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Retina Glaucoma Club 2010 その2 (430)

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Short Lecture 2、加齢黄斑変性のGenetics ~遺伝学的アプローチによる病態解明 

加齢黄斑変性にならない為に、何ができるか。制御可能な因子とは、喫煙・食事・青色光が有名で、対策としては禁煙・ルテイン摂取・サングラス装用など。そして制御不可能因子に加齢と疾患感受性があります。加齢に逆らうことは、当分無理なので、当面の制御不可能因子の研究対象は、疾患感受性。
※その前に、この手の話は、言葉が暗号のようで、基礎知識がないと、全く理解不能です。基礎知識さえあれば、大した内容でないことも、基礎知識がないと、何が何やら・・・さっぱりと言うことになります。今回もお手上げ・・・。早口でその基本的な言葉を説明されているようなのですが、その言葉がまた分からなかったりします。Retina glaucoma club 恐るべしです。私のような一般開業医が来る場所じゃなかった。ニューオータニへ行けばよかったと後悔しつつ・・・・我慢のひととき。いつもそうですが、特にこの演題についての記事は責任が持てませぬ。
先ず基礎知識から・・・
※遺伝子多型とは・・・
~参考HP~
母集団の中で1%以上に存在する遺伝子変異で、アミノ酸変化のないことも。アミノ酸をコードしないイントロン部分にもある。またタンパク質機能不全なしが普通で、疾患感受性に関わっている。
※疾患感受性遺伝子とは、原因遺伝子ではなく、タンパク質異常を起こす訳じゃなく、僅かな変化長期間続くとことで疾患発生に関わっている。
※アレルとは、相同染色体の対応する同じ部位にある遺伝子。リスクアレルとは、疾患対象研究で、疾患群に多いアレル。(マイナーアレルは頻度が少ないアレル)
※遺伝子多型がいくつも重なって、環境要因も加わって、疾患は発生すると考えられている。
※ハプロタイプとは一つの染色体の中でのアレルの並び。
※組み換えが起こりにくい場所があり、ブロックで引き継がれるが、これを連鎖不平衡が強い・・と言うらしい。

加齢黄斑変性症の疾患感受性遺伝子
代表的な疾患感受性遺伝子2つ+αについて
1、ARMS2/HTRA1
疾患対象研究で、SNP(一塩基多型)の番号:rs10490924(ARMS2の中のひとつのSNP)のTアレルが対象群では16%、PCVでは40%、AMDで37%だと。つまりTはリスクアレル。
ARMS2のリスクアレルTを持っている場合、ヘテロ2.55、ホモ6.54 (オッズ比)
HTRA1のリスクアレルAを持っている場、ヘテロ2.53、ホモ6.33 (オッズ比)
(※1.5以上だと強いと判断?)
疾患感受性遺伝子と発病との関わりは?HTRA1はセリンプロテアーゼの一種で、TGF-βファミリー蛋白に結合してシグナルを阻害。細胞外マトリックスを分解・・・・・・・・慢性炎症↑、網膜色素上皮接着性↓・・・加齢黄斑変性発生に関与?
※リスクアレルを持っていると病巣が大きいという事実がある。
Gotoh N Clin Experiment Ophthalmol. 2008 Jul;36(5):437-42.
Correlation between CFH Y402H and HTRA1 rs11200638 genotype to typical exudative age-related macular degeneration and polypoidal choroidal vasculopathy phenotype in the Japanese population.


 ※まだまだ、疾患感受性遺伝子と疾患発生との関わりが十分解明されている訳ではなさそうです。ただ、ある遺伝子を持っていると加齢黄斑変性になりやすいとか、病巣が大きいとか、治療効果が高いだとか・・・徐々に解明されつつあるようです。

2)CFH
 白人では有名だが、日本人ではY402H多型がマイナーなので、関連が見つけにくかったが、I62V多型は重要なリスクマーカーであることが明らかになったと・・。  補体活性化の代替経路の抑制因子である補体因子Hが変異で機能が十分に働けず、慢性炎症に関与して、加齢黄斑変性に関わっている?
※PCVのリスクアレルを持っているものが、PDT治療成績が良かったり、ノンリスクアレルを持っているものが、PDT治療成績が悪かったりもする。疾患になりやすさと治療に対する反応は別らしい。
 
3) elastin
日本人では、ウエット>ドライ、PCVの比率(多い)、ドルーゼンの頻度(少ない)、男>女など、欧米人と異なる。何故?この事と深く関わっているのかどうか不明だが、Elastin遺伝子のイントロン4にあるSNP(rs2301995)がPCVと有意な関連を示した。

※要するに、いつくか疾患感受性遺伝子が見つかっていて、これがあれば、ない人に比べて加齢黄斑変性やPCVになりやすい。また、発症した場合も、遺伝子がある場合の方が、病巣が大きい。ただ、例えば光線力学療法した場合は、逆の結果が出たりするので治療の話はまた別。ただ、それだけの事?また、ある疾患感受性遺伝子が存在することが、どのように加齢黄斑変性発症に関わっているかという説明は、具体性は乏しく、テーラーメイド治療というのは、まだまだ先の話・・・

by takeuchi-ganka | 2010-02-23 23:07 | 学会報告 | Comments(0)

大阪市旭区にある竹内眼科医院です。開業医も日々勉強。


by takeuchi-ganka
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