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ビタミン (428)


 サプリメントは嫌いです。日本人はそんなものを摂取することなく、魚中心のバランスのいい食事で十分だと思っています。こんなスタンスなので、今回も偏った記事になると思いますが・・・・。偏った食事を補う(?)怪しげな商業資本から提供されるサプリメント市場は非常に大きいと思われますが、本当にそのサプリメントは摂取する必要があるのか、謳っている効能は真実なのか、むしろ有害ではないのか。私のスタンスは常に懐疑的です。ただ、微妙な問題を含んでいるので、個別のサプリメントにコメントする事はできませんが・・・

 ある会社のマルチビタミンには、1粒に13種のビタミンが含まれているそうです。含まれる内容を見ると、β-カロテン〈ビタミンA効力1,500IU〉5400μg、ビタミンD<ビタミンD3>〈200IU〉5μg、ビタミンE(d-α-トコフェロール)10mg、ビタミンB1 2.2mg・ビタミンB2 2.4mg・ビタミンB6 3.2mg・ビタミンB12 6μg・ナイアシン15mg・パントテン酸9.2mg・葉酸200μg・ビオチン45μg、ビタミンC 100mg・ビタミンP 20mgと表示されていました。

 ビタミンには、脂溶性ビタミンには、A・D・E・Kがあり(E以外の脂溶性ビタミンは過剰摂取危険)、水溶性ビタミンには、B1・B2・B6・B12・C、ナイアシン(B3) ・パントテン酸(B5)・葉酸(M)・ビオチン(H)がありますが、この中で、通常の食生活では不足するものがあるのでしょうか。
 ただ、加齢黄斑変性の進行予防に効果があることが示されたAREDSで、サプリメントとして採用された抗酸化ビタミンの量は、βカロテン15mg(ビタミンA25000IU)、ビタミンE400IU(267mg)、ビタミンC500mgで、これは通常の食事で摂取するには、かなり無理があるようで、前述マルチビタミンでも全く足りません。AREDS処方には、亜鉛80mg、銅2mgも含まれていて、マルチミネラルとして販売されているものには、亜鉛6.0mg、銅0.6mgしか含まれていません。

 
ビタミン (428)_f0088231_92811100.jpg


 また、眼にいい食べ物という言葉をよく耳にしますが、そんな都合のいい食べ物があるんでしょうか。バランスのいい食生活が基本であって、その上に、どうしてもビタミンを補給したいなら、眼科に限った事を言えば、加齢黄斑変性があるとか、軟性ドルーゼンが多発しているとか、網膜色素上皮萎縮がある場合は、AREDSの結果からも、リスクマネージメントの一環として、このような一定量のビタミン・微量金属を摂取することも意味のあることだと思いますが、バランスの悪い食生活をしながら、量的にも意味があるのかないのかわからないままビタミンを取ることには全く賛成しかねます。


※参考資料:あたらしい眼科 最新号
by takeuchi-ganka | 2010-02-12 17:55 | 加齢黄斑変性 | Comments(0)

大阪市旭区にある竹内眼科医院です。開業医も日々勉強。


by takeuchi-ganka
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