第373回大阪眼科集談会 (419)
2009年 12月 13日

忘年会シーズンまっただ中の週末に、1週間前から引きずっている風邪をおして、ブリーゼプラザへ行ってきました。興味を惹く演題はなかったのですが、3点欲しさに・・・
平成21年12月12日
1、眼窩表在性皮様嚢腫摘出後の眼瞼醜形に対する一手術例(大阪掖済会)
デルモイドか何かで、複数回手術し、眼瞼が変形してしまった患者さんの形成手術。瞼板の整復が重要・・・。
2、マイトマイシンC点眼が奏功した眼表面悪性腫瘍の2例(阪大)
少し驚かされる内容。症例は脂腺癌と扁平上皮癌。前者は瞼結膜から、後者は球結膜から角膜上へと増殖するもので、本来なら大きな外科的手術侵襲が必要でしょうが、MMC点眼だけで、前者は12週、後者は16週でほぼ消失。合併症もなく、良好な結果。ただ、相手は悪性腫瘍ですから、眼窩内で再発しないか、長期にわたる厳重な管理を怠らないようにしないと・・・。ただ、点眼という局所に高濃度で作用可能という特性を生かせば、眼表面に限局した悪性腫瘍をこんなに低侵襲で治せる!ちょっと感動的・・・
3、近畿大学眼科におけるDSAEKの成績(近大)
ますます普及するDSAEK。良好な成績です。
4、リアルタイムPCRウイルス定量によって薬剤耐性を示唆された角膜ヘルペスの2例(阪大)
アシクロビルで治療してもHSV-1コピー数が減少せず、TFTで治療してコ2週間ほどで、コピー数は測定閾値以下に。
5、Posner-Schlossmann症候群に線維柱帯切開術が奏功した1例(国立大阪)
PSSにロトミーしたのではなく、ステロイドレスポンダ-のPSS症例のステロイド緑内障の部分にロトミーが奏功したって内容のようで・・
6、羊膜移植と結膜前転術を併用した濾過胞再建術の1例(阪大)
濾過胞からの漏出があったり感染が加わったりすると、その再建を余儀なくされるでしょうが、縫合やニードリングなどでは改善しない場合の最終手段?AMTと結膜前転を併用して濾過胞を再検して首尾よくいった。
7、両眼に急性発症した青錐体機能障害の1例(近大)
突然の色覚の変化。黄色が白っぽい。青と緑が区別しにくい。人の肌が鮮やかなピンクに見える・・。ただ視力・眼底・FA・OCT・GP・VEPは異常なし。パネルD-15がトリタン。100-hue test 第3色覚異常。原因は不明。電子タバコが怪しい?
8、黄斑上膜自然剥離後に黄斑上膜再発を来した3例(大阪医大)
ERMの2-10%は自然剥離する?今回2例は通常のERMがPVDに伴って剥離し、その後再発。1例は血管腫にLKしてERM形成。2度も自然剥離。1度目はPVDに伴って、2度目はERMの接線方向の収縮で剥離?
9、結膜穿破をきたしたマイラゲル(大阪市立総合医療センター)
網膜剥離手術に使われたマイラゲルが変性・膨化して、外へ出てきた・・・。
※摘出はクライオとピンセットで・・・・。斜視鉤が便利だと・・
10、腎硬化症に併発した網膜静脈分枝閉塞症に対して硝子体手術を施行した1例(市立泉佐野)
虚血性変化の強いBRVOに新生血管発生し硝子体出血。手術後虹彩炎発症(豚脂様KP)。
このRVOは、高血圧を介した変化じゃなく、腎硬化症本体が直接網膜血管に作用?IgA腎症と同じ原因でRVO、虹彩炎が発症?
11、小角膜の唯一眼に発症した網膜剥離に対する硝子体手術の経験(大阪市立総合医療センター)
先天白内障術後、小角膜で高度近視の緑内障を伴った網膜剥離の眼に内視鏡を使って硝子体手術。
12、ラニビズマブ硝子体注入後に網膜色素上皮裂孔を生じた1例(大阪市大)
黄斑部に出血性色素上皮剥離を伴う血腫があり、もともと網膜色素上皮裂孔が生じやすい症例。IVRをやって発症。適応に問題は?
13、外傷性のシーソー眼振の1例(関西医大滝井)
交通外傷によって頭蓋底骨折・前頭葉脳挫傷・・・・半年ほどしてから、妙な眼振が。
14、著明な虹彩ルベオージスと前房出血をきたした強度近視網膜剥離の1例(大阪医大)
かつて手術を希望されない網膜剥離症例の経過を見ていたら、このような事は経験ありました。珍しくはない?
ミニレクチャー
高侵達光干渉断層計を用いた新しい脈絡膜画像診断
従来の840nmのOCTに比較して、1060nmの高侵達OCT(HP-OCT)は、多少中間透光体の混濁があっても、OCT画像を得る事が出来、さらに深部の脈絡膜の診断が可能になった。画質そのものは、決して美しいとは言えませんが、脈絡膜の各層の血管の状態を見たり、その厚みを測定できる。近視眼では菲薄化し、原田病の夕焼け状眼底の脈絡膜は、菲薄化していて、CCの網目構造の不鮮明に。
※先輩のコメントにいちいち反論しなくてもいいのに・・