近視治療2

 視力という場合、一般の方々は、どのように思っていらっしゃるのでしょうか。我々は、裸眼視力と矯正視力というものを厳密に区別します。前者(裸眼視力)は、かなり不安定なもので、時々刻々変動します。ただ、あまりに大きく変動するときは、病的な要因がかかわってきますので、問題視しますが、通常は、それほど問題視しません。ただ、矯正視力は、その眼の視機能、自動車で言えば、エンジン・サスペンションを含めた総合性能を正しく評価する基準になりますので、我々は非常に重視します。
だけど、一般に、視力が良くなったとか、悪くなったとか言うのは、裸眼視力のことを言うのでしょう。我々は、裸眼視力が、0.1だとして、それが、1.0以上の視力になるのに必要な矯正レンズ度数で、その眼を評価します。そのレンズが、-1.0Dの凹レンズだと、その眼は、-1.0Dの近視と表現します(VA=0.1(1.0×S-1.0D)。 この方が客観的で、再現性があるからです。たまたま裸眼視力が0.1だった眼の中には、実は様々な病的要因が考えられ、その要因が、近視なのか、調節痙攣なのか、角膜乱視なのか、網膜そのものに要因があるのか、屈折異常が放置された為の弱視なのか・・・などなど、その判断に悩むのです。このように、視力が低下するといっても、様々な要因があります。これを全て列挙すればきりがないので、ここでは差し控えますが、そこを客観的に正しく評価した上でないと、怪しげな視力回復器具(運動)、なんやらソニックとか、○×眼筋運動も、ただただ悲しい結末を迎えるばかりです。将来ある子供たちが、ただの近視ならいいのですが、遠視や斜視やその他の眼疾患が原因で裸眼視力が低下し、それが治療可能な状態の時に、無駄な民間療法が加えられ、ゴールデンタイムを逃してしまうようなことあれば、悲劇です。いいこと(???)は、何でもトライしてみるってのはいいかもしれませんが、癌が治るという民間療法が無効で、病院の来られた時は、末期癌であったってことがあるそうです。癌じゃないから、いいってことはないでしょう?
by takeuchi-ganka | 2006-03-17 18:05 | 近視・遠視

大阪市旭区にある竹内眼科医院です。開業医も日々勉強。


by takeuchi-ganka
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