OCT画像 その2 (422)

 あけましておめでとうございます。金もないのに、ここ数年OCTにかぶれているので、2010年最初のテーマは、私にとって最も魅力的なOCTについてです。

SOCT Copernicus HRについで、デモをさせていただいた機種は、オプトビュー社のRTVue-100です。それほど長期のデモではないので、その機能の全てを満喫することは不可能ですが、真面目で親切なC産業のTさんのお陰で、その機能の一部は理解しました。この場を借りてお礼申し上げます。
 この器械は、関西医大病院に導入されているのと同じ機種です。黄斑部の断層画像に関しては、私がコメントする立場にないですが、SD-OCTとしては標準レベル?でしょうが、この器械の他のOCTより優れている点は、何と言っても緑内障診断にあると感じています。
 通常のOCTが緑内障補助診断ツールとして有用なのは、視神経周囲の網膜神経線維層の厚みを測定し、正常データと比較できるからでしょう。緑内障の本質は、神経節細胞死にあります。神経節細胞の軸索突起が神経線維で、神経節細胞は約120万個あると言われていて、全ての軸索突起が視神経に集まってきます。従って、視神経周囲の神経線維層の厚みを評価するということは、緑内障のダメージを漏らすことなく評価することになります(包括性)。RNFL3.45は、その為のプログラムです。でもこれは殆どのOCTに搭載されている機能です。ただ、機種によって正常データベースが異なるでしょうが・・・。

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 例えば、この解析結果をみれば、右眼視神経乳頭の11時の部位と7~9時の部位の視神経乳頭が菲薄化しているのが分かります(勿論、正常眼に比べると、全体的に菲薄化しているようですが・・・)。これだけでも、緑内障の十分早期発見に寄与してくれます。ただ、例えばこの7-9時の部位の神経線維は網膜の何処から来ているのでしょうか。耳側視野に影響する線維でしょうが、視神経近くの節細胞からのものなのか、遠くからのものかまでは判別困難です(乳頭形状解析と併用すれば可能?)。既に視野異常が発生していて、その障害部位がこの所見と矛盾しなければ、このOCT所見は、おおよそ現在の緑内障性視神経障害を代表していると判断していいでしょう。
 でも、もう少し軽度の異常で、視野異常出現前だとすれば、どう解釈すればいいのでしょう。きっと何処かで緑内障によるダメージが発生している筈だが詳細は不明?追加検査を行い、FDTなら異常があるけど本当だろうか?SWAPで見ると異常がありそうやけど、本物だろうかと?検査を重ねるものの、何かすっきりしない。(私だけ?)

 標準的な視野検査(中心30-2 SITA-Fast)の結果は、中心に最も近い測定点(上方2-3点)に僅かな感度低下を見るのみです。これだけだと、異常と判断していいのかどうか・・・というレベル。以前紹介したHfa-filesとうソフトで解析した結果のどれを見ても、僅かな視野異常があるらしい・・程度の情報しか得られません。

通常の視野解析データ
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Humphrey視野における視野異常の判定基準
Anderson DR, Patella VM : 1999
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Humphrey視野における視野欠損の程度分類
Anderson DR, Patella VM : 1999
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CNTGS:Collaborative Normal Tension Glaucoma Study
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AGIS:The Advanced Glaucoma Intervention Study
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CIGTS:The Collaborative Initial Glaucoma Treatment Study
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Glaucoma Staging System
Richard P.Mills, et al. AJO 2006;141:24-30
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 RTVue-100が優れているのは、RNFLの解析に加えて、GCCという解析プログラムを有している点です。このプログラムは、黄斑部網膜(7×6mm)のOCT画像から網膜神経線維層・神経節細胞層・内網状層の3層の厚みを計測します。この内網状層は、双極細胞と神経節細胞がシナプスを形成している部位で、その厚みは緑内障性障害との相関が若干甘い可能性がありますが、神経線維層と節細胞層の厚みは、非常に高い相関を示す場所・・・というか、ここのダメージが緑内障そのものなのです。

OCT画像 その2    (422)_f0088231_155095.jpg


 このGSSの解析結果をみれば、中心窩下方に明らかなGCCの菲薄化が見られますし、中心窩の上耳側にも少し小さなGCC菲薄化部位があります。GLVもFLVも明らかな異常値を示しています。RNFL3.45の解析結果ともぴったり一致しています。この結果は、僅かな異常どころではないのです。視野に関しては、僅かな異常があるかどうか・・・というレベルでも、0.58秒で計測できるGCCでは、一目でわかるレベルの異常が検出されます。このプログラムは、視野出現のかなり以前から緑内障を捕捉し、進行の程度を把握できる可能性を示しているように思えます。

 視野で言えば中心20度ぐらいの範囲の解析ですが、一番大切な部位とも言える中心20度を担当する網膜の緑内障性障害そのものを鋭敏に検出するプログラムです。これって凄い事だと思いませんか。パンフレットによれば、RNFL3.45なら0.15秒。GCCでも0.58秒で終了します。(※因みに、ハンフリー中心30-2は、SITA-FASTでも3-4分かかります。)いまいち頼りない乳頭形状解析よりも、或いは視神経周囲の神経線維層解析よりも遥かに鋭敏で、本質に迫る凄い機能だと思います。他の会社も黙ってはいないでしょうが、現時点では、この機能を有するRTVue-100が緑内障診断補助ツールとして最も有用?! 関西医大では、このプログラムを活用してます?
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Commented by takeuchi-ganka at 2010-01-13 07:43
OptovueからiVueが出ましたが、肝心のGCCが搭載されていない・・。残念・・
by takeuchi-ganka | 2010-01-02 16:12 | 緑内障 | Comments(1)

大阪市旭区にある竹内眼科医院です。開業医も日々勉強。


by takeuchi-ganka
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