2008年 01月 14日
眼底出血 その7
さすがに、飽きてきたので、これが最後です。
この左側の写真は、ごく普通のBRVOです。網膜静脈は乳頭から出てすぐの動静脈交叉部位で閉塞しています。出血は多い割に、綿花様白斑は少なめなのですが、黄斑部にはCMEと呼ばれる強い浮腫があり、視力低下は高度で、自然経過では、まあまあの視力が戻るまで1年近くかかります。
次の写真は、初登場ですが、CRVOといって、最初の写真よりも、数mmほど中枢側の網膜中心静脈が閉塞していた状態です。これについては、後日詳述する予定です。
3つ目の写真は、この中間的状態で、hemi-CRVOと呼ばれます。CRVOよりは末梢側、BRVOよりは中枢側で静脈が閉塞しています。基本的には、BRVOとして対応していいと思いますが、積極的に手術する場合、動静脈交叉部位の共通の鞘を切開する鞘切開をするなら、どうするのでしょうか。CRVOに対して行うRONの場合は、下方半分に切開を入れるのでしょうか。
このように、BRVOといっても非常に多彩な訳です。病状が多彩であっても、少し前まで、止血剤と循環改善剤の内服を投与しつつ、網膜光凝固するタイミングを待つ。大出血すれば硝子体手術。非常に単純な判断でしたが、徐々に積極策が多彩になってきました。特に黄斑浮腫についての治療方法が。
1、単純な硝子体手術
2、+内境界膜剥離(インドシアニン併用)
3、+動静脈交叉部の鞘切開
4、トリアムシノロン(TA)のテノン嚢下注射/硝子体注射
5、トリアムシノロン(TA)併用の完全な硝子体手術
6、VEGF阻害薬
7、組織プラスミノーゲン活性化因子(tPA)
8、その他
このように、実に多彩な治療法が出ては消え、変法が出て、また消え、治療法の主役も病院によって異なるような気がします。ただ、元の病態が多彩なので、この多彩な治療法のどれを適応するのが一番いいのか、その判断は難しいようですが、黄斑部の浮腫が強い場合は、硝子体手術+TA。時にVEGF阻害薬も併用・・・・というところでしょうか。
現在国試に向けて追い込み中の看護学生のため、大変勉強になりました!