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眼科に関するQ&A その7(緑内障) (375)

何故緑内障になるのでしょう?
A:『分かりません・・・・』では、話にならないので、少しだけ。

※原因(不明) 
⇒神経節細胞死(⇒神経線維層脱落)
⇒視野異常(⇒ビエルム暗点・鼻側階段・・・・・)
⇒視力低下
⇒失明


この不明の原因について少し触れてみます。
昔から、緑内障の原因については、越後方面から『機械説』が唱えられ、武蔵方面?からは『血管説』が唱えられ、日本の緑内障の世界では、両派のバトルが繰り返されていました(?)。私が眼科医になった昭和59年頃も、まだまだバトルは継続中でした。手元の資料によると、平成5年に滋賀厚生年金休暇センターで行われた第3回日本緑内障学会研修会初日のテーマは、機械説VS血管説のバトルとなっています。機械説派からは、重鎮N大学I教授、K大学T先生、血管説派からは重鎮OクリニックI先生、そして我らが兄貴M助教授でした。個人的には、I教授の機械説が明瞭で分かりやすかった記憶があります。眼圧によりLCが後方へ屈曲し、軸索はここで、機械的に障害を受ける事になります。血管の変化も、神経線維欠損後、血管網が変性消失し、充盈欠損に至る。その逆はないのだと・・・・。当時、若干雲をつかむようなイメージの血管説と、鮮明な病理組織標本を根拠に整然と説明される機械説を聞いていて、また、I教授の語り口にのせられて、気持ちは機械説に傾いておりました。一度、雪明緑内障シンポジウムなるものを聞きに新潟まで行ったこともあります。
あれから20年近く経過した現在、緑内障の本質は、神経節細胞のアポトージスということになっています。何がアポトージスを引き起こしているのでしょう。機械説・血管説という分け方は、流石に古臭くなってしまいました。ただ、現在でも、眼圧が最大の原因であり、眼圧による機械的障害がメインであることに変わりはないと思っています。下記の如く眼圧という因子による神経節細胞死の背景因子には、様々な、眼圧と関連した、或いは無関係の因子がいくつか考えられていて、様々な仮説があるもの、原因の全貌はまだまだ解明されていないのです。

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メインルート?
眼圧による神経節細胞死(アポトーシス) ⇒ 緑内障性視神経障害(GON)
背景因子?
①篩状板の細胞外マトリックス再構成
②神経栄養因子の枯渇
③慢性虚血
④グルタミン酸毒性
⑤グリア細胞の疲弊
⑥自己免疫
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※ Cerebrospinal fluid pressure is decreased in primary open-angle glaucoma.
Ophthalmology. 2008 May;115(5):763-8.


以前、講演会で、桑山先生が紹介されていた論文です。緑内障患者の眼圧(IOP)と脳脊髄圧(CSF)の関係を述べています。緑内障眼では、

  「どうやら、緑内障患者さんは、IOP>CSFとなっている?!神経線維は、1000本づつ程度の束になり、Lamina cribrosaの孔を通過しますが、この孔が上下では大きく、IOP>CSFであればLCは後方へ屈曲した場合、歪みが強くて神経線維障害を引き 起こしやすい。外側膝状体から神経節細胞への神経栄養因子がこれで遮断されると、神経節細胞は、生きていても仕方ないと判断して死にいたる(アポトーシス)・・・・。これ が緑内障の本質だと・・・・・」

 この論文の考え方が普及すれば、再度機械説が優位に・・・?
by takeuchi-ganka | 2009-07-10 15:31 | Q&A | Comments(0)

大阪市旭区にある竹内眼科医院です。開業医も日々勉強。


by takeuchi-ganka