麦粒腫 :眼科医が見ているものシリーズ その1  (507)

このテーマをシリーズ化して、眼瞼から始まり、眼底が終了する(年末?)頃には、自分にとっても復習が終了し、知識の整理が出来ていることを期待して・・・・。先ずは、眼瞼から

眼科医は、普段の診察の時にいったい何を見ているのでしょう。勿論、診察は、患者さんが診察室に入った瞬間から始まっているのでしょうが、話が散漫になるといけないので、ここでは、我々がスリットと呼んでいる眼科医にとって最も基本的な診察機器:細隙灯顕微鏡の所見と、倒像鏡による眼底検査所見を中心に話をします。特殊な機器を使わず、基本的な検査機器のみでの診断能力こそが、眼科医の基礎体力だと思っています。大病院の若い先生に立ち向かうには、この基礎体力を高めるしかないのです。

最近OCTを筆頭に様々な新しい検査機器が出現し、その検査結果に振り回される眼科医も多いと思われます。それらの検査の中で一部は、やがてスリットにとって代わるものになるでしょうが、今でも大多数の眼科医にとって、基本となる診察機器は、スリットと倒像鏡です。
(※眼底検査は、さすがに倒像鏡だけでは、精度が低いので、より詳細な所見を取りたい場合は、78Dや90Dの前置レンズや後極部用コンタクトやスリーミラーを併用していますが・・)

1、眼瞼
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  先ず、『まぶた』です。稀な疾患まで言及するとキリがないので省略しますが、よくあるのは、麦粒腫・霰粒腫。前者は主として、マイボーム腺の化膿性疾患なので、眼瞼縁のマイボーム腺の開口部の発赤から始まり、この写真のように瞼結膜側に膿点が見えれば、この部位を穿刺して排膿させます。といっても、このように分りやすいものから、そうでないものまで様々です。
この麦粒腫は、我々は『めばちこ』とか『ものもらい』と呼びますが、実は、地方によって様々な名称で呼ばれています。京都では『めいぼ』、名古屋では『めんぼ』、東京では『ものもらい』、北海道では『めっぱ』などと・・・。様々な地方の患者さんを診察する機会も多いので、この方言はひととおり知っておく必要があります。ただ、ややこしいのは、『先生、メバチコが出来ました・・』の主訴で来院される方の半分近くはそれ以外の疾患であることで、目に痛みを伴う何かが出来た場合、通常そのように表現さえることが多いのです。
http://www.rohto.co.jp/mono/index.htm
 治療は、抗生物質(抗菌剤)内服+点眼が基本、そして膿点が見えたら穿刺・排膿しますが、見えなければしません。患者さんによっては、何故切らないのかと・・・詰め寄られるケースもありますが、切らないこともあるのです。
Commented by takeuchi-ganka at 2011-01-08 17:36
 ※文献的考察ではなく、完全な私見ですが、この麦粒腫は、別の観点から見ると、化膿性マイボーム腺炎?あの細長いマイボーム腺内で化膿性炎症が発生し、やがてその一部に膿が貯留してくる。この膿が貯留してくる前に抗菌剤が入れば、それ以降の進行を防ぐ事が出来て、強い疼痛を伴う眼瞼の発赤・腫脹を来たすことなく、消炎させることも可能ですが、少しタイミングが遅れると(我慢していたり、市販の点眼をしていたり・・・)簡単に消炎できないこともあります。
by takeuchi-ganka | 2011-01-05 15:07 | その他 | Comments(1)

大阪市旭区にある竹内眼科医院です。開業医も日々勉強。


by takeuchi-ganka
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