ドライアイセミナー その2 (341)

2、ドライアイの診断2009アップデート 福田昌彦(近大)

 涙:7-10μl、高蛋白で粘稠な体液(さらっとした液と思いがちだが意外と粘稠?)
 瞬目(瞬き)で1-2μl/分入れ替わる。
 瞬目は、耳側から鼻側に向かって起こっている(高速度カメラでみると)ので、涙液を涙点側に押し込んでいる・・・・?(本当ならそんな映像見てみたいですよね)
 余談:点眼1滴30-50μl 100滴で3-5cc 1滴5ccなら一日4回点眼で、25日分。3週間と少し。


 ドライアイの定義:ドライアイとは様々な要因による涙液および角結膜上皮の慢性疾患であり、眼不快感や視機能異常を伴う(ドライアイ研究会 2006)・・・・と、ドライアイの定義に自覚症状が入りました。角結膜所見が異常でも自覚症状がなければドライアイじゃない?ただ、有病率の報告をみると、非常に幅広く0.1から33%まで。実は、ここにポイントがあるような気がするのです。ドライアイ患者さんの自覚症状は、必ずしも眼が乾くと言われる訳じゃなく、疲れやすい・何となく不快・重たい感じ・眩しい・痛い・・・などと、他の疾患を想定させる症状であったりします。だとすると、患者さんの自覚症状が、直接的に想定させる疾患を意味しているのか、それとも涙液分泌減少に由来すると思われる角結膜所見に由来しているのかの判断は簡単ではなくて、それが、この有病率報告の差に出ているような気もします。実際、かなり明らかなドライアイによる角結膜上皮障害が眼表面にあるのに、愁訴が殆どない人もあれば、まったくその逆のこともしばしば経験します。涙液分泌減少に由来する簡便な他覚的検査所見で、自覚症状と強くリンクしているものがあれば頼もしいのですが。現実は難しいです。

 ドライアイのサブタイプ別頻度
①37.8%  マイボーム腺機能不全
②28.7%  CLや点眼液によるもの
③16.7%  瞬目不全
④15.7%  涙液分泌減少型
Prevalence of dry eye subtypes in clinical optometry practice.  Optom Vis Sci. 2000 Jul;77(7):357-63. Albietz JM.

 この報告が正しいとすると、ドライアイに対する認識を少しは変えないといけないかも・・・
個人的にどう診断しているかと言えば、まず眼瞼縁をみる。マイボーム腺開口部の状態、マイボラインの位置などを見た後、涙液△をみる。これが低ければ怪しい。その後、フルオレセイン染色し、コバルトブルーの光をあててみて、ついでブリーフリーフィルターで観察し、BUTを大まかに測定した後、角膜・結膜の上皮障害の程度をみます。角膜上皮障害の程度、そして分布、結膜障害>角膜障害かどうかは大きなポイントになります。シルマーは再現性に乏しいので、あまり好きじゃありません・・・。ただ、通常、涙液分泌減少に伴う角結膜上皮障害を主体に見ているので、この比率が15.7%程度にすぎないとすれば、少なくとも私は(少しばかり?)診察態度を改めなければいけません。
 まず、マイボーム腺機能不全(37%)ですが、これって、高齢になると非常に頻度が高いと思うのです。若い人なら、上眼瞼を挙げるとき、親指で、少し押えると、マイボーム腺開口部から結構サラッとした透明な油がジワーッと出てきますが、高齢者では、この比率が著しく低くなります。ただ、これがドライアイ症状とどれほど強くリンクしているのか、かなり懐疑的です。CLや点眼液というのは、少し特殊事情なので、別に考えるとして、瞬目不全の16.7%。これはどうでしょう。我々の診察というのは、通常静的状態で行います。普通は、開瞼した状態で診察し、時に閉瞼した状態も診ますが、例えば、数分間自由開瞼させて眺めるということはしません。ここに落とし穴がないでしょうか。以前、このブログにコメントをつけて下さった沖縄のI先生が言われてたように(返事を差し上げず申し訳ありません・・・。返事を差し上げるほどの知識がなかったものですから・・。)、瞬目の頻度、程度が不十分な人が、かなり多いとは感じています。ただ、この場合、どう対応すればいいのでしょうか。表情筋のストレッチとかリハビリとかをすれば効果があるのでしょうか。少し勉強してみたいと思います。
 ドライアイ確定眼の涙液調査というスライドがありました。これで、シルマー5mm以下/6mm以上群、BUT5秒以下群/6秒以上群に分けてみると、なんとBUT5秒以下でシルマー6mm以上が85.5%もありました。実際、ドライアイ確定群476眼中、シルマー5mm以下は69眼14.5%しかなかったのです。シルマーに問題があるのか、明らかな涙液分泌減少を伴わないドライアイが非常に多いのかどちらかでしょう・・・・・・というか、両方でしょうか。涙液分泌減少が基本で、それに様々な要因が加わり発症する。VDT作業に伴う瞬目減少、コンタクトレンズ装用に伴う部分的なドライアイの悪化、結膜弛緩症など・・。純粋な涙液分泌減少に伴う角結膜上皮障害だけなら、診断は簡単ですが、複合要因によるドライアイ症候群の診断となると、そう簡単にはいかないかもしれません。

※SLKの原因がconjunctivochalasisだとするスライドが紹介されていました。何かもっと複雑なメカニズムを考えていたのが、単なる弛み?少し驚きです。
New surgical treatment for superior limbic keratoconjunctivitis and its association with conjunctivochalasis.  Am J Ophthalmol. 2003 Mar;135(3):303-8.
Commented at 2009-10-06 11:00 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by takeuchi-ganka at 2009-10-06 14:41
動的な側面というのは、我々の盲点かもしれませんね。少し注目してみます。コメントありがとうございました。
by takeuchi-ganka | 2009-03-09 22:29 | 涙について | Comments(2)

大阪市旭区にある竹内眼科医院です。開業医も日々勉強。


by takeuchi-ganka
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