再び原発閉塞隅角緑内障時代に・・・ その2 (447)

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 それから20年以上経過し、一度大きく右に振れた振り子が、今度は左に大きく振れてしまい、日本においてのみ(?)レーザー虹彩切開術後の水庖性角膜症の危険性が叫ばれ、PAC(S)に対するレーザー虹彩切開術は激減したのではないでしょうか。本当に危険なら(その判断が難しいのですが・・)レーザー虹彩切開術もしくは白内障手術をすることになっていますが、一般的な眼科クリニックにおいては、白内障が無いか軽微でよく見えている眼に、本当に発症するかどうか分からない緑内障発作の為に白内障手術をしましょう・・・とはならないと推察しますし、またレーザー虹彩切開術にしても、放置した場合の緑内障発作の危険性+慢性PACへの以降の危険性と水庖性角膜症発症の危険性を天秤にかけ、どちらがリスクが高いかなんて、神のみぞ知るって感じで、結果として、浅い前房・狭い隅角の眼がレーザー虹彩切開術されることなく経過観察されているか、野放しになる事が多くなるようです。

この状況って、30年以上前の状況に酷似していないでしょうか。レーザー虹彩切開術の普及は、欧米で1980年以降、日本では1983年以降。それ以前は、周辺虹彩切除術するしかなかった訳で、閉塞隅角緑内障への理解の低さも相まって、浅い前房・狭い隅角眼は瞳孔ブロックを解除されることなく、突然発作になるか、徐々にPASが増加する慢性のPACが数多く発症していたのです。

私が医師になった1984年は、日本でレーザー虹彩切開術の普及が始まった年で、当時は、POAGと誤診された慢性のPACなんてのは珍しくなく、緑内障外来では、様々なレベルの原発閉塞隅角緑内障に出会う事が出来ました。その後、レーザー虹彩切開術が普及し、この手の難しい緑内障の増加を抑えると共に、コジレタ緑内障も隅角癒着解離術(PEA+IOL併用)や時にトラベクロトミーを併用したりして、原発閉塞隅角緑内障問題は解決した筈でした。

ところが、前述の如く、再びレーザー虹彩切開術されない浅い前房・狭い隅角眼が増加する時代となりつつあるのです。私の経験では、前房深度が1.5mm前後の、非常に浅い前房、強い瞳孔ブロック眼は、急性発作になりやすく、流石にこれに関しては、注意深い観察が行われるでしょうが、前房深度が1.5~2.0、或いは2.0~2.5あたりの中途半端な前房深度の眼は中途半端な瞳孔ブロックを有し、急性発作を引き起こすこともありますが、自覚症状のないまま徐々にPASが形成され、慢性PACに移行する可能性があります。このような症例の扱いは微妙になってきます。白内障があれば幸いで、手術すれば問題ないのですが、それが無い場合は、白内障手術も、レーザー虹彩切開術も躊躇われるので、自覚的には何もない眼の隅角を注意深く観察する必要があるのです。
個人的には、このような眼をしっかり見極め、当分白内障手術適応になさそうな眼であれば、ヤグを併用しつつ、内皮にダメージを与えないように注意して、レーザー虹彩切開術するつもりでいますが・・・
by takeuchi-ganka | 2010-04-28 19:27 | 緑内障 | Comments(0)

大阪市旭区にある竹内眼科医院です。開業医も日々勉強。


by takeuchi-ganka
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