閉塞症 (1041)
この疾患で我々が対応すべきは、黄斑部浮腫と網膜新生血管。かつては網膜光凝固が行われたが、徐々にその適応は限定的なものに。特に黄斑部浮腫に対しては、主として薬物治療で、①STTAか、②抗VEGF。網膜新生血管は、無血管野(NPA)が広範囲に形成されると発生することがあり、硝子体出血・牽引性網膜剥離など重篤な合併症の原因となるので、NPAに対して光凝固を行う。
このBRVOは通常動静脈交叉部が事故現場。この動静脈交叉部は、古い知識によると、動脈が静脈の上を走っていて(順交叉)、外膜が共通なので、動脈硬化が生じると静脈が圧迫される。この動静脈交叉部をしっかりみることで、動脈硬化の程度を知ることができると、眼科医になりたての頃に教えられました。静脈が強く圧迫されると、末梢側が拡大して、中枢側が細くなる。今回の話は、この交叉部で起こっていることにスポットライトがあたっていました。
この交叉部で動脈が上にある(順交叉)のが一般的と思っていたら、OCTAによる判定では、半分近くが静脈が上にあるようなのです(逆交叉)。この動脈が上の場合と、静脈が上の場合で、静脈の状態が異なるようで、動脈が上の場合は、静脈大きく蛇行するが管腔は保たれていることが多く、静脈が上にくるタイプの方が、狭細化が高度で、その後できる無血管野も広い。OCTAがないと判定困難かもしれないが、どちらか上にあるのかは、予後に関わる因子のようで、しっかり見極める必要がありそうです。実際、BRVOの9割が逆交叉だと・・。また、血栓はこの交叉部の下流で生じているらしい。交叉部で閉塞(狭窄)して、その手前(上流)で血栓形成できそうだが、狭窄でその下流に生じた乱流(turbulence)が血管内皮を障害して、血栓形成されると推測されている。
MajorBRVOとMacular BRVOという言葉が使われていました。通常の比較的大きな血管の閉塞と、黄斑分枝の閉塞のことらしい。黄斑浮腫も無血管野も血管新生もMajorBRVOで強い・広い・多い。また血管新生の頻度は逆交叉の方が多いらしい。