オルソケラトロジー (451)
2010年 05月 21日

オルソケラトロジー:これは、寝ている間特殊なコンタクトレンズを装用すれば近視が治り、起きている間は、コンタクトレンズをしなくても、よく見えるという・・・何気なく聞けば、何だか夢のような話です。既に、かなりの人が(?)このシステムを利用しているのでしょうか?
近視に対して、どういうスタンスで臨むのかは、様々だと思いますが、かつて眼鏡しかなかった近視矯正手段が、現在では、
1)コンタクトレンズ(ハード・ソフト、連続装用、使い捨て、頻回交換・・・・)
2)近視矯正手術
①RK
②PRK
③レーシック
④フェイキックIOL
そして、今回テーマとして取り上げた
3)オルソケラトロジー
加えて侮れないのが、怪しげな民間療法(近視が治る!なんて宣伝してるやつです・・・)。
実に様々な選択肢が提供されています。情報は錯綜し、私のように、『やはり眼鏡が一番だ』と言い続ける保守的な医者と、ついこの間まで、RKが、いや PRKが、いやレーシックが一番だと、そしてフェイキックIOLもあるよと、次々と新しい手術を提供しつづける医者もいるでしょうし、こんなに選択肢が増えれば迷うのは当然です。
私は、-3.0~4.0Dの近視で、10歳代で眼鏡装用開始し、20歳代は、基本的にハードコンタクトレンズ(終日装用)をしていました。その後眼鏡に変更し、現在52歳なので、累進屈折眼鏡(遠近と近近)を使い分けながら、生活しています。現在、老眼を感じてはいるものの、ほぼ不自由を感じることなく生活できています。
この近視を治すのに、手術をする・・・ってどうなんでしょう。勿論、 -10D近い高度近視であれば、それもひとつの方法だと思いますが、そうでない場合、そこまでする必要があるのでしょうか。手術をして、±0Dに近い眼になれば、40歳すぎれば、調節力の低下を感じ、45歳ぐらいからは、老眼鏡のお世話になります。もともと近視の私は、眼鏡レンズを単焦点から累進屈折レンズに変更すればいいだけですし、眼鏡を外せば、寝床で文庫本さえ読めます。±0Dの人は、ポケットから老眼鏡を取り出してかけることになる。どちらが便利なんでしょうか。
それでも、芸能人とかプロスポーツ選手が、職業上の理由で、眼鏡なしで良好な視力を確保する為に、手術されるのは分りますが、その宣伝文句にのせられて、一般の方がそこまでやるのがあまり理解できません。そして、手術をしなくてもいい近視矯正方法という選択肢に、オルソケラトロジーがあります。
※オルソケラトロジー
非常に特殊なハードコンタクトレンズで、以下の4つの部位で構成されます。
①ベースカーブ部:フラットカーブ
②リバースカーブ部:溝のような部分
③アライメントカーブ部:角膜形状に沿うようなカーブ
④ペリフェラルカーブ部:最周辺部
この特殊な形状のHCLを夜間就寝時装用することで、日中の裸眼視力向上を目的にしています。ただ、いくら高酸素透過性レンズといっても、装用したまま寝る訳で、涙液交換されず、角膜上皮障害、角膜感染症のリスクは当然高い。また、レンズも特殊形状なので、汚れやすく、洗いにくく、更にリスクは高い。近視も-4.00D以上だと難しいし、規則正しい生活リズムでないと、安定した視力が得られない・・・など、このオルソケラトロジーは、クリアすべきハードルが結構高くて多いような気がしてます。その上数十万円の費用がかかるとすれば、私には、このシステムの価値が理解できません。眼鏡に依存することなく近視を克服する為に、払われる犠牲が大きすぎる気がします。
