第38回関西医科大学眼科同窓会総会 その6 (363)
2009年 05月 23日

特別講演 「スペクトラルドメインOCTによる貴斑疾患の解析」高橋寛二教授
私の知る限り、入局した25年前から、宇山教授のもとで、加齢黄斑変性に代表される黄斑疾患を専門とし、実験研究も脈絡膜新生血管モデルを使った組織学的なもので、また臨眼の眼病理研究会には、多分25年ほど連続参加?。また留学先のTso教授(イリノイ大)は眼病理?だったような。今回の特別講演は、先の日眼で話された内容ですが、彼の持ち味が最も発揮できる内容だと推察します。単なるOCT屋じゃなく、眼病理・実験組織病理に裏づけられた知識を背景に、25年にわたる黄斑疾患外来の経験、OCT1号機から現在のSD-OCTに至るまでの経験をふまえた講演です。あまりにレベルの高い発表なので、途中軽ーく意識を飛ばしながらも、何とか聴き終えました。
OCTが初めて世に出た時の驚きは忘れませんが、OCT2000と最新のシラス・スペクトラリスを比べると、改めて技術革新のスピードに驚かされます。この先、いったい何処まで行くのでしょうか・・・。ただ、値段はとんでもなく高く、我々庶民には高嶺の花?大枚はたいてOCT2000や3000を買っていて、SD-OCTを見れば、倒れそうになるでしょう。このような技術革新の速い器械の購入というのは、財力のない私には、本当に難しいです。ただ、このSD-OCTを買っておけば、当分悔しい思いはしなくてすむ気もしますが・・・・・
このOCTの何が凄いかと言えば、網膜硝子体界面の検出レベルの高さ、網膜の層構造が明瞭、黄斑部では網膜外層の構造(外境界膜、IS-OSラインなど)の詳細な検出、病的状態下で網膜色素上皮-ブルッフ膜の分離が可能な事、加えて脈絡膜構造(脈絡膜表層の中大血管)の検出性能だそうです。光顕レベルの組織像と比べると、情報量において劣りますが、何と言ってもOCTはあっという間の非侵襲検査なんです。それでも同レベルで層構造の判断ができます。網膜神経線維層・神経節細胞層の量的判断は、緑内障臨床に有用でしょうし、IS-OSラインは視力と密接に関係しているようです。
症例もたくさん紹介していただきましたが・・・、ERMは非常に明瞭に見えます。その収縮による網膜のダメージも明瞭です。黄斑円孔などは、もう感動的?孔があいていく過程、円孔周囲の網膜の嚢胞様変化、fluid cuff など、病理組織レベルで? 術前術後の変化も明瞭で、視力予後さえも、判定可能なようです。CMEも検眼鏡でも問題なく見えるのですが、断層像とその定量がもたらしてくれる情報は遥かに豊かです。CSCも、網膜色素上皮の異常、プレチピタート、IS-OSラインなど非侵襲で得られる情報量は大きいです。その他、スタルガルト病、PED、加齢黄斑変性(Ⅰ型・Ⅱ型)、PCV、RAP、脈絡膜血管腫、原田病など・・・・OCTは、黄斑疾患を専門にする眼科医にとっては、必須アイテムとなったようです。
~シラスHD–OCT ~
~RTVue-100 ~
~Spectralis®HRA+OCT~