点眼液の開発と眼内薬物動態 その2 (488)

続き・・
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ラタノのジェネリックについて
以前のジェネリックについての記事
何度も、ここで述べていますが、日本のジェネリックは、主成分だけ一緒なら、認められるようですが、点眼には、主成分以外に多種多様の添加物が含まれていて、点眼の有効性・安全性・安定性に関しては、添加物が既定している部分も大きいのに、そこが同一でなくても認められる日本のジェネリック製品というのは、どうなんでしょう・・。私のような、いち眼科医が、売り出だされたジェネリック点眼の中身を全て知ることは不可能です。だからこそ、製品開発時に動物実験・臨床試験を繰り返し、有効性・安全性・安定性が確立された先発品と全く同一というのなら、安心して使えるのですが、そうでないとなれば、この日本の厚労省が決めているシステムに疑義を感じます。
 ※少なくとも当院の患者さんにジェネリックを使うかどうかは、私が判断します。特に点眼の場合、患者さんに、『ジェネリックを処方してください』と言わせる事には更に疑問を感じますので・・・

 話はそれましたが、数か月前、ラタノのジェネリックが24製品(?)も発売されました。こんなに大量に発売されるのは異例で、よほど魅力的な市場なのでしょう・・・。この製品は大きく二つに分かれるようです。
①先発品とほぼ同じ設計
②可溶化剤+防腐剤でBAC濃度を下げる工夫をしている・・

 先発品は、BAC濃度が高く0.02で、これはBACに可溶化剤の働きもさせていると聞きます。BACを下げると眼内移行量が下がるジレンマがあり、ジェネリック各社は、苦労したようですが、①に属するのがS寿製薬で、Wもと製薬も、ほぼ同じで(+EDTA?)この2社の製品は、眼内移行量のデータが公開されているのに、②の各製品は、眼圧下降が同じだったという、生物学的同等性試験の結果のみです(法的には問題なし)。主成分が同じ濃度で、眼圧下降が非劣性というだけでは、納得しがたい・・

参考資料
1)ラタノプロスト点眼液0.005%「センジュ」のウサギ房水中薬物濃度を用いた生物学的同等性試験 医学と薬学(0389-3898)63巻3号 Page435-440(2010.03)
2)ラタノプロスト点眼液0.005%「わかもと」インタビューフォーム(11頁参照)

先発品: キサラタン点眼液0.005% 製造販売/ファイザー株式会社
ジェネリック製品
1.ラタノプロストPF点眼液0.005%「日点」  製造販売元/日本点眼薬研究所
2.ラタノプロスト点眼液0.005%「センジュ」 製造販売元/千寿製薬
3.ラタノプロスト点眼液0.005%「わかもと」 製造販売元/わかもと製薬
4.ラタノプロスト点眼液0.005%「キッセイ」 製造販売元/キッセイ薬品工業
5.ラタノプロスト点眼液0.005%「コーワ」 製造販売元/興和
6.ラタノプロスト点眼液0.005%「科研」 製造販売元/科研製薬
7.ラタノプロスト点眼液0.005%「ケミファ」   製造販売元/日本ケミファ
8.ラタノプロスト点眼液0.005%「ニットー」 製造販売元/日東メディック
9.ラタノプロスト点眼液0.005%「マイラン」 製造販売元/マイラン製薬
107.ラタノプロスト点眼液0.005%「KRM」 製造販売元/キョーリンリメディオ
11.ラタノプロスト点眼液0.005%「NS」     製造販売元/日新製薬
12.ラタノプロスト点眼液0.005%「アメル」 製造販売元/共和薬品工業
13.ラタノプロスト点眼液0.005%「サワイ」 製造販売元/沢井製薬
14.ラタノプロスト点眼液0.005%「タカタ」 製造販売/高田製薬
15.ラタノプロスト点眼液0.005%「トーワ」 製造販売元/東和薬品
16.ラタノプロスト点眼液0.005%「ニッテン」 発売元/日本点眼薬研究所
17.ラタノプロスト点眼液0.005%「三和」 製造販売元/三和化学研究所
18.ラタノプロスト点眼液0.005%「日医工」 製造販売元/日医工
19.ラタノプロスト点眼液0.005%「TOA」 販売元/ニプロファーマ
20.ラタノプロスト点眼液0.005%「TOA」 発売元/日東メディック
21.ラタノプロスト点眼液0.005%「AA」 製造販売元(輸入品)/バイオテックベイ
22.ラタノプロスト点眼液0.005%「TS」 製造販売元/テイカ製薬
23.ラタノプロスト点眼液0.005%「TS」 販売元/アルフレッサファーマ
24.ラタノプロスト点眼液0.005%「イセイ」 製造販売元(輸入)/イセイ


再び配合剤点眼について
日本では、コソプト、ザラカム、デュオトラバと発売され、配合剤時代が到来したかのような雰囲気ですが、本当にそうなんでしょうか。私は個人的に、配合剤はあまり好きじゃないので・・

0.5%チモロール
1)+ドルゾラミド(トルソプト®)(CAI)   ⇒ cosopt  
2)+ブリンゾラミド(エイゾプト®)(CAI)  ⇒ Azarga
3)+ラタノプロスト(キサラタン®)(PG)  ⇒ Xalcom 
4)+トラボプロスト(トラバタンズ®)(PG) ⇒ DuoTrav 
5)+ビマトプロスト(ルミガン®)(PG)   ⇒  Ganfort
6)+ブリモニジン(アルファガン®)(α2刺激剤)  ⇒ Combigan

実は、cosopt以外は、米国FDAは承認していないようです・・。有効性・安全性・安定性全てにおいて、2剤併用を凌駕すると認められてない?
参考文献:ntraocular pressure-lowering effect of adding dorzolamide or latanoprost to timolol: a meta-analysis of randomized clinical trials. Webers CA, van der Valk R, Schouten JS, Zeegers MP, Prins MH, Hendrikse F. Ophthalmology. 2007 Jan;114(1):40-6. Epub 2006 Oct 27.

Xalcom :BAC0.02はチモにとってマイナス要因。pHを少し酸性よりにして、ラタノの移行性↑?
cosopt :pH5.7で、移行性↓?だが、粘性↓でカバー?
DuoTrav :pHは6.0~7.0.チモの移行性↑。SofZia使えないのでポリクワド。トラボの移行性↓でも眼圧同等。
※2剤の点眼が1回で済んで、同等の効果、コンプライアンスも向上して、結果として同等以上という触れ込みですが、BAC濃度にしても、pHにしても、2種類の点眼剤ともに理想的な条件になっている訳じゃなく、妥協点にあるようで、コンプライアンス・アドヒアランスまで考慮すれば別ですが、指示通り点眼された場合に、2剤併用と配合剤の眼内移行量はどうなのかは闇の中では・・・?また、逆に考えると、点眼を1回忘れた場合の被害も大きいような・・。

最後に、S天製薬のタプロスについて
 新タプロスはBAC0.001(C12リッチ)。これは、BACフリー同じぐらい角膜障害性が低い。+EDTA?私は、キレート剤として、帯状角膜変性に使った記憶しかない薬剤ですが、これをを加えることで、BAC濃度を下げた分をカバーして、眼内移行性を確保しているようです・・?
※BACについて
以前、BACについて、少し書いたことがありましたが、タプロスは、C12リッチだそうです・・。河嶋氏から教えていただいた事ですが、C12リッチのタプロスの角膜障害性がBACフリー点眼と同じぐらい低いことでもわかるように、C12-BACは、他のBACより角膜障害性が低いようです。
by takeuchi-ganka | 2010-09-16 15:56 | めぐすり | Comments(0)

大阪市旭区にある竹内眼科医院です。開業医も日々勉強。


by takeuchi-ganka
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