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第7回Symposium of Ocular Surface and Infection(279)

第7回Symposium of Ocular Surface and Infection
特別講演
帝国ホテル大阪 孔雀の間 08年5月31日


Ⅰ 難治性角膜潰瘍の次の一手の選び方 筑波大 加治先生
  早くも、このあたりで、疲れと頭の悪さから、講演内容についてゆけなくなりましたが、かいつまんで・・

角膜潰瘍診療のポイントを解説してくれました。
1、スリットを覗く前に
角膜潰瘍だけど・・・・
※眼窩腫瘍、顔面神経麻痺、rosacea・・・など、スリットに顔をのせてもらう前に、観察しないと・・・『木を見て森を見ず』なんてことに・・
2、五感総動員せよ。
再発性角膜びらん:開業していると、びっくりするほど沢山遭遇する疾患で、個人的には詳細な病歴聴取が最も重要だと思いますが、「しわサイン」なるものを紹介。触感を大切に?! 発症直後で、角膜上皮が浮いていたり、一部剥離していたりすると、その特徴的な所見から診断は容易ですが、少し時間が経過すると、非常に分かりくい状態となります。角膜実質の僅かな混濁とフルオレセインの染色性の乱れのみで、何も異常がないと判断してしまうこともあるかもしれません。ただ、患者さんは、繰り返し、激しい症状を経験しているので、非常に愁訴が強い。こんな場合、積極的な診断の為に、この僅かに混濁している部位とかフルオの染色性の悪い場所を軽くセッシなどで、押してみると、病的な部位(上皮の接触性の悪い部位)には、『しわ』ができるそうです。病的エリアが確認できたら、同部に anterior stromal puncture を行う。
 これは、眼科診療プラクティスによれば、25~26Gの針先を白内障手術の前嚢切開の時のように曲げて、角膜上皮を穿刺する(角膜実質1/3~1/4の深さまで)。0.5mmは間隔をあけて、瞳孔領を避けて行う。あまり、再発が多い場合は、試みていいようです。

3、予期せぬ結果が出たら
 ①角膜潰瘍があり、病巣が限局していて、角膜全体の炎症も強くない真菌性感染に、治療を開始したとたん、角膜全体の炎症・浮腫が強くなってびっくり・・・。最初の診断に自信がないと、ここで迷ってしまう。最初の診断は大切。
 ②細菌性角膜潰瘍があり、型どおり、抗菌剤(複数)の超頻回点眼。治癒後、突然眼痛・視力低下・・・。抗菌剤には、防腐剤が含まれていて、超頻回点眼は、当然この副作用も大きい。キノロン系でも、細胞に優しいクラビットもあれば、そうでないものもある。そういったことを考慮に入れておかないと予期せぬ結果に迷ってしまう。

※例えば、ベストロン点眼は、粉末と溶解液に分かれていて、この溶解液の中には、「エデト酸ナトリウム水和物0.2mgパラオキシ安息香酸メチル0.26mg パラオキシ安息香酸プロピル0.14mg ホウ酸、リン酸水素ナトリウム水和物、結晶リン酸二水素ナトリウム、塩化ナトリウムエデト酸ナトリウム水和物0.2mgパラオキシ安息香酸メチル0.26mgパラオキシ安息香酸プロピル0.14mg・・・・・・・」などが含まれている。超頻回点眼の場合は、溶解液を生食に変えた方がいいかも・・
※光学異性体という概念だと思いますが、化合物には右旋体(D)と左旋体(L)があります。たとえば、グルタミン酸で旨みを感じるのは、Lのみだそうです。タリビッドは、DとLが半々ですが、クラビットはL100%で、抗菌活性が強く副作用も少ないようです。マーカインは、Dが麻酔作用、Lが心毒性、サリドマイドはDが鎮静作用、Lが催奇形性。このようなことも予期せぬ結果を生むかも・・と。
 
4、治療は?
 最近、問題になっているコンタクトレンズ装用者のアカントアメーバ感染。通常、ずさんな手入れをしているコンタクトレンズ装用者に多いのですが、ワンデイ装用者にも発生したと。この場合、ワンデイということで、アカントアメーバを除外してしまうと、診断に辿り着かないので要注意。また、様々な薬物を投与した後、どれも有効でないということでは、病像が複雑でますます診断困難。
 診断に関しては、擦過した病巣にファンギフローラY染色を行い、確定したら、治療は、PHMBという非塩素系消毒薬の原液(20%)を1000倍に希釈して、単独点眼。しかも効果が得られるまでかなり時間がかかるので、これも、最初の診断によほど自信がないと継続しにくい。
※PHMBを主成分とするコンタクトレンズのMPSがありますが、これだと、アカントアメーバ対策にいいのかと思ったら、濃度が低すぎて、まったく効果がないばかりか、他の一般細菌は死滅するので、アメーバにとっては、むしろ増殖しやすい環境になるようです。



Ⅱ アレルギー性結膜炎の軽症から重症までの治療戦略 国際医療福祉大 藤島先生
  
どこかで聞いた話のようでしたが・・・
軽症例:まず、抗アレルギーの点眼
 ケミカルメディターター遊離抑制点眼、ヒスタミンH1受容体拮抗薬の2種があるが、併用もOK
 痒み強ければ、点眼回数↑(4回/日以上でもいい)
 花粉情報に注意し、飛散が多ければ、点眼回数増やしてもいい?
 季節前投与は有効なので、ケミカルメディターター遊離抑制点眼を。
 症状出たら、ヒスタミンH1受容体拮抗薬を。併用もあり。
 当然、NSAIDやステロイド点眼の併用も考慮。
重症例:
 アトピー性皮膚炎に伴うAKC、それと関係のないVKC(春季カタル)がある。別ものと考えるべき。
 10代はVKCが多く、20代は、AKCが多い。
 基本は抗アレルギーの点眼だが、通常不十分なので、ステロイドが投与・・・している筈。それでも不十分な場合に、パピロックミニ点眼を開始。有効なら、ステロイドを減量。無効なら、ステロイド内服・瞼板下へTA注射、乳頭切除・・・

Ⅲコンタクトレンズ装用者のドライアイとその対策  道玄坂糸井眼科 糸井先生
  
  もう、疲れはピークに達し、集中力もなくなってきました。
  コンタクトレンズ装用者のドライアイと言っても、もともとドライアイ患者さんがコンタクトレンズを装用した場合と、コンタクトレンズ装用をしたのが引き金で、ドライアイ症状が出てきた場合とがあります。まあ、ドライアイの人は、コンタクトレンズなんか止めればいいのでしょうが、圧倒的多数のコンタクトレンズユーザー(1700万人)の要望は抗し難く、コンタクトレンズ専門家は頭を悩ませているようです。
 ドライアイが軽度であれば、常識のある人に限り、注意事項をしっかり守ってもらえるなら、装用時間を減らしながら、人工涙液・ヒアルロン酸点眼をしつつ装用を許可するのだそうですが、現実的な判断とも思えるし、非現実的なお題目のような気もします。(目が乾くと言いながらも、ケアーもいい加減、装用時間は、ついつい長くなり、点眼も市販のあやしげなもの・・・てなことが多いのでは。)
 コンタクトレンズのチョイスとしては、
  1、高酸素透過性のHCL:最近マイナーな存在ですが、小さな径で、ややsteepで・・・工夫は必要
  2、ワンデイSCL:毎日清潔、ケア不要、ケース不要で、最も安全。
  3、シリコンハイドロゲル:オアシス、プレミオなどが乾燥に強い。
この後、まだまだ、個人的には興味をひかない話題が続いたので、退席しました。
この分野の話は、どうも、コンタクトレンズ装用者を、患者さんというよりは、ユーザー・お客様としての視点で捉えているようで、話は、ユーザーの訴えを解決するにはどうすればいいのかという工夫の話ばかりのように聞こえます。メーカーさん、印刷して配ってください。
最も大切なドライアイ対策は、合併症を引き起こす可能性の高い人にコンタクトレンズを諦めさせることじゃないでしょうか。
by takeuchi-ganka | 2008-06-02 15:45 | 学会報告 | Comments(0)

大阪市旭区にある竹内眼科医院です。開業医も日々勉強。


by takeuchi-ganka
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