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第6回大阪角膜フォーラム その2(437)

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3、角膜の外科的治療の進歩 西田幸二教授(大阪大学)

今年から阪大教授に就任される西田先生の講演でした。3月10日に、iPS細胞から腸管…奈良県立医大 マウスで成功というニュースが流れたばかりで、興味は高まります・・。角膜外科の話、キムヨナの次は浅田真央バージョン・・

、先ず上皮の話。
もうかなり前から木下先生の講演などで、角膜上皮細胞の幹細胞が輪部のPOVと呼ばれる部位に存在すると聞かされていて、当然のように思っていましたが、あくまで推測?
Location of corneal epithelial stem cells. Sun TT, Tseng SC, Lavker RM.
Nature. 2010 Feb 25;463(7284):E10-1; discussion E11.

この論文がNatureに載るってことは、正確には最近明らかになったのでしょうか。このPOVは上下の輪部で著明で、角膜上皮細胞が障害されても、ここから供給されると考えられています。スチーブンスジョンソン(SJS)や重症アルカリバーンにおいて、この部位が障害されると、正常な角膜上皮の再生が困難となり、透明性の維持が困難となり、角膜上皮幹細胞疲弊症と呼ばれます。これに対しては、羊膜移植と輪部移植を組み合わせることにより(アロ移植)、透明治癒40%以上。アルカリバーンと異なりSJSは瘢痕内で炎症継続中なので、なかなか透明治癒が困難なようです。

2、再生医療
この分野では、細胞に人工的な足場を提供して培養するシステムが構築されつつあります。皮膚科領域において、1987年に米国で自家培養表皮がFDA承認(Genzyme社、Epicel :初の細胞組織利用製剤の承認)されたのが最初でしょうが、日本においても、再生医療ベンチャーのJ-TECという会社から、重症やけど治療用の自家培養表皮「ジェイス」が発売され、特定保険医療材料として算定可になったようです。
 ただ、皮膚シートのような簡単なものでないと、作成困難。角膜は皮膚と同様、シート状に培養すれば使用できるので、片眼性疾患なら他眼から、両眼性疾患なら口腔粘膜から細胞を採取し、2週間培養すれば、microvilliも備えていて幹細胞も含んだ重層上皮シートが作れるようです。眼類天疱瘡で、実質が透明であれば、自己培養角膜上皮シート?のみで、90%以上透明治癒可能。凄い・・

3、内皮移植
 内皮移植の対象となる水庖性角膜症の原因疾患の主なものは、白内障術後に加えて、レーザー虹彩切開術、内皮炎、そしてフックス(FECD)でしょうか。このブログにも、もう何度も登場しているDSAEKは改良を重ねつつ普及しているようです。日本ではフックスが少ないので、元々のデスメ膜を剥がさずに内皮を移植するn-DSAEKという手技に移行しつつあるようです。従来の全層移植に比べて、惹起乱視が少なく、術後早期に視力改善が得られる。現在はBusinGlideを使用して内皮を挿入するのが一般的のようですが、その際の前房保持が問題のようで、インジェクターの開発が望まれるとか。(妹尾先生は、BusinGlide上の内皮に糸をかけておいて前房内に引っ張り出す方法で前房保持を達成しておられました。)
 水庖性角膜症も時間が経つと、実質の混濁が強くなり、元に戻りにくく、手術は早めに行うべだと。合併症については、位置ずれは多めの空気で、空気瞳孔ブロックは下方の周辺虹彩切除術で対処。ただ、やはり、いくら丁寧に扱っても、内皮は術中にダメージを受けるようで1年以内に30%以上の内皮減少が避けられないようです。その初期の内皮減少を凌げば、安定するらしいですが。

※ヒト胚性幹細胞に基づいた治療薬・治療法を開発しているGeron社による急性期脊髄損傷の治療候補薬GRNOPC1の臨床試験が開始されたそうです。脊髄損傷が治るという夢のような時代が来るのでしょうか・・。日本では山中先生の影響もありiPS細胞に期待が集まっていますが、ここから培養内皮シートが作成できれば画期的なのですが、まだまだ先の話のようです。

4、その他
最後の方に、興味深い内容が続いていましたが、またもや大切なプライベート・イベントの為少し早めに退室しました。フェムトセカンドレーザーの応用や精密誘導手術の話をされていたのでしょうか。少し気になったので、調べてみました。
ここからは益々演者の発表内容と関係なくなります・・・
フェムトセカンドレーザーは、レーシックの勉強をした時に出てきました。角膜フラップをマイクロケラトームの代わりに、このレーザーで行うと、自由に・精密に・きれいな切開が行えると。ネットで見たフェムトセカンドレーザーを使用した角膜移植の映像は、donorもrecipientもどちらもレーザーだけで切開し、鑷子で外して交換した後縫合するだけ。もうトレパンなんか不要なんです。切開面もまっすぐじゃなく、ジグザグ・トップホット・マッシュルーム・クリスマスツリーなど自由自在。どんなに複雑な切開面でもレーザー切開なのでピタリとあうようです。縫合だけはアナログですが、凄い手術です。
ネット検索をもう少し進めると、フェムトセカンドレーザーを利用した白内障手術もありました。どうも、①CCCと②乳化部分をレーザーで行うようで、どんな眼でも、安全確実に一定の大きさ・形のCCCが可能?硬い核でも安全確実に事前乳化(?)。
 最後は、精密誘導手術 Precision-guided surgery の話。既にレーシックなどはそうなのでしょうか。眼球を器械で計測し、そのデータに基づいてレーザーで切開するのですから。器械がする手術?これが角膜手術や白内障手術にも応用される時代がすぐそこに?外科領域で手術支援ロボットda Vinciが活躍しているようですが、更に進んで、open MRIのナビゲーションで小型ロボットが働く時代に?眼科では前眼部OCTのナビゲーションで手術?夢のような時代がもうすぐそこまで来ているのかもしれません。
by takeuchi-ganka | 2010-03-18 11:36 | 学会報告 | Comments(0)

大阪市旭区にある竹内眼科医院です。開業医も日々勉強。


by takeuchi-ganka
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