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第2回眼科臨床クイックレビュー@ロイヤルホテル3 (408)

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3、レチノスコピーの隠れ技:長谷部聡先生 岡山大
 発表されている内容に共鳴できる点が多く、今回もっとも楽しみにしている演者のひとりです。今回のテーマは、板付きレンズを使わない、ダイナミック・レチノスコピーについてでした。私なんかも、スキアをしない側の人間なのですが、開業してから、3歳児検診に行くこともあり、レチノスコープは、一応横にいつもスタンバイさせているのですが・・・

ダイナミック・レチノスコピー(動的検影法)
調節指標を用いたレチノスコピー(※高いコントラスト、高い空間周波数で調節を誘導する指標。)で、同行すれば調節不全、中和すれば調節完全、逆行すれば調節過剰。ここで両眼とも中和し、徹照像で角膜反射が中央にあれば、理想パターン。この場合、①中等度(-3D)以上の近視がなく、②眼鏡矯正必要な遠視がない。③不同視がなく、④少なくとも近見で斜視がない。そして⑤中間透光体混濁もない。

①中等度(-3D)以上の近視がない。
-3D以上なら逆行する。観察眼に近づいて、20cmで中和すれば-5D(-100/20)、10cmで中和すれば-10D(-100/10)、5cmなら-20D(-100/5)。
②眼鏡矯正必要な遠視がない。
同行なら顕性遠視で眼鏡必要。
③不同視がない。
左右で、パターンが異なる場合。例えば、右眼が中和、左眼同行なら、左眼がより強い遠視。左が不同視弱視の可能性。不同視弱視のスクリーニングになる。
④斜視
ヒルシュベルグ法が徹照法を利用するのでわかりやすい。偽斜視に騙されない・・・。斜視弱視のスクリーニングになる。
⑤中間透光体混濁。
白内障などがあればすぐに分かり、視性刺激遮断性弱視のスクリーニングになる。
※①②は、眼鏡の必要性を判断する上で重要(特に小児)、③④⑤は弱視のスクリーニング

※調節刺激と調節応答について。刺激に対して100%の応答はなく、刺激が非常に少ない場合、調節が過剰(調節リード)になり、刺激が強くなると不足する(調節ラグ)。健康人でも同行する。この場合、生理的調節ラグなのか、調節不全なのかを判断する必要性あり。この為に、Nott dynamic retinoscopoyを行う。調節指標をそのままで、レチノスコープと観察者が後ろに下がる。25cmに調節指標を置いて、33cmまでさがって中和したら、4-3=1D調節ラグ(実際は、調節指標を2-3cm?前へ出す。中和が得られたら、調節ラグ。同行したままなら調節不全。)・・・・だそうです。

オーバーレチノスコピー: 近視眼鏡のチェック
 遠見指標を用いて、眼鏡に+2Dレンズを追加し、50cmの距離からレチノスコピーを行う。
 同行すれば、近視過矯正、近視進行促進させるので×。中和すれば近視完全矯正。逆行すれば、近視低矯正。(子供の近視眼鏡は、近視進行予防の観点から、大人でも眼精疲労軽減の観点から、低矯正気味がいい。)
 このように、ダイナミックレチノスコピーは、板付レンズが不要で、弱視早期発見でき、30秒以内で終了し、被検者の年齢を問わず、眼鏡装用したまま出来る検査で設備も不要。もっと積極的に取り入れていい検査法のようです。

質疑の中から・・
ミドリンM(トロピカミド)の治療対象になるような調節緊張は殆どない。近視の進行に対する予防効果もない。近視の進行予防に累進屈折眼鏡は、統計学的に有効と判断されたが、臨床的にはほぼ無効と考えていいような僅かな差であった。だから現実問題としては、お勧めできない。アトロピン点眼は確かに有効だが、副作用の問題で使えない・・・。
Commented by at 2009-11-07 19:54 x
質疑応答に関してですが

前田Dr(座長)
子供さんが来られたらダイナミックレチノスコピーをスクリーニングに使われるのか?
長谷部Dr(演者)
乳幼児の子供さんにルルーチンに行っている。あと眼底検査も。
池田Dr(大阪医大)
スキアの重要性を若いDrに説いているがなかなかやってくれない。
各診察台に全部置いてやってくれと言ってるが・・・・・
教育上困っている。
円錐角膜とか白内障とかの情報も得られるし・・・・・
先生の外来で教育に関してなさっていることは?
長谷部Dr(演者)
・・・・・。

演者は板付きレンズを使用するスキアは苦手と言っておられ、教育に関しては詳しくは答えておられなかったようですが。
遠見指標での板付きレンズ使用のスキアが屈折調節の診療の基本と思うのですが、いかがでしょうか?
調節を誘導してのスキアはなんだかよくわからないのですが。
(自分の頭の中が古い知識で固まってしまっているような気がしてきました)
Commented by takeuchi-ganka at 2009-11-10 06:50
私なんかがこの分野でコメントするのは恐縮ですが、遠見指標をみさせておいて、スキアで屈折検査するのが基本でしょうが、このダイナミック・・というのは、動的、つまり調節を誘導しながら誘導された調節を加味した屈折度数を板付レンズなしで判断しよう・・とうことでしょう。詳細は、教科書などでお願いします・・・
by takeuchi-ganka | 2009-11-06 07:38 | 学会報告 | Comments(2)

大阪市旭区にある竹内眼科医院です。開業医も日々勉強。


by takeuchi-ganka
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