2010年 08月 28日
加齢黄斑変性ドットコム (482)
加齢黄斑変性ドットコム
以前、ファイザー社が緑内障早期発見の為の・・・・と称するCMが流していましたが、最近は、ノバルディス・ファーマ社による加齢黄斑変性早期発見の為のCMを何度も目にします。早期発見にもつながるし、患者さんの理解も深まるので、クレームをつけるつもりはありませんが、治療手段がほぼ独占状態にある場合に、この手のCMが行われるようです。世の為人の為のようで、経済原理に則った行為。まあ、当然でしょうが。
私は、かつて、この疾患が老人性円板状黄斑変性と呼ばれ、網膜レーザー光凝固が治療の主役だった、25年ほど前に、関西医大に入局しました。主任教授の宇山先生が専門にしていた病気なので、毎日多数の加齢黄斑変性患者さんが来られるので、当時、関西医大病院では網膜剥離と並び、非常にありふれた疾患でした。10年少し前に開業して初めて、この疾患が毎日遭遇するような疾患でないことを実感しました。
この疾患の治療手段は時代と共に大きく変遷しており、25年ほど前は、①脈絡膜新生血管をレーザー光線でピンポイント攻撃(名人芸的・・)でしたが、やがて硝子体手術の進歩と共に、②手術的に脈絡膜新生血管を抜去や時に網膜移動術まで行われるようになり、5-6年前からは、③光線力学療法が、そして、数年前から④抗VEGF薬剤による治療が開始されました。これについては、当ブログでも何度も紹介してきました。この抗VEGF治療により、この疾患の治療成績が非常に向上したのは確かです。レーザーや手術がファーストチョイスの治療手段だった時は、こんなお金のかかる啓蒙はありませんでしたが、薬物治療がファースとになると、ここまで大々的な啓蒙CMを打つことが可能なようで、製薬会社恐るべし・・・・。ただ、治療成績が向上したとは言え、良好な視力を維持することは、そう簡単ではなく、加えて、時間もお金もかかることをお忘れなく。
このCMの影響で、私のような小さなクリニックにも何人も患者さんが来られます。CMが優れているのではなく、片眼づつ視力をチェックすることそのものが、僅かな片眼性の視力低下を発見するのに有用なようです。加齢黄斑変性に限らず、黄斑部に浮腫・剥離・出血・・・などがあれば何でもいいので・・・・。今日来られたのは、加齢黄斑変性前駆病変のみで軽いPEDとRPE変性が2眼と網膜分枝閉塞症によるCMEでした。CMはそれなりに役立っているようです。皆さん、どんどん利用しましょう!
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