2009年 04月 16日
開放隅角緑内障に対するレーザー治療① (349)
基本的な条件は、アルゴンレーザーで、スポットサイズ50μm、パワーは500-800mW(線維柱帯の色素が消える程度?)、0.1秒で、線維柱帯(pigment band)を狙い、約1/4周に20-30発いれる・・・・。最近本当にやっていないので、条件も、テキストで確認が必要なくらいです。ただ、ロトミーをしない、レクトミーも殆どしない・・・というスタンスであれば、比較的この手の手技を積極的にされる方が多いのかもしれませんが、この不確実なレーザー治療が観血的手術に踏み切る時期を誤らせないか・・・・と危惧します。
ところが、もう10年ぐらい経ちますが、レーザー治療に新しい術式が出現しました。選択的レーザー線維柱帯形成術(SLT)という術式です。かつて我々がやった弱いLTPではなく、このQスイッチ半波長Nd:YAGレーザーを使用し、色素をもつ細胞の色素のみを選択的に破壊。照射エネルギーは非常も少なくて、組織破壊も軽微なのに、LTPよりも眼圧を下げる?。また、繰り返し行うことも可能?・・・と言われている夢のように(?)素晴らしい手技。色素を飛ばして、組織破壊なしに、何故だか分からないが眼圧が下がる。ただ、日本人でのデータは、15-20%の眼圧下降とLTPと同レベルのようで、欧米の報告よりは悪そうです。また、ノンレスポンダー率も2-3割とかなり高いそうです。LTPより一過性眼圧上昇が少なく、同レベルの眼圧下降が可能で、かつ繰り返し凝固可能なら、とっつきやすいツールと言えるでしょうか。ただ、このツールは、できたら、緑内障の専門家が、その狭い適応を判断し、観血的手術の適応を逃さないように管理しつつ使っていただきたいものです。
たとえば、房水産生を抑制する点眼として、β遮断剤・CAIと、Uveoscleral flowを増やすPG製剤は、現在緑内障点眼の主流ですが、線維柱帯からの流出促進は、ピロカルピンかピバレフリンしかなく、殆ど使われていないのが現状。だとすれば、ここにSLTが入りこむ余地があるのかもしれません。治験中のRho-kinase inhibitor(ROCK阻害剤)が発売されたら、どんな状況になるのかは不明ですが。
LTP/SLT併せて5例しかしていません。
100%先生のご意見の通りだと思います。
LOTOMYをほとんどされていない東大眼科でさえも、レーザー治療は
LECTOMYを遅らせるとのことで施行されていません。
しかし、しかし、日本全体を考えますと、東京・関西以外は大学病院・市民病院崩壊し、開業医が一線の緑内障治療を多忙の合間にしないといけない現状です。
その状況下で、患者様思いの真摯な眼科専門医が緑内障レーザー治療を施行することに大きな意義はあると考えます。