2009年 02月 23日
第33回角膜カンファランス第25回日本角膜移植学会 その3 (336)
シンポジウム1 眼表面サイエンス
オーガナイザー:島崎潤 (東京歯大・市川)・渡辺仁 (関西ろうさい病院)
基調講演 The Ocular Surface Barrier Ilene K. Gipson Schepens Eye Research Institute, U.S.A
英語は苦手で・・・
ムチンには、杯細胞からの分泌型と膜型とある。 MUC1,4,16が3大膜型ムチン。5ACが分泌型。
特にMUC16?は、上皮細胞のapical側でmicroplicaeと結合し、バリア機能において重要な役割を担っている。これがなければ、ローズベンガルを通過させてしまう。例えば、角膜感染の場で、S. aureusによってMUC16蛋白が遊離⇒バリア機能破綻・・
斜体Invest Ophthalmol Vis Sci. 2007 Oct;48(10):4509-18.
Invest Ophthalmol Vis Sci. 2008 May;49(5):1864-71.
S1-1 オキュラーサーフェスと酸化ストレス 榛村重人 慶應大
ごく一部しか、理解できなかったので、その一部だけを・・・・。角膜上皮細胞の幹細胞も、大量に降り注ぐ酸化ストレスから身を守る必要があります。我々は、角膜上皮の幹細胞がPOVと呼ばれる場所にあることを知っていますし、そこに色素沈着があることも知っていますが、このメラニン色素が、幹細胞を紫外線から守る働きがあるようです。
あまり良く知りませんが、ABC(ATP-binding Cassette)トランスポーターは、ATP 依存的に生体異物や薬物の輸送に関与することで生体の防御システムを構築する膜タンパク質で、総称してABCスーパーファミリー(AからGまで)と呼ばれているそうです。ヒトでは、50種類ほどが確認されているらしい。その中の、ABCG2は、癌細胞に過剰発現し抗癌剤を輸送することで癌細胞に多剤耐性を与えたり、造血幹細胞におけるABCG2 の発現は造血幹細胞の未分化性の維持に関与したり、低酸素環境下においては,ABCG2 が幹細胞を保護していると考えられているそうですが、このようなことが、角膜幹細胞においても行われているようで、角膜上皮幹細胞のマーカーとしても知られていますが、酸化ストレス防御の働きもあるようです。
※http://www.genenames.org/genefamily/abc.php
※http://www.ncbi.nlm.nih.gov/bookshelf/br.fcgi?book=mono_001&part=A137
※http://nutrigene.4t.com/translink.htm
S1-2 オキュラーサーフェスとステムセル 西田幸二 東北大
角膜上皮幹細胞のマーカー:ネガティブマーカーとしてK3、K12陰性、ポジティブマーカーとしてp63、最近ABCG2やintegrinα6/CD71を報告した。このマーカーを用いて、角膜幹細胞をエンリッチ。
もうひとつ、再びnicheという言葉を聞きました。これは、例えば角膜上皮の幹細胞は、角膜輪部で、ジッと眠ったまま出番を待っていると言われていますが、この特殊な微小環境をnicheと呼んでいるようです。造血幹細胞ニッチにおいてN-cadherinが果たしている役割が、この角膜上皮幹細胞でも・・・? N-cadherin is expressed by putative stem/progenitor cells, as well as melanocytes, in the human limbal epithelial stem cell niche.
再生医療において、幹細胞を培養しても、nicheの秘密が不明なままでは、幹細胞はじっとしていない。N-cadherinやmelanocyteの研究はそのカギを握っているかもしれないようです・・
※Enrichment of corneal epithelial stem/progenitor cells using cell surface markers, integrin alpha6 and CD71. Biochem Biophys Res Commun. 2008 Mar 7;367(2):256-63. Epub 2007 Dec 26.
※N-Cadherin is expressed by putative stem/progenitor cells and melanocytes in the human limbal epithelial stem cell niche. Stem Cells. 2007 Feb;25(2):289-96. Epub 2006 Sep 28.
Oligopotent stem cells are distributed throughout the mammalian ocular surface. Majo F, Rochat A, Nicolas M, Jaoudé GA, Barrandon Y. Nature. 2008 Nov 13;456(7219):250-4. Epub 2008 Oct 1.
ただ、角膜上皮幹細胞は、輪部だけじゃない全体にある・・・?
S1-3 オキュラーサーフェスの瘢痕化と再建 稲富勉 京都府医大
立派な仕事をされている先生のようで、瘢痕化に至る過程を説明されたようなのですが、門外漢の私にはついて行けませんでした。興味を引いたのは治療の部分だけで、COMETと呼ばれるcultivated mucosal epithelial transplantation、つまり培養口腔粘膜移植の話ぐらい・・・。ただ、それでも、アルカリバーンは再建できても、SJSはOCPのような免疫の異常があるようなものは、なかなか難しいようです。
Ocular surface reconstruction with combination of cultivated autologous oral mucosal epithelial transplantation and penetrating keratoplasty. Am J Ophthalmol. 2006 Nov;142(5):757-64.
Current progress and challenges in ocular surface reconstruction using cultivated epithelial sheet transplantation. Med J Malaysia. 2008 Jul;63 Suppl A:42.