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第8回 Symposium of Ocular Surface and Infection その1(457)

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 5月が終わろうとしているのに、いつまでも寒さの名残りが残る日々が続いています。この週末の朝は、大阪市内でも高原で朝を迎えたような爽やかさで、地球温暖化の話は何処へいったのでしょう・・・・。昨年新型インフルエンザの騒ぎで中止になったので、2年ぶりのSOSIを聴きに帝国ホテルへ出かけました。

一般講演
1、MRSA眼疾患に対するミノマイシン眼軟膏による治療 
乳幼児の結膜炎。ありがちな結膜炎? ただ、MRSA・・・。VCM点眼奏功せず、ミノマイシン眼軟膏で治癒し、再発なし。ミノマイシン200mgを白色ワセリン100gに溶かし混ぜてつくるようで、阪大病院感染制御部のオリジナル?保存もきくようで、もっと広めてもいいような気がします。

2、レーシック術者の品格~レーシック術後の追加矯正について 
レーシックして、様々な原因(低矯正・過矯正、戻り・・・)で、追加矯正(この世界ではenhancement)を行う場合、『リフト』と『リカット』がある?殆どリフトじゃないの?リカットは成績悪いようです。リフトというのは、フラップの『はじっこ』にとっかかりをつけて、鑷子で持ち上げるのですが、何年たってもできるのだそうです。先日眼球打撲でフラップが外れた症例を経験しましたが、レーシックのフラップは何年たってもくっつかない?!大丈夫?
 ところで、品格って?
※追加矯正の合併症:1 epithelial ingrowth, 2 flap dislocation, 3 DLK, 4 infenction


3、 コンタクトレンズ関連角膜感染症全国調査について  近大 福田昌彦
この調査がコンタクトレンズユーザーにどれほど伝わっているのか疑問ですが、当院では、昨年夏頃からこの調査を踏まえ、コンタクトレンズユーザーに文書を配布しています。
~配布文書内容~

調査結果としては、
1)初診時矯正視力0.1未満が約半数
2)起炎菌:グラム陰性桿菌(ほぼ緑膿菌)、アカントアメーバ
3)検出部位:角膜病巣部とコンタクトレンズケース
4)CL種類:2週間頻回交換SCL(一番使われているから・・?)
5)処方:一般眼科とCL量販店隣接眼科
6)ケア:半数以上毎日洗浄していない。 4割は毎日消毒しない。7割は毎日こすり洗いしない!
7)レンズケース:3割は交換していない。
8)定期検査: 3割は受けていない。
9)2週間交換CLをそれ以上、ワンデイをそれ以上の長期使用している。
※若い男性が多い。
※日本の眼科80:6号(2009)

 つまり、危機管理なんて言葉も知らない若い男性が、2週間交換CLを3週間、時に1カ月以上使ったり、またワンデイを1週間以上使ったりする。当然こすり洗いなんかせず、MPSで漬け置きのみ。焼き鳥屋の秘伝のたれじゃないが、MPSは継ぎ足し継ぎ足しで使い、それも毎日は消毒しない?時々装用したまま寝る。レンズケースは交換しない。加えて、何か眼に異常があった時に、とりあえず『めぐすり』してました・・・・と言っても、それはアレルギー性結膜炎の点眼だったり、有害無益な市販点眼だったり・・・。
 これじゃまるで、緑膿菌やアカントアメーバをコンタクトレンズ内で培養しているようなもの。汚染されたコンタクトレンズを装用しつづけ、眼表面に傷ができれば感染の可能性は高く、非常に危険な綱渡りのように感じます。ただ、若い人眼は丈夫なので、多くの人は、何も起こらないのでしょうが、ただ、それで何かあった時すぐに受診せず、役に立たない点眼をする。これでは時に失明する人が出てきても不思議じゃない。
by takeuchi-ganka | 2010-05-31 15:52 | 学会報告 | Comments(0)

大阪市旭区にある竹内眼科医院です。開業医も日々勉強。


by takeuchi-ganka
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