コンタクトレンズと角膜内皮細胞 (364)
2009年 05月 29日
コンタクトレンズ装用だけで、失明するほど内皮細胞が減少することは非常に稀でしょうが、将来白内障手術を受ける事は稀ではなく、緑内障手術やレーザー治療を受けることだってあるかもしれません。白内障手術も、普通に行われたら5%程度の減少ですむでしょうが、合併症があれば、話は別です。
実際、角膜内皮細胞減少により水庖性角膜症に陥るケースというのは、
National survey on bullous keratopathy in Japan. Cornea. 2007 Apr;26(3):274-8.
Shimazaki J, Amano S, Uno T, Maeda N, Yokoi N; the Japan Bullous Keratopathy Study Group.
この論文によれば、
①白内障手術
②レーザー虹彩切開術
③緑内障手術
④外傷
⑤緑内障
⑥硝子体手術
・・・
だそうで、①が断トツ、ついで②が多く、CL装用が原因というのはありません。でも長期にわたる悪い条件下でのCL装用が、disadvantageであることは間違いないと思います。ここに原因として挙げられているのは、その症例の主たる原因ということで、CL装用が複合要因の一端を担っている可能性は高い筈。また何と言っても他の原因と異なり、CLユーザーは、1500万~1800万人という天文学的オーダー?で存在する訳で、そのユーザーの一体何割が真っ当な眼科で定期検査を受けているでしょう? 装用時間が長すぎる、洗浄がいい加減、装用期間を守らない、眼鏡がないので少しぐらい痛くても装用中止できない、更には、劣悪なカラーコンタクトをしたり、ワンデイを何日もしたり・・・ツワモノの数も半端じゃない。彼ら彼女らの角膜内皮の状態は、我々の想像をはるかに超えている可能性を否定できない?!
CLユーザーの皆さん、角膜内皮細胞は減ることがあっても、増えることはありません。内皮細胞は限りある資源です。大切にしてください。
この内皮は、80歳ぐらいの高齢者ですが、きれいな角膜内皮で2604個/mm2あります。

cornea guttata が目立つ角膜。数はまあまあ2315個/mm2だが、機能は少し低下していると考えるべき?

50歳ですが、30年近くコンタクトレンズ装用していて、数はまあまあだが(2525)、六角形細胞出現率が42%とかなり低下している。

複数の疾患があり、複数回手術を受けた眼で、極端に内皮細胞が減少している。1387個/mm2

全て、自覚症状はありません。ただ、最後の症例のようになってしますと、少し心配です。

