NEW POST

累進屈折眼鏡を快適に装用する為に(その4)

レンズ設計ですが、

累進屈折眼鏡を快適に装用する為に(その4)_f0088231_2091100.jpg
累進屈折眼鏡を快適に装用する為に(その4)_f0088231_2092450.jpg







最初は、この二つです。通常の遠近両用(累進屈折力)レンズ で、左がバランス型、右が近方重視型です。左のレンズは、累進長が長く(14mm以上)歪みが少ないのですが、近用部は狭いのです(右のレンズなら、累進長14mm以下)。その代わり、左のレンズは、フレームのタテ幅が35mm必要ですが、右なら、28mmでOKです。今は、レンズのタテ幅の短いフレームが流行りなので、たっぷりとした累進長が取れません。左のレンズは難しいのかも・・・。初めての遠近は、累進長の長めの左のレンズで、加入度数2.0以内の年齢で始めるべきだと思いますが・・。

次が中近レンズ です。

累進屈折眼鏡を快適に装用する為に(その4)_f0088231_20164643.jpg累進屈折眼鏡を快適に装用する為に(その4)_f0088231_2017611.jpg











最初に述べた遠近レンズの中央部分のみを取り出した形です。遠用部分を除いて、中間の累進部分は、たっぷりとスペースをとっていますので(累進帯長23-25mm)、揺れや歪みもなく、視野も広々としています。50歳前後から、調節力低下に伴い、中間距離が見にくくなりますが、この中近を使えば、デスクの前にあるテレビからデスクワークまで余裕でこなせます。この図は、再びHOYAのパンフレットからお借りしました。
累進屈折眼鏡を快適に装用する為に(その4)_f0088231_2020880.jpg累進屈折眼鏡を快適に装用する為に(その4)_f0088231_2020368.jpg








最後が近近レンズ です。

累進屈折眼鏡を快適に装用する為に(その4)_f0088231_20234067.jpg累進屈折眼鏡を快適に装用する為に(その4)_f0088231_20241289.jpg












このレンズは、左の遠近のレンズの水色サークル部分を取り出したようなレンズで、つまり、下方の広い近用部分と上方に逆累進帯を設けて、少し離れた場所(といってもデスクの範囲内ぐらい)も見えるように意図したものです。累進帯長も19~30mmとたっぷりあり、違和感はないはずです。実は、この近近レンズの良い点は、これだけじゃないのです。

累進屈折眼鏡を快適に装用する為に(その4)_f0088231_20252761.jpg

近用の単焦点凸レンズ(SV)は度数に伴って、中心が厚くなるばかりでなく、像の拡大と視野の狭小傾向があります。更に、度数に比例してピントが近づくので、ピントの合う位置で固定された姿勢のままで見る必要があり、このため、近業は見ずらい、使いづらいという評価になります。しかし、近々レンズは





①ちょっと離れたものを見る時に、いちいち外さなくても見えるように、
タテの視線移動にそって、逆累進帯をつけただけでなく、
②ヨコ方向は、瞳孔位置(EP)を挟んで、鼻側・耳側共に凹度数に変化させている 。これで横視野は大きく広がった。(SVの5-6倍の視野)※ここも大きなポイントでしょうか。
③使用目的や近用度数によって奥行視野(ロング)タイプBと、横視野(ワイド)タイプAがあり、
④瞳孔位置(EP)を挟んで、タテ、ヨコ3方向に凹度数変化させた結果、凸度数は特に薄く仕上がり見栄えの良さと、光の透過率が上がり明るく見えます。

  累進屈折レンズは、かつて評判を落としたかもしれませんが、その後格段の進歩を遂げ、良好な中高年の眼鏡環境を提供していると思います。ただ、それを知らない一般の人が多いし、眼科医も多いような・・
by takeuchi-ganka | 2006-11-03 20:35 | 眼鏡 | Comments(0)

大阪市旭区にある竹内眼科医院です。開業医も日々勉強。


by takeuchi-ganka
カレンダー
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31