2010年 06月 13日
第9回『すだちの会』 その1 (466)
第9回『すだちの会』 西六区から発信する眼科病診連携の会 平成22年6月12日
少々場違いの勉強会ですが、一応オープンの勉強会なので参加してきました。
一般演題 当院での小児涙嚢鼻腔吻合術鼻内法 多根記念眼科病院 杉田真一先生
最近この病院から、この手の発表が増えています。相当積極的にされているようで、この手の疾患の担い手が多くないこともあり、相当な数の患者さんが集まっているようです。今回は、3-8歳の子供のDCR鼻内法です。先天性鼻涙管閉塞、先天性鼻涙管形成不全、後天性の様々な鼻涙管閉塞が対象に、硬性内視鏡で鼻側からアプローチ。鼻粘膜を切除し、骨を露出、切除、涙嚢切開、カテーテル留置・・・。問題点は、3歳以下は鼻腔が狭く難しい。小児の骨を切除すると、顔面変形が危惧される。涙点形成不全を伴っていると難しい・・。
※先天性鼻涙管閉塞:この疾患に対する対応が、若干変わってきている?通常、見つけ次第プロービングしていたそうですが、その合併症に重篤なものがあった事と、この手の患者さんが集まりすぎる事と相まって、最近は点眼・内服などで症状を改善した後、涙嚢炎が継続しなければ3歳まで待って、プロービング?する方針に。すると半年で半分ぐらいが自然治癒するようで、プロービングも減らせるし、その合併症が減らせる。ただ、患者の親にしてみれば、早く治してほしいでしょうし、今後、この疾患の治療方針には変化がありそう?
教育講演 眼炎症疾患合併症 大阪大学眼科 准教授 大黒伸行先生
この7月から桑山先生の後任として厚生年金眼科部長に就任予定だそうです。今後、この病院は緑内障から眼炎症センターへ?
つかみ:前房蓄膿⇒①ベーチェット(免疫異常)、②非定型好酸菌眼内炎(感染)、③NKリンパ腫(腫瘍)
つまり、見たらわかる眼科でも、見てもわからんこともある・・・。生検が必要な事も多く、治療は長期にわたることも。
Epidemiological Survey of Intraocular Inflammation in Japan. Jpn J Ophthalmol 2007;51:41–44
sarcoidosis (13.3%),VKH(6.7%),Behçet (6.2%),bacterial endophthalmitis (3.8%),herpetic iridocyclitis (3.6%),diabetic iritis (1.6%),HLA-B27-associated uveitis (1.5%),ARN(1.3%),ocular toxoplasmosis (1.1%),ocular toxocariasis (1.1%),
日本のぶどう膜炎の内訳はこんなもの・・。
炎症が持続すると合併症が・・①白内障、②緑内障、③網膜硝子体疾患
それに対する治療が必要になる。最終的に網膜・視神経障害が重篤にならないうちに手を打つひつようがある。
①白内障:殆ど虹彩後癒着あり。消炎しつつ手術に臨み、癒着は外しつつ、iris retracatorで散瞳確保しつつ行う。
②緑内障:線維柱帯炎、閉塞隅角、ステロイド緑内障・・・・など様々な緑内障が含まれる。
※重要な話。炎症が強くなると房水産生減少し眼圧も下がる。ステロイドで消炎すると、房水産生が戻り、眼圧が上昇することがあり、見かけ上ステロイド緑内障となることがあるので、要注意。演者の感想として、本物のステロイド緑内障にはダイアモックス反応悪い。(この意味をどう理解すればいいのでしょう。房水産生を抑える薬が効かないほど、房水流出抵抗が上昇しているってこと?僅かにでも水が流れていたら、房水産生おさえると眼圧下がるが、それが非常に少ないってことでしょうか・・。)
※瞳孔ブロックはLaser iridotomy。ただ、虹彩周辺部じゃなく、最も膨隆している部位を焼く(Haruta Yaki?)。
※NVG:アバスチンが有効
③CME:テノン嚢下TA投与(有効だが、その後ERM多い!)
④ERM:手術適応決定が難しい。再発多い。
⑤CNV:VKHで多い。ただ、加齢黄斑変性と違って、抗VEGFが効きやすい。数回で何とかなる?
⑥硝子体手術
ARN:剥離出現前の早期手術がいい?ただスタデイでは差が出ず。やはり最初は薬でしっかり治療すべき。
トキソカーラ、増殖サルコイドなども手術が必要。
ただ、炎症が続いている最中に手術するのは危険。しっかり消炎して(しつつ)手術へ。
※硝子体生検:これは25Gシステム登場で、やりやすくなった。ステロイド抵抗性硝子体混濁には積極的に行うべき。そして細胞診とPCR。
今まで、炎症性疾患と考えられいなかった加齢黄斑変性、糖尿病網膜症も実は炎症性疾患である。
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①加齢黄斑変性:勿論抗VEGFが有効だが、ステロイド(TA)有効。
②糖尿病網膜症:MEにはステロイド有効。但しリバウンドあり・・
※糖尿病網膜症がレミケードで改善した症例の提示が・・。
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質疑
1)九大以外はベーチェット減少!ヘルパーT細胞のT1とT2のバランス。T1優位でベーチェット。T2優位でアレルギー疾患。今の時代は、T2優位?だから・・。それとも食生活の欧米化が原因?
2)レミケードについて:かつての切り札シクロスポリンは50%しか効かない。ステロイドは有効でも離脱困難。レミケードは90%有効。現時点でやはり切り札的。ただ、1-2年もすれば効果が下がる。
3)CMVについて:色素を伴ったKPに眼圧上昇。そして内皮炎などで、 CMV結構多い。房水採取し、multiplex PCR行う機会が多くなり見つかるようになっただけ?特に内皮炎は取り返しがつかないほど内皮が減るので要注意。ガンシクロビル点眼有効。
4)ステロイドの使い方:若い人(40歳以下)には先ず内服。50、60歳以上には先ずTA。